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マンションご売却

2026/08/22

マンション売却の仲介手数料の計算方法|早見表と「+6万円」の正体

仲介手数料の計算方法と早見表を解説するイメージ

不動産を売るときに支払う仲介手数料の上限は、売却価格が400万円を超える場合、(売却価格 × 3% + 6万円)× 1.1 です。売却価格が1億円なら、上限は336万6,000円(税込)になります。

この式そのものは、多くのサイトに載っています。ただ、実際に自分の物件で計算しようとすると、細かいところでつまずきます。「+6万円」の6万円とは何なのか。消費税は売却価格に含めて計算するのか、抜いて計算するのか。課税事業者と免税事業者で何が変わるのか。

この記事では、仲介手数料の計算方法を、法令の原文に当たりながら整理します。速算式の「+6万円」がなぜ6万円なのかを分解し、5,000万円から2億円までの早見表を掲載し、そのうえで「早見表の金額がそのまま請求されるとは限らない理由」まで説明します。

【この記事でわかること】

  • 仲介手数料の上限額の計算方法(3つの区分と速算式)
  • 速算式の「+6万円」が何を意味しているのか
  • 売却価格別・仲介手数料の上限額早見表(5,000万円〜2億円)
  • 課税事業者と免税事業者で上限額がどう変わるのか
  • 消費税・端数処理・支払いのタイミングといった計算の実務
  • 買主側の仲介手数料と、代理を依頼した場合の上限
  • 計算した金額を下げる方法はあるのか

【価格帯・知りたいことからジャンプ】


1. 仲介手数料の計算方法|上限額は3つの区分で決まる

仲介手数料とは、不動産会社に売買の仲介を依頼し、売買契約が成立したときに支払う成功報酬です。金額には法令にもとづく上限があります。上限額は、売却価格を3つの区分に分け、それぞれに定められた割合を掛けて合計したものです。売却価格が400万円を超える場合は、この計算を1本にまとめた速算式(売却価格 × 3% + 6万円)× 1.1 が使えます。

上限額は法令で決まっている

仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法にもとづく国土交通省の告示で定められています(昭和45年建設省告示第1552号/最終改正 令和6年6月21日国土交通省告示第949号)。売買の媒介について、依頼者の一方から受け取れる報酬の上限は次のとおりです。

売却価格のうち 上限の割合(消費税等相当額を含む)
200万円以下の部分 5.5%
200万円を超え400万円以下の部分 4.4%
400万円を超える部分 3.3%

ここで大切なのは、「全体をひとつの割合で計算する」のではないという点です。売却価格を上の3つに区分し、それぞれの部分に対応する割合を掛けて、最後に合計します。

たとえば売却価格が1億円なら、次のように分解されます。

  1. 200万円以下の部分(200万円)→ 200万円 × 5.5% = 11万円
  2. 200万円を超え400万円以下の部分(200万円)→ 200万円 × 4.4% = 8万8,000円
  3. 400万円を超える部分(9,600万円)→ 9,600万円 × 3.3% = 316万8,000円

合計すると336万6,000円(税込)です。これが1億円で売却したときの仲介手数料の上限になります。

なお、表の割合は消費税の課税事業者である不動産会社の場合のものです(消費税の納税義務が免除される免税事業者には、告示上、別の算定方法が定められています。詳しくは消費税・端数処理のセクションで説明します)。

400万円を超えるなら速算式が使える

区分ごとに計算するのは手間がかかるため、実務では計算を1本の式にまとめた速算式が使われます。

速算式(売却価格が400万円を超える場合) 仲介手数料の上限 =(売却価格 × 3% + 6万円)× 1.1

先ほどの1億円で確かめてみます。

(1億円 × 3% + 6万円)× 1.1 =(300万円 + 6万円)× 1.1 = 336万6,000円

区分ごとに計算した結果と一致しました。速算式は簡略化した近似式ではなく、区分計算と完全に同じ金額が出る式です。

この「+6万円」が何を意味しているのかは、次のセクションで分解します。

計算の基礎は「消費税を抜いた売却価格」

見落とされやすいのが、計算の基礎になる金額は、消費税を含まない売却価格だという点です。告示は次のように定めています。

当該売買に係る代金の額(当該売買に係る消費税等相当額を含まないものとする。

個人が自己の居住用マンションを売却する場合、通常、売却代金に消費税はかかりません。そのため、この点で悩むことはまずありません。問題になるのは、売主が不動産会社などの事業者で、建物価格に消費税が含まれている場合です。事業者がリノベーションして再販するマンションや、新築マンションなどが該当します。この場合は、消費税を抜いた金額に直してから計算します。具体例は計算の実務のセクションで扱います。

