マンションご購入ご売却
2025/11/21
マンションの売り時はいつ?相場が読めない今、後悔しないタイミングの決め方
「そろそろ売ろうか」と思いながら、決めきれずにいる方は少なくありません。都心のマンション価格は高い水準にあります。一方で、2026年5月以降は首都圏の中古マンションの成約㎡単価が前年を下回る月が続き、日本銀行は9月に政策金利を1.25%程度へ引き上げることを決めました。「今が天井なのか、まだ上がるのか」と迷うのは自然なことです。
結論から申し上げます。マンションの売り時を、相場の天井や底を当てて決めることはできません。 相場を当てようとして待った人も、急いだ人も、それぞれに後悔しています。後悔しにくいのは、相場ではなく「自分で決められる条件」で時期を決めた人です。
自分で決められる条件とは、次の4つです。
- 生活の期限:住み替え先の引き渡し日、転勤、入学、相続の手続きなど
- 所有期間の「1月1日」:売った年の1月1日時点で5年を超えるかどうかで、譲渡所得の税率が約半分になる
- 年をまたぐかどうか:12月に引き渡すか1月に引き渡すかで、確定申告の年や翌年度の固定資産税の扱いが変わる
- 待つことの損得:持ち続けるあいだの費用と、相場が動いたときの幅を、金額で比べる
なお、「今から動いて年内に引き渡せるか」の目安として、首都圏の中古マンションは東日本レインズへの登録から成約まで平均82.5日かかっています(2025年)。10月に売り出した場合、平均どおりのペースなら契約は年明けになり、平均よりやや早く決まっても引き渡しは年明けになるのが現実的な見通しです。
本記事では、売り時で後悔する典型的なパターンから、4つの条件の確かめ方、年内と年明けで変わる税金、待つことの費用の試算までを順に解説します。
【この記事でわかること】
- マンションの売り時で後悔する2つの型(待って後悔/急いで後悔)と、共通する原因
- 相場を当てにせず、自分で決められる4つの条件で売る時期を決める方法
- 所有期間5年の判定と、12月引き渡し・1月引き渡しで変わる確定申告の年・固定資産税
- 持ち続ける費用と相場の変動幅を金額で比べる試算(1億円の例)
- 年内に引き渡すための逆算スケジュールと、10月から動く場合の現実的な見通し
【気になるところからお読みください】
- 後悔の型を知る:売り時で後悔する2つの型 / 相場は読み切れない
- 4つの条件で決める:生活の期限 / 所有期間の1月1日 / 年をまたぐ税と固定資産税 / 待つことの損得
- 日程とお金を確かめる:年内に引き渡すなら / 年明けに売ると決めたら / 仲介手数料 / 4つの判断シナリオ / よくある質問
マンションの売り時で後悔する2つの型——待って後悔、急いで後悔
マンション売却のタイミングで後悔する人は、大きく「待って後悔した人」と「急いで後悔した人」に分かれます。ここで挙げるパターンには、自分の条件を確かめる前に、相場の予想で判断していたという共通点があります。この章では、それぞれの典型的なパターンを整理します。
待って後悔した3つのパターン
1. もう少し上がると思って待っているうちに、相場が動いた
「あのとき売っておけばよかった」という後悔の典型が、このパターンです。高値が続いているときほど「まだ上がるかもしれない」と考えやすく、売り出しを先送りしがちです。ところが相場は予告なく向きを変えます。首都圏の中古マンションの成約㎡単価は、2026年8月時点で前年同月比マイナス3.8%と、4か月続けて前年を下回りました。一方、東京都区部はマイナス0.3%にとどまっており、地域によって動きは異なります(東日本レインズ「月例速報 Market Watch」2026年8月度)。それでも1億円の住戸なら、数%の変動で数百万円の差になります。
2. 年をまたいで、期限や税の区切りを越えてしまった
「年内に売るつもりだったのに、気づいたら年が明けていた」というケースです。住まなくなった家を売るときに使える税の特例には、年末が期限になるものがあります。また、引き渡しが年明けにずれると、翌年度の固定資産税は売主に課されます。固定資産税は、1月1日時点で登記簿上の所有者になっている人に課されるためです。期限は相場と違って、事前に調べれば分かります。知らずに越えてしまうのは、避けられる後悔です。
3. 持ち続けるあいだに、費用と築年数が積み上がった
空室のまま、あるいは住み替え後も売らずに持ち続けると、管理費・修繕積立金・固定資産税は毎月・毎年かかり続けます。住宅ローンが残っていれば利息もかかります。さらに築年数は確実に進みます。待った結果、価格が少し上がっても、その間の費用で差が消えてしまうことがあります。
急いで後悔した3つのパターン
1. 相場より安く手放してしまった
「早く決めたい」という気持ちが先に立ち、最初の購入申込みを十分に検討しないまま受けてしまうパターンです。期限に追われていると、価格交渉で譲りすぎることがあります。
2. 値下げを急ぎすぎた
売り出して数週間で反響が少ないからと、根拠なく値下げを重ねてしまうパターンです。首都圏の中古マンションは、成約した物件でも東日本レインズへの登録から成約まで平均82.5日かかっています(東日本レインズ「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」)。1か月で反応が薄いことは、必ずしも価格が高すぎることを意味しません。
3. 自分の条件を確かめないまま売った
所有期間が5年を超える数か月前に売って、税率の高い短期譲渡所得になってしまった。新居が決まる前に売って、仮住まいの費用と二度の引っ越しがかかった。こうした後悔は、相場ではなく自分の条件を確かめていれば防げたものです。
2つの後悔に共通するのは「相場だけで判断したこと」
待って後悔したパターンの背景には「もっと上がる」という予想があり、急いで後悔したパターンの背景には「この先下がる」という不安や「早く決めたい」という焦りがあります。どちらも、自分の条件を確かめる前に判断していました。