これは「上限」であって「定価」ではない

もう一点、計算に入る前に押さえておきたいことがあります。告示が定めているのは「この金額を超えて受け取ってはならない」という上限だけで、「これ以上は受け取らなければならない」という下限は定められていません。

つまり上限の範囲内であれば、仲介手数料は依頼者と不動産会社が協議のうえで決めることになります。半額にすることも、0円にすることもできます。仲介手数料を無料とうたう不動産会社があるのは、このためです。

その仕組みと注意点については「マンション売却の仲介手数料が無料になる仕組み」で詳しく解説しています。本記事では、まず「原則どおりならいくらか」を確定させることに集中します。


2. 「+6万円」とは何か|速算式の正体を分解する

速算式の「+6万円」は、手数料の基本料金でも、消費税でもありません。3つの区分に分けて計算した結果を、1本の式にまとめたときに生じる差額です。売却価格の全額を3%で計算することで不足する分を、後から足し戻している数字だと考えると理解しやすくなります。

なぜ6万円になるのか

売却価格が400万円を超えるとき、本来の計算は「200万円以下の部分は5%」「200万円超400万円以下の部分は4%」「400万円超の部分は3%」と分かれます(ここでは消費税を除いた本体部分で考えます)。

ところが速算式は、売却価格の全額に3%を掛けています。 本来5%・4%で計算すべき最初の400万円分についても、3%で計算してしまっているわけです。その足りない分を定数として足し戻したものが「+6万円」です。

数字で追ってみます。

  1. 本来、200万円以下の部分は 200万円 × 5% = 10万円
  2. 本来、200万円超400万円以下の部分は 200万円 × 4% = 8万円
  3. 速算式は、この400万円分も3%で計算している → 400万円 × 3% = 12万円

本来必要な額は 10万円 + 8万円 = 18万円、速算式が計算しているのは 12万円。その差は 18万円 − 12万円 = 6万円 です。

これが「+6万円」の正体です。物件ごとに変わる数字ではなく、400万円を超える取引であれば常に6万円になります。

速算式の「+6万円」が区分計算との差額から生じることを示す図

「+6万円」を忘れるといくらズレるか

自分で試算するときに起きやすいのが、「売却価格 × 3% + 消費税」と計算して「+6万円」を落としてしまうミスです。

売却価格1億円の場合で比べてみます。

計算方法 金額(税込)
誤:1億円 × 3% × 1.1 330万円
正:(1億円 × 3% + 6万円)× 1.1 336万6,000円

差は6万6,000円です。金額の大小にかかわらず、ズレる額は常に6万6,000円(6万円に消費税を加えた額)になります。売却価格が大きくなるほど誤差の比率は小さくなりますが、絶対額としては無視できません。資金計画を立てるときは、定数部分を落とさないようにしてください。


売却価格別の仲介手数料を確認するイメージ

3. 【早見表】売却価格別・仲介手数料の上限額(5,000万円〜2億円)

売却価格ごとの仲介手数料の上限額をまとめました。すべて告示の区分にもとづいて計算し、消費税率10%で算出しています。「本体額」は消費税を含まない金額、「上限額」は消費税を含んだ法令上の税込上限額です。いずれも法令が定める上限であり、実際に支払う金額を示すものではありません。実際の金額は媒介契約の内容によって決まります。

※以下の金額は、消費税の課税事業者である不動産会社に依頼した場合のものです(免税事業者に依頼した場合は別の算定方法が定められています)。

5,000万円〜2億円(都心マンションの価格帯)

本記事では、当社が主に扱う都心マンションを想定し、5,000万円〜2億円の価格帯を早見表にまとめています。仲介手数料は売却価格に比例して増えるため、この価格帯では金額の負担も大きくなります。