相場は自分では決められません。一方で、生活の期限・所有期間・年をまたぐかどうか・持ち続ける費用は、自分で確かめて決められます。売り時の判断の軸を、自分で決められる側に置き直すことが、後悔しにくいタイミングの決め方です。
POINT 売り時を決めるのに必要なのは、相場を当てる勇気ではありません。自分の条件を数字で確かめ、そのうえで「この時期に売る」「この時期までは待つ」と決めることです。待つと決めることも、立派な判断です。
相場は読み切れない——売り時を「相場当て」で決めない理由
都心のマンション相場には、上がる方向の材料と下がる方向の材料が同時に存在しています。どちらが勝つかを当てることは、専門家でも困難です。この章では、直近のデータを簡単に確認したうえで、相場に代わる判断の軸を示します。
上がる材料と下がる材料が同時にある
東日本レインズの2026年8月度のデータでは、首都圏の中古マンションについて次の動きが同時に出ています。
| 項目 | 2026年8月度 | 前年同月比 | 読み取れること |
|---|---|---|---|
| 成約㎡単価(首都圏) | 81.60万円 | マイナス3.8%(4か月連続で前年同月を下回る) | 成約㎡単価は前年を下回っている |
| 成約㎡単価(東京都区部) | 132.69万円 | マイナス0.3%(76か月ぶりの下落) | 都区部の下落はごく小幅 |
| 新規登録㎡単価(首都圏) | 116.81万円 | プラス21.5%(28か月連続で前年同月を上回る) | 売り出し価格の水準は前年を上回る状態が続いている |
| 在庫件数(首都圏) | 48,235件 | プラス8.2%(6か月連続の増加) | 市場に出ている在庫は増えている |
金利の面では、日本銀行が政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)の引き上げを、2026年6月16日(1.0%程度へ)と9月18日(1.25%程度へ)に決めました(9月の決定は9月24日から適用。日本銀行「金融市場調節方針の変更について」)。金利の上昇は買主の借入余力に影響しますが、それが価格にいつ、どれだけ表れるかは、物件の立地や価格帯によって異なります。
売り出し価格(新規登録㎡単価)は前年を上回る状態が続き、成約㎡単価は前年を下回り、在庫は増えている。この組み合わせから「この先どちらに動くか」を断定することはできません。市況の詳しい読み方は東京23区の中古マンション価格の記事、金利の影響は日銀の利上げと不動産の記事で解説しています。
相場が動いたときの幅を、自分の物件で計算しておく
相場を当てる代わりにできるのは、「相場が動いたら、自分の物件はいくら変わるか」を先に計算しておくことです。
| 売却価格 | 1%動いた場合 | 3%動いた場合 | 5%動いた場合 |
|---|---|---|---|
| 8,000万円 | 80万円 | 240万円 | 400万円 |
| 1億円 | 100万円 | 300万円 | 500万円 |
| 1億5,000万円 | 150万円 | 450万円 | 750万円 |
この幅は、上にも下にも動きます。待って上がれば得をし、下がれば損をします。大事なのは、この幅を「持ち続ける費用」や「税の区切り」と同じ土俵に並べて比べることです(詳しくは待つことの損得の章で試算します)。
自分で決められる4つの条件
相場の代わりに判断の軸にするのが、次の4つの条件です。いずれも、相場と違ってご自身で事前に確かめられます。
| 条件 | 確かめること | 効いてくる場面 |
|---|---|---|
| ① 生活の期限 | 新居の引き渡し日、転勤・入学の時期、相続の手続きの期限 | 「いつまでに売り終える必要があるか」が決まる |
| ② 所有期間の1月1日 | 購入時の引き渡し日(取得日)と、売る年の1月1日時点の所有年数 | 5年を超えるかどうかで税率が約半分になる |
| ③ 年をまたぐかどうか | 引き渡しを12月にするか1月にするか | 確定申告の年、翌年度の固定資産税の扱い、年末が期限の特例 |
| ④ 待つことの損得 | 管理費・修繕積立金・固定資産税・ローン利息の月額 | 待つ費用と相場の変動幅を比べる |
季節(一般に1〜3月は買主が動きやすいといわれます)も売りやすさに関わりますが、季節だけで価格が決まるわけではありません。次章から、4つの条件を順に確かめていきます。
条件①生活の期限から決める——住み替え・転勤・相続
生活の期限とは、「いつまでに売り終えなければならないか」を決める事情のことです。期限がある方は、相場より先にこの期限から逆算して売却の時期を決めます。期限がない方は、急ぐ理由がないこと自体が、慌てて安売りしないための強みになります。
住み替え:新居の引き渡し日から逆算する
住み替えでは、新居の引き渡し日(または入居したい日)が、売却のゴールを決めます。今の住まいを先に売る「売り先行」なら、資金計画は立てやすい一方、仮住まいが必要になることがあります。新居を先に買う「買い先行」なら、引っ越しは一度で済みますが、売却が長引くと住宅ローンを2本抱える期間が生じます。
どちらを選ぶかで、売り出すべき時期は大きく変わります。ダブルローンの負担や資金計画は住み替え時のダブルローンの記事で詳しく解説しています。
転勤・入学など、家族の予定から逆算する
転勤の内示や子どもの入学・進学は、時期がほぼ決まっている期限です。引っ越しの時期から逆算して、引き渡しまでに必要な期間(後述の逆算スケジュール)を確保します。期限の直前に売り出すと、価格交渉で譲らざるを得なくなりやすいため、余裕を持って動き始めることが後悔を防ぎます。
住まなくなった自宅・相続したマンション:手続きと特例の期限を確かめる
相続したマンションを売る場合、相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です(国税庁 タックスアンサーNo.4205)。相続税の納税も、この申告期限までに行います。納税資金を売却代金でまかなう場合は、この期限が、売却代金を用意するうえでの実質的な期限になります。