売却価格 本体額 上限額(税込)
5,000万円 156万円 171万6,000円
6,000万円 186万円 204万6,000円
7,000万円 216万円 237万6,000円
8,000万円 246万円 270万6,000円
9,000万円 276万円 303万6,000円
1億円 306万円 336万6,000円
1億1,000万円 336万円 369万6,000円
1億2,000万円 366万円 402万6,000円
1億3,000万円 396万円 435万6,000円
1億4,000万円 426万円 468万6,000円
1億5,000万円 456万円 501万6,000円
1億6,000万円 486万円 534万6,000円
1億7,000万円 516万円 567万6,000円
1億8,000万円 546万円 600万6,000円
1億9,000万円 576万円 633万6,000円
2億円 606万円 666万6,000円

渋谷区・港区・目黒区といったエリアで1億円前後の取引になると、上限額は300万円を超えます。 売却価格が1,000万円上がるごとに、仲介手数料は33万円ずつ増えていく計算です(1,000万円 × 3% × 1.1 = 33万円)。

この金額は、売却にかかる費用のなかで、譲渡所得税などの税金を除けば大きな項目になりやすい支出です。印紙税や抵当権抹消の登記費用と比べると、金額の桁が違います。ただし、リフォームや残置物の処分、住宅ローンの繰上返済手数料などが必要になる場合は、それらが仲介手数料を上回ることもあります。

早見表の金額がそのまま請求されるとは限らない

ここまでの表は「法令上の上限額」です。実際に支払う金額が、この表のとおりになるとは限りません。

前述のとおり、告示が定めているのは上限だけで、下限はありません。上限の範囲内でいくらにするかは、依頼者と不動産会社の協議で決まります。上限額を基準として手数料を設定する会社もあれば、割引や無料を設定している会社もあります。金額を下げる方法については後半のセクションで扱います。


早見表の金額は「上限」です

上の表でご自身の価格帯を確認されたら、次に必要になるのは実際の査定額です。仲介手数料は売却価格に連動するため、査定額が変われば手数料も変わります。また、手数料の条件は不動産会社によって異なるため、「いくらで売れそうか」と「そのとき手数料はいくらか」はセットで確認しておくと、資金計画のブレが小さくなります。

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4. 消費税・端数処理・支払いのタイミング|計算の実務

計算式が分かっても、実際の請求書を前にすると細かい疑問が出てきます。計算の基礎は税込価格か税抜価格か。消費税は何%か。端数はどう処理されるのか。いつ支払うのか。このセクションでは、計算にまつわる実務をまとめます。

建物価格に消費税が含まれる場合は、税抜きに直す

計算の基礎になるのは、消費税を含まない売却価格です。ここが問題になるのは、売主が事業者で、建物価格に消費税が含まれている場合です。都心でも、事業者がリノベーションして再販するマンションや新築物件では起こりえます。

たとえば、事業者が売主の物件を総額1億円(うち建物5,500万円・この中に消費税500万円を含む)で取引する場合を考えます。

計算方法 計算の基礎 上限額(税込)
誤:総額で計算 1億円 336万6,000円
正:消費税を除いて計算 9,500万円 320万1,000円

差は16万5,000円です。消費税を含んだまま計算すると、上限額を過大に見積もることになります。

一方、個人が自己の居住用マンションを売却する通常のケースでは、売却代金は消費税の課税対象とならないため、この論点は通常生じません。 消費税がかかるかどうかは、誰から購入したかではなく、その譲渡が事業として行われるかどうかで決まります。

(出典:国税庁「No.6109 事業者が事業として行うものとは」

消費税率は10%。仲介手数料は課税取引

仲介手数料は不動産会社が提供するサービスの対価であり、消費税の課税対象です。税率は10%で、軽減税率の対象ではありません。

告示の割合表(5.5%/4.4%/3.3%)は、すでに消費税を含んだ数字です。一方、速算式の「売却価格 × 3% + 6万円」は消費税を含まない本体額で、これに「× 1.1」を掛けて消費税を加えます。注意したいのは、税込の割合である3.3%で計算した金額に、さらに1.1を掛けてしまうことです。これでは消費税を二重に加算することになります。「(売却価格 × 3% + 6万円)× 1.1」で計算は完結します。

端数処理に法令の定めはない

計算結果に1円未満の端数が出た場合の処理について、告示に定めはありません。法令上の統一ルールがないため、端数処理は各社・契約内容によります。

もっとも、売却価格が万円単位で決まることが多いため、端数が問題になる場面はそれほど多くありません。気になる場合は媒介契約書の記載を確認してください。

免税事業者に依頼した場合は計算が変わる

告示の割合表は、消費税の課税事業者である不動産会社を前提としています。消費税の納税義務が免除される免税事業者に依頼した場合、上限額の算定方法が変わります。

消費税法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務を免除される宅地建物取引業者が…受けることができる報酬の額は、第二から第十までの規定に準じて算出した額に百十分の百を乗じて得た額、当該代理又は媒介における仕入れに係る消費税等相当額…を合計した金額以内とする。

かみ砕くと、課税事業者の場合の上限額から消費税相当分を除いた金額(110分の100を掛けた額。以下「税抜金額」)に、その会社が仕入れで負担した消費税相当額を加えた金額が上限になります。課税事業者向けの「× 1.1」をそのまま適用するのではなく、免税事業者向けの別の算定方法を用います。

さらに、上乗せできる「仕入れに係る消費税等相当額」には限度が定められています。国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」は次のように述べています。

…仕入れに係る消費税等相当額をコスト上昇要因として価格に転嫁することができる。この場合、仕入れに係る消費税等相当額は、税抜金額の0.04倍を限度とする。 なお、当該転嫁される金額は報酬額の一部となるものであって、この金額を消費税及び地方消費税として別途受け取るものではない。

(出典:国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)第46条第1項関係5

つまり、上乗せできるのは税抜金額の4%までです。売却価格1億円で比べると、次のようになります。

依頼先 計算 上限額
課税事業者 (1億円 × 3% + 6万円)× 1.1 336万6,000円
免税事業者 税抜金額306万円 + 306万円 × 4% 318万2,400円

免税事業者に依頼した場合、上限額はむしろ低くなります。上乗せ分は消費税として別途受け取るものではなく、報酬額の一部として扱われます。

依頼先が課税事業者か免税事業者かによって上限額が変わるため、気になる場合は媒介契約を結ぶ前に確認してください。

支払いは売買契約時と引き渡し時の2回が一般的

仲介手数料は、一般的に売買契約の締結時に半分、物件の引き渡し時に残り半分を支払います。ただし、これは商慣行であって、法令で定められた支払方法ではありません。 実際の支払時期は媒介契約で定めるため、契約前に確認してください。

注意しておきたいのは、売買契約時の支払いは売却代金を全額受け取る前に発生するという点です。1億円の物件で、上限額を契約時と引き渡し時に半額ずつ支払う契約であれば、契約時に168万3,000円を用意することになります。手付金でまかなえる場合もありますが、資金の流れとしては把握しておきたいポイントです。

なお、仲介手数料は成功報酬です。売買契約が成立しなければ発生しません。査定を受けた段階や、媒介契約を結んだ段階では支払い義務は生じません。

上限を超える請求・別名目の請求は原則できない

告示は、上限を超える報酬の受領を明確に禁止しています。

宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関し、第二から第十までの規定によるほか、報酬を受けることができない。ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額については、この限りでない。

告示の条文に明文で置かれた例外は、依頼者が依頼した広告の料金だけです。通常の売却活動に伴う広告掲載や物件調査の費用は仲介手数料に含まれており、別途請求できるものではありません。

ただし、これ以外に一切の実費を受け取れないという意味ではありません。国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」は、次のように述べています。

この規定には、宅地建物取引業者が依頼者の特別の依頼により行う遠隔地における現地調査や空家の特別な調査等に要する実費の費用に相当する額の金銭を依頼者から提供された場合にこれを受領すること等依頼者の特別の依頼により支出を要する特別の費用に相当する額の金銭で、その負担について事前に依頼者の承諾があるものを別途受領することまでも禁止する趣旨は含まれていない。

つまり、依頼者が特別に依頼したもので、かつ費用負担について事前に承諾しているものに限り、実費の受け取りが認められる余地があります。逆にいえば、依頼していないもの、事前に承諾していないものを後から請求することはできません。