以前住んでいた自宅(住まなくなった家)を売る場合は、税の特例が使えることがあり、その中には売る時期に期限が設けられているものがあります。期限を1日でも過ぎると使えなくなるため、売却の時期を決める前に確認してください。要件は3,000万円特別控除の記事で解説しています。
一方、相続したマンションを売る場合は、使える特例やその期限が、住まなくなった自宅とは異なります。相続したマンションの売却手順と税金は相続マンション売却の記事で解説しています。特例を使えるかどうかは個別の事情で変わるため、税理士にご確認ください。親の家の売却時期は実家マンション売却の記事で解説しています。
「今は売らないほうがよい」ケースもある
生活の期限を確かめると、「今は売らない」という結論になることもあります。たとえば、売却価格で住宅ローンを完済できない(いわゆるオーバーローンの)場合は、差額を自己資金で用意する必要があります。住み替え先が決まっておらず、仮住まいの費用や手間を見込んでいない場合も、売却を急ぐ理由は弱くなります。ローンが残っている場合の売却の進め方は住宅ローンが残っているマンションの売却の記事をご覧ください。
条件②所有期間の「1月1日」から決める
マンションを売って利益(譲渡所得)が出た場合、その税率は所有期間によって大きく変わります。所有期間は「売った年の1月1日時点」で判定されるため、売る年が1年ずれるだけで税率が変わる方がいます。
5年を超えるかどうかは「売った年の1月1日」で判定する
国税庁は、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える土地や建物の譲渡を長期譲渡所得、5年以下のものを短期譲渡所得としています(国税庁 タックスアンサーNo.3208・No.3211)。
| 区分 | 所有期間(売った年の1月1日時点) | 税率(所得税+復興特別所得税+住民税) |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63%(30%+0.63%+9%) |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315%(15%+0.315%+5%) |
5年を超えると、税率はおよそ半分になります。
「取得した年+6年」の1月1日から長期になる
引き渡しを受けた日から数えて「5年たったから長期」と考えるのは誤りです。判定するのは、あくまで売った年の1月1日時点です。
たとえば2021年中に取得した(引き渡しを受けた)場合、2026年1月1日時点の所有期間は5年以下なので、2026年中に売ると短期です。2027年1月1日時点では5年を超えるので、2027年に売ると長期になります。目安としては「取得した年に6を足した年の1月1日以降に売れば長期」と覚えておくと分かりやすいでしょう。
なお、所有期間の起点となる取得日にも、売却時と同じく「引き渡しを受けた日」を原則とし、契約の効力発生日によることもできるという考え方があります(所得税基本通達33-9)。購入時の契約日と引き渡し日が年をまたいでいた方は、どちらで数えるかを確認しておきましょう。
あと数か月で5年を超える人は、年明けまで待つ価値があるか
売る年の1月1日を越えれば長期になる方は、年内に売るか年明けに売るかで税率が変わります。利益が大きいほど、その差は大きくなります。
一方で、税率の差だけで「待つべき」と決めるのも早計です。譲渡所得が出ない場合や、特例の適用で税金がかからない場合は、5年の区切りは関係しないこともあります。なお、建物の取得費は、購入代金などから所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額です(国税庁 タックスアンサーNo.3252)。購入価格より安く売っても、譲渡所得が出ることがあります。売却で利益が出るかどうか、税金がいくらになるかの見込みはマンション売却の税金の記事で確認できます。そのうえで、待つ費用(条件④)と並べて判断してください。
注意 年末に売買契約を結び、年明けに引き渡す場合は、どちらの日を「売った日」とするか(次章で解説)によって、「売った年」の扱いが変わる可能性があります。所有期間が5年前後の方は、契約の前に税務署または税理士に確認してください。
条件③年をまたぐかどうかで変わる税と固定資産税
年内に引き渡すか、年明けに引き渡すか。この1か月ほどの違いで、譲渡所得をどの年の所得として申告するか、翌年度の固定資産税の扱い、年末が期限の特例の扱いが変わります。この章では、国税庁の通達と地方税法の条文に沿って整理します。
譲渡所得は原則「引き渡しの年」の所得——契約の効力発生日の年も選べる
マンションを売った所得をどの年の所得として扱うかについて、国税庁の所得税基本通達36-12は次のように定めています。
- 原則:資産の引き渡しがあった日の属する年の所得とする
- 例外:納税者の選択により、売買契約の効力発生の日の属する年の所得として申告することも認められる
引き渡しがあった日は、所有権移転登記に必要な書類の交付など、支配が移った事実で判定され、原則として代金の決済が終わった日より後にはなりません(所得税基本通達36-12(注)1)。
つまり、12月に売買契約の効力が生じ、1月に引き渡す場合、原則どおり引き渡しの年(翌年)の所得として申告することも、契約の効力発生日の年(その年)の所得として申告することもできます。一方、契約も引き渡しも同じ年に済んだ場合は、どちらを選んでもその年の所得です。
12月と1月の引き渡しで、確定申告の年が1年ずれる
確定申告は、所得があった年の翌年2月16日から3月15日までに行います(所得税法第120条)。引き渡しの日を基準にすると、12月の引き渡しと1月の引き渡しでは、確定申告をする年が1年ずれます。
| 引き渡しの時期 | 譲渡所得の年(引き渡し日基準) | 確定申告の期間 |
|---|---|---|
| 2026年12月 | 2026年分 | 2027年2月16日〜3月15日 |
| 2027年1月 | 2027年分 | 2028年2月16日〜3月15日 |