「コンサルティング料」「書類作成費」といった名目で上限を超える金額を請求された場合は、その根拠を確認してください。

ただし、媒介とは別に依頼した独立した業務について、別途報酬が発生することはあります。同じ「解釈・運用の考え方」は、不動産コンサルティング業務など媒介以外の関連業務について次のように定めています。

媒介業務との区分を明確化するため、あらかじめ契約内容を十分に説明して依頼者の理解を得た上で、媒介契約とは別に、業務内容、報酬額等を明らかにした書面等により契約を締結し、成果物がある場合には書面で交付等すること。

(出典:国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)第34条の2関係11

つまり、媒介業務と区分されていて、事前に内容と報酬額の説明を受けたうえで別途契約したものであれば、媒介の報酬とは別に報酬を受け取ることが認められています。一方、媒介の一環として行われる調査や書類作成に、後から別名目の料金が付くことは想定されていません。判断の分かれ目は「媒介とは別の業務として、事前に契約したかどうか」です。

なお、売却時にかかる費用は仲介手数料だけではありません。印紙税、抵当権抹消の登記費用などが加わります。費用の全体像については「渋谷区のマンション売却にはどのくらいの諸費用がかかる?」をご覧ください。

また、仲介手数料は譲渡所得を計算する際の譲渡費用に含まれます。売却益が出た場合の税額計算に影響するため、領収書は保管しておいてください。詳しくは「マンション売却の税金はいくら?譲渡所得・取得費・軽減税率で試算」で解説しています。


5. 買主側の仲介手数料はどうなるか

買主が支払う仲介手数料も、売主とまったく同じ計算式・同じ上限が適用されます。 告示は「依頼者の一方につき」と定めており、売主・買主それぞれが上限額の対象になるためです。1億円の物件なら、売主側も買主側も、上限は336万6,000円(税込)です。

1社が売主と買主の両方から受け取るケースがある

不動産会社が売主と買主の双方を仲介した場合、双方から仲介手数料を受け取ることができます。 これを両手仲介と呼びます。1億円の取引であれば、1社で最大673万2,000円(税込)を受け取る計算です。

一方、売主側と買主側に別々の不動産会社が入る場合は、それぞれが自分の依頼者からのみ受け取ります。これが片手仲介です。

この構造は、不動産会社が「売主の手数料を0円にできる」理由にも、売却が長引く原因である「囲い込み」にもつながっています。仕組みの詳細は「片手仲介と両手仲介の違いは?どちらの不動産会社に依頼すればいい?」および「マンション売却の仲介手数料が無料になる仕組み」で解説しています。

「媒介」ではなく「代理」を依頼すると上限は2倍になる

あまり知られていませんが、告示は「媒介」と「代理」を分けて規定しています。ここまで説明してきたのはすべて媒介の場合の上限です。

代理は、不動産会社が依頼者の代理人として契約行為そのものを行うものです。告示では、代理の場合に受け取れる報酬の上限を、媒介の2倍以内と定めています。1億円の物件であれば、代理の上限は673万2,000円(税込)です。

ただし、依頼者から代理の報酬を受け取ったうえで、さらに取引の相手方からも報酬を受け取る場合は、その合計額が媒介の2倍を超えてはならないと定められています。個人の売主が代理契約を結ぶケースは多くありませんが、媒介契約書に「媒介」と書かれているかは確認しておいてください。


不動産会社に仲介手数料の条件を確認するイメージ

6. 計算した金額は、下げられるのか

ここまで計算してきた金額は、あくまで法令上の上限です。前述のとおり下限は定められていないため、上限の範囲内でいくらにするかは、依頼者と不動産会社の協議で決まります。

手数料を抑える手段としては、値引き交渉、不動産会社による買取、仲介手数料を0円や割引に設定している会社への依頼といった選択肢があります。ただし、いずれにも条件と副作用があります。値引きは交渉が通るとは限りません。不動産会社による直接買取であれば通常は仲介手数料が発生しませんが、買取価格は仲介で売却した場合の相場より低くなるのが一般的です(→「マンションの買取とは?仲介との違い・相場・流れと損しない会社の選び方」)。0円・割引の会社については、0円になる条件が会社ごとに大きく異なります。