譲渡所得として扱う年が変わると、所有期間の判定に使う「売った年の1月1日」(条件②)も変わる可能性があります。利益が出た場合の確定申告の進め方は、マンション売却後の確定申告の記事で解説しています。
固定資産税は1月1日の所有者に1年分かかる
固定資産税の賦課期日は、その年度の初日の属する年の1月1日です(地方税法第359条)。固定資産税は所有者に課され、その所有者とは登記簿などに所有者として登記されている人を指します(地方税法第343条)。
このため、年内に引き渡し、1月1日時点で登記簿上の所有者が買主になっていれば、翌年度の固定資産税は買主に課されます。 年明けに引き渡すと、1月1日時点の所有者は売主のままなので、翌年度の1年分が売主に課されます。法務局は12月29日から1月3日まで休みのため、年内に所有権移転登記を申請するには、2026年は12月28日(月)までに決済して申請しておく必要があります(下の「プロのアドバイス」参照)。
実務では、引き渡し日を境に、その年度の固定資産税を売主と買主で日割りして精算するのが一般的です。ただしこれは法律の定めではなく、売買契約での取り決めです。精算の起算日(1月1日とするか4月1日とするか)も契約で決めるため、契約書の内容を確認してください。
年末が期限になる特例がある
住まなくなった家を売る場合に使える税の特例の中には、「住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る」ことを要件とするものがあります(国税庁 タックスアンサーNo.3302)。このような特例を使う予定の方にとっては、年をまたぐかどうかが、特例を使えるかどうかを分けることがあります。要件の詳細は3,000万円特別控除の記事をご覧ください。
年内に引き渡す場合と年明けに引き渡す場合の比較
2026年12月に引き渡す場合と、2027年1月に引き渡す場合を比べると、次のとおりです(引き渡し日を基準にした場合)。
| 項目 | 2026年12月に引き渡す | 2027年1月に引き渡す |
|---|---|---|
| 譲渡所得の年 | 2026年分 | 2027年分(契約の効力発生日が2026年なら2026年分も選べる) |
| 確定申告の期間 | 2027年2月16日〜3月15日 | 2028年2月16日〜3月15日 |
| 所有期間の判定日 | 2026年1月1日 | 2027年1月1日(契約の効力発生日の年=2026年分として申告する場合は2026年1月1日になる可能性がある) |
| 2027年度の固定資産税が課される人 | 買主(1月1日時点で登記簿上の所有者が買主になっている場合。そのためには12月28日までに決済して登記を申請する必要があり、12月29日以降の決済では売主)。日割り精算は契約で決める | 売主(買主との日割り精算は契約で決める) |
| 年末が期限の特例 | 期限内に売れる | 期限を過ぎる場合がある |
どちらが有利かは、所有期間・利益の有無・特例を使うかどうかによって異なります。
プロのアドバイス 年末の決済・引き渡しは、金融機関・司法書士・引っ越し業者の予定が混み合います。日程を組むときは、所得税と固定資産税で基準となる日が違う点に注意してください。
所得税では、引き渡しの日は所有権移転登記に必要な書類の交付など、支配が移った事実で判定されます(所得税基本通達36-12(注)1)。銀行は12月31日から1月3日まで休みのため(銀行法施行令第5条)、2026年に決済できる最後の営業日は12月30日(水)です。この日に引き渡せば、原則としてその年の譲渡所得になります。
一方、固定資産税は1月1日時点の登記簿上の所有者に課されます。法務局などの行政機関は12月29日から1月3日まで休みのため(行政機関の休日に関する法律第1条)、12月29日・30日に決済しても登記の申請は1月4日以降になり、1月1日時点の所有者は売主のままです。翌年度の固定資産税を買主に移したい場合は、銀行と法務局の両方が開いている年内最後の日、2026年は12月28日(月)までに決済と登記の申請を済ませる必要があります。年内の日付で登記の申請が受け付けられるよう、決済日は司法書士と早めに調整しておきましょう。

図1:年末年始の決済日と、所得税・固定資産税の基準(2026年12月〜2027年1月)

条件④待つことの損得を数字で比べる
「待てば上がるかもしれない」という期待の裏には、「待つあいだの費用」があります。この章では、持ち続ける費用を月額で試算し、相場が動いたときの幅と並べて、待つか売るかを期待ではなく金額で判断する方法を示します。
持ち続ける費用の内訳
マンションを持ち続けると、次の費用がかかります。
| 費用 | 内容 | 参考 |
|---|---|---|
| 管理費 | 共用部分の清掃・管理会社への委託費など | 全国平均 月11,503円/戸 |
| 修繕積立金 | 将来の大規模修繕に備える積立金 | 全国平均 月13,054円/戸 |
| 固定資産税・都市計画税 | 毎年1月1日の所有者に課される | 評価額によって異なる |
| 住宅ローンの利息 | 元金を返す部分は資産の目減りではないため、費用は利息分 | 残高と金利で決まる |
1億円のマンションで試算すると
次の仮定で、持ち続ける費用を試算します。実際の金額は、お手元の管理費の請求書、固定資産税の納税通知書、ローンの返済予定表で置き換えてください。
| 費用 | 仮定 | 月額 |
|---|---|---|
| 管理費・修繕積立金 | 合計で月4万円と仮定 | 4万円 |
| 固定資産税・都市計画税 | 年30万円と仮定 | 2.5万円 |
| 住宅ローンの利息 | 残高5,000万円・金利1.0%と仮定(5,000万円×1.0%÷12) | 約4.2万円 |
| 合計 | 約10.7万円 |
この仮定では、空室のまま持ち続けると、半年待つと約64万円、1年待つと約128万円がかかります。
一方、相場の章で見たとおり、1億円の住戸は相場が1%動くと100万円、3%動くと300万円変わります。空室のまま持ち続ける前提で、税金や仲介手数料などを除き、売却価格の変化だけで単純に計算すると、1年待つ費用(約128万円)を取り戻すには1年で約1.3%以上の値上がりが必要です。逆に、待つあいだに相場が下がれば、費用と値下がりの両方を負担することになります。
POINT 今の住まいに住み続けながら待つ場合、管理費や利息は「住居費」でもあります。売って別の住まいに移れば、家賃などの住居費がかかります。住みながら待つ方は、売却後の住居費と比べたうえで「待つ費用」を考えてください。空室のまま持ち続けている場合は、上の試算がそのまま待つ費用になります。
大規模修繕と築年数の節目
待つ費用は、毎月の支払いだけではありません。大規模修繕の前後で修繕積立金が見直されたり、一時金の負担が生じたりすることがあります。また、待っているあいだも築年数は確実に進みます。築年数と価格の関係は築10年のマンションの記事・築20年のマンションの記事で詳しく解説しています。
比べ方:3つの数字を並べる
待つか売るかは、次の3つの数字を並べると判断しやすくなります。
- 待つ費用:持ち続ける月額 × 待つ月数(上の試算)
- 税の区切り:待てば長期譲渡所得になる、年末が期限の特例がある、など(条件②・条件③)
- 相場の幅:売却価格 × 1〜5%(上がる場合も下がる場合もある)
1と2は、相場に比べて、ご自身で事前に確かめやすい数字・条件です(税の扱いは個別の事情で変わるため、税務署や税理士への確認が必要な場合があります)。3は、事前には分かりません。確かめやすい数字・条件(1と2)で結論が出るなら、それに従う。確かめやすい数字で差がつかないときに初めて、相場の見通しを考える。この順番で考えると、相場の予想に振り回されにくくなります。
例:1億円の住戸で「半年待つ」か「今売り出す」かを比べる
上の試算(持ち続ける費用 月約10.7万円)を使い、空室のまま持っている1億円の住戸について、半年待った場合の損得を並べると次のようになります。
| 半年後の相場 | 売却価格の変化 | 半年分の持ち続ける費用 | 差し引き |
|---|---|---|---|
| 3%上がった | プラス300万円 | マイナス約64万円 | プラス約236万円 |
| 変わらない | 0円 | マイナス約64万円 | マイナス約64万円 |
| 3%下がった | マイナス300万円 | マイナス約64万円 | マイナス約364万円 |
相場が変わらなくても、待てば費用の分だけ手取りは減ります。この表の単純な比較(税金や仲介手数料を含めない試算)では、待って得をするのは、費用を上回る値上がりがあった場合です。ただし、待つあいだに所有期間が5年を超えて税率が下がる場合など、税の区切りを含めると結果が変わることがあります(条件②)。この表に所有期間の区切りや年末の期限を加えると、「待つ理由」を金額で説明できるかどうかが分かります。説明できる理由があれば待つ、なければ売り出しを検討する。これが、待って後悔しないための確かめ方です。

年内に引き渡すなら、いつまでに動けばいいか
年内に引き渡したい事情がある方にとって、日程は重要な判断材料です。売買契約から引き渡しまでにも時間がかかるため、「年内に売れる」と「年内に引き渡せる」は別の話です。この章では、公表データと当社の実務上の目安から逆算します。
「売買契約」と「引き渡し」は別の日
マンションの売却は、買主と売買契約を結んだ日に終わるわけではありません。契約後、買主の住宅ローンの本審査、残代金の決済、所有権移転登記を経て、引き渡しで完了します。
- 売り出しから契約まで:首都圏の中古マンションは、東日本レインズへの登録から成約まで平均82.5日(東日本レインズ「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」)。本記事では、売り出しとレインズへの登録を同じ時点として逆算します
- 契約から引き渡しまで:1〜2か月(当社の実務上の目安であり、公表された統計値ではありません。買主が住宅ローンを利用する場合、当社では約2か月をご案内しています)
登録から成約までの日数は、年によって変わっています。
| 年 | 登録から成約に至る日数(首都圏・中古マンション) |
|---|---|
| 2015年 | 65.5日 |
| 2017年 | 74.7日 |
| 2019年 | 81.7日 |
| 2021年 | 74.7日 |
| 2023年 | 80.1日 |
| 2024年 | 85.3日 |
| 2025年 | 82.5日 |
なお82.5日は成約した物件だけの平均です。売れ残っている物件の期間は含まれていません。価格設定によっては、これより大きく長引くこともあります。
12月下旬の引き渡しから逆算するスケジュール
12月25日ごろの決済・引き渡し(法務局が開いている年内最後の日、12月28日より前)を目標に、平均的なペースで逆算すると次のようになります。
| 段階 | 買主が住宅ローンを利用(契約〜引き渡し約2か月) | 契約〜引き渡し約1か月で進められる場合 |
|---|---|---|
| 査定・不動産会社選び・媒介契約 | 7月中 | 8月中 |
| 売り出し | 8月上旬 | 9月上旬 |
| 売買契約(登録から成約まで平均82.5日) | 10月下旬 | 11月下旬 |
| 決済・引き渡し | 12月下旬 | 12月下旬 |
査定から売り出しまでの準備には、書類の揃い具合などによって2〜4週間程度を見込みます。この逆算からわかるとおり、平均的なペースで年内に引き渡すには、8月上旬から9月上旬には売り出している必要があります。
10月の今から動いた場合の見通し
10月上旬に査定を始め、準備期間の目安(2〜4週間)のうち短いほうの2週間ほどで準備を終えて、10月中旬に売り出したとします。
- 平均どおり82.5日で成約した場合:契約は2027年1月上旬になります
- 年内(12月30日まで)に契約するには:売り出しから約75日で成約する必要があり、平均よりやや早いペースです
- 年内に引き渡すには:契約から引き渡しまでを約1か月で進められる場合でも、11月下旬までに契約する必要があります。売り出しから約40日、平均の半分ほどの日数です