それぞれの手段の詳しい比較と、依頼先を選ぶときに確認すべきことは「マンション売却の仲介手数料が無料になる仕組み|からくりと「無料にならない条件」を宅建士が解説」で解説しています。本記事では、手数料の条件によって手取りがいくら変わるのかという金額の面に絞ります。

手数料の条件によって、手取りはどう変わるか

同じ売却価格でも、仲介手数料の条件が違えば手取りは変わります。上限額を支払う場合、売却価格の1.5%+消費税を支払う場合、0円の場合の3つを並べます。

売却価格 上限額(3%+6万円+税) 売却価格の1.5%+消費税 0円の場合
5,000万円 171万6,000円 82万5,000円 0円
8,000万円 270万6,000円 132万円 0円
1億円 336万6,000円 165万円 0円
1億5,000万円 501万6,000円 247万5,000円 0円
※「売却価格の1.5%+消費税」は、法定上限額(3%+6万円+消費税)を単純に2分の1にした金額とは厳密には異なります。1億円の場合、上限額の半額は168万3,000円ですが、1.5%+消費税では165万円です。速算式の定数部分「+6万円」が半分に割られないためで、この差は売却価格にかかわらず3万3,000円で一定です。

グローバルトラスト不動産では、売主の仲介手数料が最大無料になる「ゼロチュー売却」を提供しています。当社が買主を見つけた場合(自社成約)は0円、他社が買主を見つけた場合は相場の半額(売却価格の1.5%+消費税)という設計です。上限額か0円かの二択にならないため、資金計画を立てやすくなります。

注意 手数料の条件だけで会社を選ぶと、判断を誤ることがあります。手数料の負担が軽くなっても、売却が長引いて値下げに至れば、失う金額のほうが大きくなることがあります。手数料の条件とあわせて、販売計画の内容・広告の範囲・レインズへの登録方針を確認してください(→「不動産の囲い込みとは?損する仕組み・見破り方」)。


7. あなたのケースで考える2つの判断シナリオ

計算方法がわかっても、「自分の場合はどこに注意すればいいのか」は価格帯や状況で変わります。代表的な2つのケースに整理しました。

シナリオA:都心マンション・1億円前後を売却する

手数料の実額が300万円を超える価格帯です。 上限額は336万6,000円(税込)で、売却にかかる費用のなかでも大きな項目になります。手数料の条件の違いがそのまま手取りの差に表れる金額帯なので、複数社で条件を比較しておく価値があります。 ただし、比較すべきは金額だけではありません。売却活動の内容とあわせて判断してください。

シナリオB:買い替えで、売却と購入が同時に発生する

売却分と購入分の法定上限額は、それぞれ別に計算されます。 買い替えだからといって、自動的に合算されたり割引されたりする制度はありません。1億円のマンションを売却して8,000万円の物件を購入する場合、売却側336万6,000円+購入側270万6,000円で、合計607万2,000円が上限になります。ただしこれはあくまで上限であり、実際に支払う手数料は各社の条件によります。買い替えでは資金計画が複雑になるため、両方の手数料を早い段階で見積もっておくことをおすすめします。

POINT 2つのシナリオは「こうすべき」と断定するものではなく、判断の材料を整理したものです。実際の判断は、ご自身の売却時期・住み替え先の状況・資金計画とあわせて、不動産会社と相談しながら決めることをおすすめします。


計算した金額を、実際の数字に置き換える

ここまでで、仲介手数料の計算方法と、ご自身の価格帯での目安をつかんでいただけたと思います。次に必要なのは、実際の査定額と、その会社の手数料条件です。 この2つが揃ってはじめて、手取り額の見通しが立ちます。グローバルトラスト不動産では、査定額と手数料の条件をあわせてご提示しています。他社と比較検討中の段階でのご相談も歓迎しています。

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8. よくある質問(FAQ)

仲介手数料の計算について、よく寄せられる質問にお答えします。金額に関する回答は、いずれも法令上の上限額です。実際に支払う金額は、媒介契約の内容によって変わります。

Q1. 仲介手数料の計算方法は?

売却価格を3つに区分し、200万円以下の部分に5.5%、200万円を超え400万円以下の部分に4.4%、400万円を超える部分に3.3%を掛けて合計します。売却価格が400万円を超える場合は、速算式「(売却価格 × 3% + 6万円)× 1.1」で同じ金額が出ます。計算の基礎になるのは、消費税を含まない売却価格です。

Q2. 仲介手数料は5,000万円でいくらですか?