つまり、10月から動き始める場合、年内の引き渡しは、早く買主が決まり、決済までを短期間で進められる条件がそろったときに限られます。 現実的な見通しは「引き渡しは年明け」で、契約は、平均よりやや早く買主が決まれば年内、平均どおりなら年明けになります。年内に契約の効力が生じていれば、条件③で見たとおり、譲渡所得をその年の所得として申告する選択肢もあります。

図2:10月中旬に売り出した場合の見通し(平均ペースとの比較・当社試算)
成約までの期間を縮めるためにできること
期間を短くするために売主ができることは、主に次の4つです。
- 相場に合った売り出し価格にする:根拠のある価格で売り出すことが、反響を集める基本です
- 書類を先にそろえる:登記識別情報(権利証)、管理規約、長期修繕計画、固定資産税の納税通知書などを、売り出し前に準備しておきます
- 内見に応じやすくする:週末や夕方の内見に対応できると、検討の機会が増えます。秋は気候が穏やかで、内見を受けやすい季節です
- 広く情報を届ける:レインズへの登録やポータルサイトへの掲載で、多くの買主と不動産会社に物件情報を届けます
年内に間に合うか、ご自身の日程で確かめたい方へ
「年内に引き渡したい」「年明けまで待つべきか決めたい」という段階でのご相談も歓迎しております。同じマンション内の成約事例と現在の市況をもとに、売り出し価格の目安と、引き渡しまでの日程を一緒に確認します。査定を受けたからといって、媒介契約を結ぶ必要はありません。
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TEL: 03-6712-5218
受付時間:10:00〜19:00/火・水を除く
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年明けに売ると決めたら——次の動き方
日程と4つの条件を確かめた結果、年明けに売る、あるいは年明けに引き渡すと決めた方は、次のいずれかの動き方になります。どれを選ぶかは、生活の期限と税の区切りで決まります。
年内に契約し、引き渡しは年明けにする
10月から動き始め、平均よりやや早く買主が見つかった場合の選択肢です。年内に契約を済ませ、引き渡しを1〜2月にします。契約の効力が生じた年と引き渡しの年が分かれるため、譲渡所得をどちらの年の所得とするか(条件③)と、翌年度の固定資産税の精算方法を、契約の段階で確認しておきます。
年明けの繁忙期に向けて準備する
急ぐ事情がなく、所有期間の区切りなどから年明けの売却が有利な方は、年明けから春にかけての時期に売り出す選択肢があります。1〜3月は、新年度に向けて住まいを探す買主が動きやすい時期といわれます。年末年始のうちに準備を進め、年明けに売り出す具体的な手順は12月から始める売却準備の記事で解説しています。
期限を優先するなら、買取も比べる
相続税の納付期限や住み替え先の引き渡し日など、動かせない期限が迫っている場合は、不動産会社が直接買い取る「買取」も選択肢になります。買取は短期間で現金化できる一方、価格は仲介で売る場合より低くなるのが一般的です。仲介との違いはマンションの買取の記事をご覧ください。
売却の手取りを左右する仲介手数料
売る時期を決めたら、売却後に手元に残る金額も確かめておきましょう。手取りを左右する費用のうち、最も大きいものの一つが仲介手数料です。
仲介手数料の上限と、ゼロチュー売却の場合
仲介手数料の上限は、売買価格が400万円を超える場合、原則として「(売買価格×3%+6万円)×消費税」です(宅地建物取引業法に基づく国土交通省告示)。1億円のマンションなら、上限は336万6,000円になります。
グローバルトラスト不動産の「ゼロチュー売却」では、売主様の仲介手数料は、買主を見つけた会社によって次のように決まります。
| 買主を見つけた会社 | 売主様の仲介手数料 |
|---|---|
| グローバルトラスト不動産 | 0円 |
| 他の不動産会社 | (売却価格×1.5%+6万円)×消費税 |
手数料は売主様がプランを選ぶものではなく、どの会社が買主を見つけたかという成約の結果で決まります。当社はどの場合も物件情報をレインズに登録し、他社からの買主の紹介も受け付けています。仕組みの詳細は仲介手数料が無料になる仕組みの記事、計算方法は仲介手数料の計算方法の記事で解説しています。
POINT 仲介手数料は、売却の時期によって変わるものではありません。一方で、手取りの金額が分かると、待つことの損得を比べるときの基準がはっきりします。売る時期の判断と手取りの確認は、一緒に進めるのがおすすめです。
手取りと待つ費用を、ご自身の数字で比べたい方へ
売却価格の目安、仲介手数料、持ち続ける費用を並べると、「今売るか、待つか」を金額で比べられます。ご自身の物件の数字で確かめたい方は、お気軽にご相談ください。
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あなたのケースで考える4つの判断シナリオ
ここまでの内容を、売主の状況別に整理します。ご自身に近いシナリオから、売る時期の決め方を確認してください。
POINT 4つのシナリオは判断の軸を整理したものであり、特定の時期を断定するものではありません。税金については、個別の事情によって扱いが変わるため、税務署または税理士にご確認ください。
シナリオA:住み替え先の引き渡し日が決まっている
新居の引き渡し日から逆算して、売り出す時期を決めます。 期限がある場合、相場の予想で待つ余裕はありません。逆算スケジュールで必要な期間を確かめ、売り先行か買い先行かを先に決めておきましょう。期限が迫っている場合は、買取も比較の対象になります。
確かめる数字は、新居の引き渡し日、今の住まいの売却に必要な期間(売り出しから引き渡しまで)、買い先行の場合に住宅ローンを2本抱える月数と月額です。
シナリオB:所有期間がもうすぐ5年を超える
売る年の1月1日時点で5年を超えるかどうかを、まず確かめます。 年明けに売れば長期譲渡所得になる方は、税率がおよそ半分になります。年内に契約して年明けに引き渡す場合の扱いは、契約の前に税務署または税理士に確認してください(条件②・条件③)。
確かめる数字は、購入時の引き渡し日と売買契約の効力発生日、売却で利益が出る見込みかどうか、5年を超えるまで待つあいだの持ち続ける費用です。利益が出ない見込みなら、5年の区切りを待つ意味は小さくなります。
シナリオC:住まなくなった自宅や、相続したマンションを売る
手続きの期限と、特例の期限を最初に確認します。 住まなくなった自宅なら、年末が期限になる特例があります(3,000万円特別控除の記事)。相続したマンションなら、相続税の申告期限に加えて、相続の場合に使える特例の要件と期限を、相続マンション売却の記事と税理士への相談で確認します。相続税を売却代金で納める予定なら、その納税期限までに資金を用意できる日程が実質的な期限になります。特例を使う場合は、特例ごとの売却の期限も別に確認します。空室のまま持ち続けている場合は、待つ費用がそのままかかり続けます。
確かめる数字は、相続の開始日(または住まなくなった日)から数えた各期限の日付と、空室のまま持つ場合の月額です。期限が年末にかかる場合は、年内に売却を終えられるかどうかが判断の分かれ目になります。契約と引き渡しのどちらの日で判定するかは、税務署または税理士に確認してください。
シナリオD:期限はないが、値下がりが心配
待つ費用と相場の幅を金額で並べます。 空室のまま持つ1億円の住戸で、1年待つ費用が約128万円(本記事の仮定)なら、待って得をするには1年で約1.3%以上の値上がりが必要です(税金や仲介手数料などを除いた単純計算)。確かめやすい数字で結論が出なければ、売り出し価格の目安を確かめたうえで、「この価格なら売る」という基準を決めておく方法もあります。
基準を決めておけば、相場が上がっても下がっても、そのときに迷わず判断できます。「もっと上がるかもしれない」と待ち続ける後悔も、「下がるかもしれない」と慌てて売る後悔も、事前に決めた基準があれば避けやすくなります。
マンションの売り時に関するよくある質問
2026年の今は、マンションの売り時ですか?
相場だけで「今が売り時」と断定することはできません。2026年8月時点で、首都圏の中古マンションの成約㎡単価は前年を下回る一方、売り出し価格(新規登録㎡単価)は前年を上回る状態が続いており、上がる材料と下がる材料が同時にあります。売り時は、生活の期限・所有期間・年をまたぐかどうか・待つ費用の4つの条件で判断することをおすすめします。
値下がりが心配です。早く売ったほうがいいですか?
値下がりの心配だけを理由に急ぐと、相場より安く手放す後悔につながることがあります。まず、持ち続ける費用を月額で計算し、相場が数%動いたときの金額と比べてください。待つ費用が大きく、税の区切りもすでに越えているなら、早めに売る合理性は高くなります。
マンションを売って後悔しないために、売る前に何を確かめればいいですか?
相場の予想より先に、自分で確かめられる4つの条件を確認してください。生活の期限(いつまでに売り終える必要があるか)と、所有期間(売る年の1月1日時点で5年を超えるか)。さらに、年をまたぐかどうか(譲渡所得の年・固定資産税・特例の期限)と、待つ費用(持ち続ける月額)です。この4つを数字で並べると、売る理由も待つ理由も説明できるようになります。
住み替えでは、売り先行と買い先行のどちらが後悔しにくいですか?
どちらが後悔しにくいかは、資金の余裕と期限によって変わります。売り先行は売却価格が確定してから新居を選べる一方、仮住まいが必要になることがあります。買い先行は引っ越しが一度で済む一方、売却が長引くと住宅ローンを2本抱える期間が生じます。売却にかかる期間(登録から成約まで平均82.5日+引き渡しまで1〜2か月)を見込んだうえで選んでください。
今から動いて、年内に引き渡せますか?
10月から動く場合、年内の引き渡しは条件がそろったときに限られます。首都圏の中古マンションは東日本レインズへの登録から成約まで平均82.5日で、契約から引き渡しまで1〜2か月(当社の実務上の目安)かかるためです。現実的には引き渡しは年明けで、契約も、平均どおりのペースなら年明けになる見通しです。
12月に契約して1月に引き渡すと、どちらの年の確定申告になりますか?
原則は引き渡しの年(翌年)の所得として申告します。ただし、納税者の選択により、契約の効力発生日の年(その年)の所得として申告することも認められています(所得税基本通達36-12)。どちらを選ぶかで所有期間の判定に影響する場合があるため、税務署または税理士にご確認ください。
所有期間の5年はどう数えますか?
売った年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えているかで判定します。たとえば2021年中に取得した(引き渡しを受けた)場合、2026年中に売ると短期、2027年に売ると長期になります。「取得した年に6を足した年の1月1日以降に売れば長期」と覚えておくと分かりやすいでしょう。
年をまたいで引き渡すと、翌年度の固定資産税は誰が払いますか?
固定資産税は、1月1日時点で登記簿上の所有者になっている人に1年分が課されます(地方税法第343条・第359条)。年明けに引き渡す場合、翌年度の固定資産税は売主に課されます。年内に引き渡す場合でも、法務局は12月29日から1月3日まで休みのため、12月29日以降の決済では登記の申請が年明けになり、翌年度の固定資産税は売主に課されます。そのうえで、引き渡し日を境に買主と日割りで精算するのが一般的ですが、精算の方法は売買契約で取り決めます。
マンションは築何年が売り時ですか?
築年数だけで売り時を決めることはできません。同じ築年数でも、立地・管理状態・そのときの市況によって売れ方や価格に差が出るためです。築年数の節目ごとの価格の目安や売り方は、築10年のマンションの記事と築20年のマンションの記事で解説しています。築年数は待つあいだも進むため、本記事の4つの条件、とくに待つことの損得と合わせて判断してください。
1〜3月の繁忙期まで待ったほうが、高く売れますか?