上限は171万6,000円(税込)です。(5,000万円 × 3% + 6万円)× 1.1 で計算します。これは法令が定める上限額であり、実際に支払う金額は媒介契約の内容によって決まります。

Q3. 仲介手数料の6万円とはどういう意味ですか?

区分ごとの計算を1本の式にまとめたときに生じる差額です。 手数料の基本料金でも消費税でもありません。本来、最初の200万円は5%、次の200万円は4%で計算しますが、速算式は全額を3%で計算しているため、その不足分(10万円+8万円−12万円=6万円)を足し戻しています。400万円を超える取引では常に6万円で、物件によって変わることはありません。

Q4. 上限額を超える金額を請求されることはありますか?

原則としてできません。 告示は、定められた計算方法によるほか報酬を受けることを禁じています。明文の例外は依頼者が依頼した広告の料金だけです。ただし、依頼者が特別に依頼したもので、費用負担について事前に承諾している実費(遠隔地の現地調査など)や、媒介とは別に契約した独立した業務(不動産コンサルティング業務など)については、別途受け取ることが認められています。名目にかかわらず、上限を超える請求を受けたときは根拠を確認してください。

Q5. 仲介手数料は税込価格と税抜価格のどちらで計算しますか?

消費税を含まない、税抜きの売却価格で計算します。 告示は計算の基礎を「代金の額(消費税等相当額を含まないものとする)」と定めています。個人が自己の居住用マンションを売却する場合は、通常、売却代金に消費税がかからないため、この区別は問題になりません。売主が事業者で建物価格に消費税が含まれている場合は、税抜きに直してから計算してください。

Q6. 1億円のマンションを売ったときの仲介手数料はいくらですか?

上限は336万6,000円(税込)です。(1億円 × 3% + 6万円)× 1.1 で計算します。渋谷区・港区・目黒区といった都心エリアでは、この価格帯の取引が珍しくありません。これは上限額であり、実際の金額は不動産会社との協議によって決まります。

Q7. 仲介手数料はいつ支払いますか?

一般的には、売買契約の締結時に半分、物件の引き渡し時に残り半分を支払います。 ただしこれは商慣行であり、法令で定められた支払方法ではありません。実際の支払時期は媒介契約で定めるため、契約前に確認してください。なお仲介手数料は成功報酬のため、売買契約が成立しなければ発生しません。

Q8. 仲介手数料は値引きできますか?

制度上は可能です。 法令が定めているのは上限だけで、下限は定められていないためです。ただし、上限額を基準に手数料を設定している会社もあるため、交渉が通るとは限りません。交渉するのであれば、媒介契約を結ぶ前が原則です。契約後に金額を変えるのは難しくなります。合意した金額は口頭で終わらせず、媒介契約書に明記されているかを必ず確認してください。


9. まとめ|計算式を押さえたうえで、条件を確認する

仲介手数料の計算について、この記事で確認した内容を整理します。

  • 上限額は売却価格を3つに区分して計算する(200万円以下5.5%/200万円超400万円以下4.4%/400万円超3.3%)
  • 400万円を超えるなら速算式(売却価格 × 3% + 6万円)× 1.1 で同じ金額が出る
  • +6万円」は区分計算を1本の式にまとめたときの差額であり、追加費用ではない
  • 計算の基礎は消費税を含まない売却価格。事業者が売主の物件では税抜きに直す
  • 売却価格1億円なら上限は336万6,000円(税込)。1,000万円上がるごとに33万円増える
  • 免税事業者に依頼した場合は算定方法が変わる(税抜金額 + 仕入れに係る消費税等相当額。その額は税抜金額の4%が上限
  • 買主側も同じ計算式・同じ上限が適用される

そして最も重要なのは、ここで計算した金額は「上限」であって「定価」ではないという点です。法令は上限だけを定めており、下限はありません。上限の範囲内でいくらにするかは、依頼者と不動産会社の協議で決まります。