1〜3月は新年度に向けて買主が動きやすい時期といわれますが、季節だけで価格が決まるわけではありません。待つあいだの費用や、所有期間・年末の期限などの条件と合わせて判断してください。年明けに売ると決めた方の準備は、12月から始める売却準備の記事で解説しています。
まとめ|売り時は「相場」ではなく「自分の条件」で決める
マンションの売り時を、相場の天井や底を当てて決めることはできません。本記事で挙げた「待って後悔」「急いで後悔」のパターンは、どちらも自分の条件を確かめる前に、相場の予想で判断していました。後悔しにくいのは、自分で確かめられる条件で時期を決めた人です。
- 生活の期限:住み替え・転勤・相続の期限から逆算する
- 所有期間の1月1日:売る年の1月1日時点で5年を超えるかどうかで、税率がおよそ半分になる
- 年をまたぐかどうか:12月と1月の引き渡しで、確定申告の年と翌年度の固定資産税の扱いが変わる。譲渡所得は原則として引き渡し日の年の所得だが、契約の効力発生日の年の所得として申告することもできる(所得税基本通達36-12)
- 待つことの損得:持ち続ける費用(空室の1億円の例で年約128万円)と、相場の変動幅(1%で100万円)を金額で並べる
年内に引き渡したい方は、平均的なペースなら8月上旬から9月上旬に売り出している必要があります。10月から動く場合は、引き渡しは年明けという見通しが現実的で、年内の契約も平均よりやや早く買主が決まった場合に限られます。
確かめやすい数字で結論が出るなら、それに従う。確かめやすい数字で差がつかないときに初めて、相場の見通しを考える。この順番が、「あのとき売っておけば」「あのとき待っていれば」という後悔を減らします。
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本記事で使用したデータの出典・集計方法
| データ | 出典 | 時点 | 集計方法 |
|---|---|---|---|
| 首都圏中古マンションの成約㎡単価(81.60万円・前年同月比マイナス3.8%)、新規登録㎡単価(116.81万円・同プラス21.5%)、在庫件数(48,235件・同プラス8.2%)、東京都区部の成約㎡単価(132.69万円・同マイナス0.3%) | 公益財団法人 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch」2026年8月度 | 2026年8月(2026年9月10日公表) | 公表数値を引用 |
| 首都圏中古マンションの登録から成約に至る日数(2015〜2025年・2025年は82.5日) | 公益財団法人 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」 | 2025年(2026年10月確認) | 公表数値を引用 |
| 政策金利の引き上げ(2026年6月16日・1.0%程度) | 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」 | 2026年6月16日 | 公表情報を引用 |
| 政策金利の引き上げ(2026年9月18日・1.25%程度) | 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」 | 2026年9月18日 | 公表情報を引用 |
| 譲渡所得の収入すべき時期(引き渡しの日/契約の効力発生の日の選択) | 国税庁「所得税基本通達36-12」 | 2026年10月確認 | 通達を引用 |
| 取得の日の判定 | 国税庁「所得税基本通達33-9」 | 2026年10月確認 | 通達を引用 |
| 長期・短期譲渡所得の区分と税率(譲渡した年の1月1日現在の所有期間) | 国税庁 タックスアンサーNo.3208・No.3211 | 令和8年4月1日現在法令等 | 公表情報を引用 |
| 住まなくなった家屋を売る場合の期限(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日) | 国税庁 タックスアンサーNo.3302 | 令和8年4月1日現在法令等 | 公表情報を引用 |
| 相続税の申告期限(死亡を知った日の翌日から10か月以内) | 国税庁 タックスアンサーNo.4205 | 令和8年4月1日現在法令等 | 公表情報を引用 |
| 確定申告の期間(翌年2月16日から3月15日まで) | 所得税法 第120条(e-Gov法令検索) | 2026年10月確認 | 条文を引用 |
| 固定資産税の賦課期日(1月1日)と納税義務者 | 地方税法 第343条・第359条(e-Gov法令検索) | 2026年10月確認 | 条文を引用 |
| 行政機関(法務局)の休日(12月29日から1月3日まで) | 行政機関の休日に関する法律 第1条(e-Gov法令検索) | 2026年10月確認 | 条文を引用 |
| 建物の取得費(購入代金などから減価償却費相当額を差し引く) | 国税庁 タックスアンサーNo.3252 | 令和8年4月1日現在法令等 | 公表情報を引用 |
| 銀行の休日(12月31日から1月3日まで) | 銀行法施行令 第5条(e-Gov法令検索) | 2026年10月確認 | 条文を引用 |
| 管理費(月11,503円)・修繕積立金(月13,054円)の全国平均 | 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」 | 令和5年度調査(2024年6月公表) | 公表数値を引用(駐車場使用料等からの充当額を除く月/戸当たり) |
| 仲介手数料の上限(原則:売買価格×3%+6万円+消費税) | 宅地建物取引業法に基づく国土交通省告示(昭和45年建設省告示第1552号/令和6年6月21日国土交通省告示第949号改正) | 令和6年7月1日施行 | 公表情報を引用 |
| 逆算スケジュール、持ち続ける費用の試算、相場の変動幅の試算 | 上記の公表数値と本文に記載した仮定に基づく当社試算 | 2026年10月 | 当社推計 |
| 契約から引き渡しまでの期間(1〜2か月。買主が住宅ローンを利用する場合は約2か月) | グローバルトラスト不動産株式会社 | 2026年10月時点 | 当社の実務上の目安 |
| ゼロチュー売却の手数料(当社が買主を見つけた場合0円/他社が買主を見つけた場合(売却価格×1.5%+6万円)×消費税) | グローバルトラスト不動産株式会社 | 2026年10月時点 | 自社サービスの条件 |
【最終更新日】 2026年10月2日
【免責事項】 本記事はマンションの売却時期に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の物件の売却価格・売却期間や、税務上の取扱いを保証するものではありません。記載の試算は本記事作成時点の公表情報と当社の仮定に基づくものです。譲渡所得の申告や特例の適用については、個別の事情によって取扱いが異なるため、税務署または税理士にご確認ください。
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