仲介手数料は、税金を除けば売却費用のなかで大きな項目になりやすい支出です。1億円前後の都心マンションでは、上限額は300万円を超えます。だからこそ、まず金額を正確に把握し、そのうえで「その条件で本当に売れる設計になっているか」を確認してください。

手数料が0円になる仕組みと、その条件の見極め方については「マンション売却の仲介手数料が無料になる仕組み」で、手数料以外の判断基準については「不動産会社の選び方|売却で失敗しない7つの判断基準」で解説しています。


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【この記事の監修者】

桝谷浩太 グローバルトラスト不動産株式会社 代表取締役

桝谷 浩太(ますや こうた) グローバルトラスト不動産株式会社 代表取締役 / 宅地建物取引士

東宝ハウス、三菱UFJ不動産販売、ソニー不動産(現SREホールディングス)にて居住用不動産の売買仲介営業を経験し、仲介部門社長賞・契約件数1位を連続受賞。業界経験18年。2017年にグローバルトラスト不動産株式会社を創業。不動産業界で問題となっている「囲い込み」を仕組みで解決するために、売却仲介手数料最大無料サービスに取り組むなど不動産業界の健全化を促進する活動をする。著書「初めてでも安心!失敗しない家の売り方・買い方」はAmazon不動産カテゴリにてベストセラー1位を獲得。

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データソース一覧

データ 出典 時点 集計方法
仲介手数料の上限額(200万円以下5.5%/200万円超400万円以下4.4%/400万円超3.3%)/計算の基礎は消費税を含まない代金の額 国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号/最終改正 令和6年6月21日国土交通省告示第949号)第二 2026年8月時点 告示の規定を当社が整理
売却価格別・仲介手数料の上限額早見表(5,000万円〜2億円) 同上 2026年8月時点 告示の区分に基づき当社が計算(消費税率10%)
仲介手数料の速算式(売却価格 × 3% + 6万円)× 1.1 とその導出 同上 2026年8月時点 告示の区分計算を1本の式に整理したもの。掲載した全価格帯について当社が検算
代理の報酬は媒介の2倍以内 同告示 第三 2026年8月時点 告示の規定を当社が整理
上限を超える報酬受領の禁止と、告示本文のただし書における「依頼者が依頼した広告料」の例外 同告示 第十一① 2026年8月時点 告示の規定を引用
免税事業者の報酬額の算定(110分の100+仕入れに係る消費税等相当額) 同告示 第十一② 2026年8月時点 告示の規定を引用
免税事業者が転嫁できる仕入れに係る消費税等相当額は税抜金額の0.04倍が限度であること/売却価格1億円の場合の比較(課税事業者336万6,000円・免税事業者318万2,400円) 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)第46条第1項関係5 令和8年4月1日施行版 公表資料を引用し、金額は当社が計算
媒介以外の関連業務(不動産コンサルティング業務等)について、区分を明確化し事前に説明・別途契約すれば媒介報酬とは別に報酬を受けられること 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)第34条の2関係11 令和8年4月1日施行版 公表資料を引用
依頼者の特別の依頼にもとづき、事前に承諾を得た特別の費用(遠隔地の現地調査等)の別途受領は禁止されないこと 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)告示第十一関係② 令和8年4月1日施行版 公表資料を引用
個人が居住用資産を売却する場合は「事業として行う取引」に当たらず消費税が課税されないこと 国税庁「No.6109 事業者が事業として行うものとは」 令和7年4月1日現在法令等 公表情報を引用
仲介手数料が譲渡費用に該当すること 国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」 2026年8月時点 公表情報を引用
ゼロチュー売却の手数料(自社成約0円/他社成約は相場の半額=売却価格の1.5%+消費税) グローバルトラスト不動産株式会社 2026年8月時点 自社サービスの条件

【最終更新日】 2026年8月21日


【免責事項】 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の取引・税務・法務に関する判断を保証するものではありません。仲介手数料の取り扱い、法制度、税制は変更される場合があります。最新の情報は国土交通省・国税庁などの公的機関の発表をご確認いただくか、当社までお問い合わせください。譲渡所得税など税務に関する個別のご判断は、税理士または所轄の税務署にご相談ください。記載の金額はいずれも消費税率10%で計算した法令上の上限額の目安であり、実際の金額は媒介契約の内容・取引条件により異なります。


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