ご売却
2022/04/03
不動産の囲い込みとは?損する仕組み・見破り方・2025年規制を宅建士が徹底解説
不動産の売却を調べていると、必ずといってよいほど目にするのが「囲い込み」という言葉です。「囲い込みに遭うと数百万円損をする」「囲い込みをする会社に注意」といった警告を見て、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
囲い込みとは、ひと言でいえば、売却を任された不動産会社が、他社からの買主の紹介をわざと断り、自社だけで買主を見つけようとする行為です。売主が知らないうちに、本来出会えたはずの買主との縁が遠ざけられ、結果として「より高く・より早く売る」機会を失ってしまいます。
やっかいなのは、囲い込みは売主からは非常に気づきにくいという点です。表向きはきちんと売却活動をしているように見えても、裏では他社からの問い合わせを断っている、というケースが起こりえます。
そこでこの記事では、不動産売買の仲介実務に携わる立場から、囲い込みの仕組み・売主が損をする理由・巧妙化する手口・見破り方・防ぐ対策を、できるだけ中立的に整理します。あわせて、2025年1月から始まった囲い込み規制の最新ルール(レインズのステータス登録義務化)まで、売主が知っておくべきことを順を追ってお伝えします。
結論を先にお伝えすると、囲い込みを完全に防ぐ確実な方法は残念ながらありません。しかし、仕組みを正しく理解し、いくつかのポイントを押さえておけば、囲い込みに遭うリスクは大きく下げられます。その具体的な方法を詳しくご説明します。
【この記事でわかること】
- 囲い込みとは何か(両手取引・片手取引の仕組みから理解する)
- 囲い込みで売主が数百万円も損をする理由と、買主に生じるデメリット
- 近年巧妙化している囲い込みの手口(一般媒介を悪用するケース)
- 囲い込みを疑うサインと、自分で見破る方法
- 囲い込みが確認できたときの具体的な対処法
- 囲い込みを防ぐためにできる対策
- 2025年1月から強化された囲い込み規制(レインズのステータス登録義務化)
この記事の目次
- 1. 不動産の囲い込みとは?両手取引と片手取引の仕組み
- 2. 囲い込みで売主が損をする仕組み(数百万円の損失も)
- 3. 巧妙化する囲い込みの手口
- 4. 囲い込みを疑うポイントと見破る方法
- 5. 囲い込みが確認できたときの対処法
- 6. 囲い込みを防ぐためにできる対策
- 7. 2025年から強化された囲い込み規制【最新情報】
- 8. 囲い込みをしない会社の選び方
- 9. よくある質問(FAQ)
- 10. まとめ
1. 不動産の囲い込みとは?両手取引と片手取引の仕組み
不動産の囲い込みとは、売主から売却を依頼された不動産会社が、その物件情報を自社の顧客にだけ紹介し、他の不動産会社の顧客には紹介させないようにする行為のことです。なぜそのようなことが起きるのかを理解するには、まず不動産仲介の「両手取引」と「片手取引」という仕組みを知っておく必要があります。
仲介手数料は「成功報酬」
不動産の売買仲介では、売買契約が成立したときに、不動産会社へ成功報酬として「仲介手数料」を支払います。この仲介手数料が、不動産会社の主な収入源です。
仲介手数料には宅地建物取引業法で上限が定められており、売買価格が400万円を超える場合は「(売買価格×3%+6万円)×1.1(消費税)」が上限額の目安です。たとえば1億円の物件なら、上限は約336.6万円となります。
ここでポイントになるのが、1件の取引で不動産会社が仲介手数料を受け取れる相手は、売主と買主の「両方」になりうるということです。
両手取引と片手取引の違い
- 片手取引:売主側と買主側に、それぞれ別の不動産会社が付く取引。各社は自分の依頼者(売主または買主)の一方からのみ仲介手数料を受け取ります。
- 両手取引:1社が売主と買主の双方を担当する取引。その1社が、売主と買主の双方から仲介手数料を受け取ります。
つまり、売主から売却を任された会社が、自社で買主まで見つけてくれば、売主・買主の双方から仲介手数料を受け取る「両手取引」になり、報酬は最大で2倍になります。

具体的に、物件価格ごとに手数料がいくらになるのかを見てみましょう。次の表は、仲介手数料の上限額(一方ぶん)と、両手取引で1社が受け取りうる合計額の目安です。
| 売買価格 | 仲介手数料の上限(売主または買主の一方ぶん) | 両手取引で1社が受け取りうる合計 |
|---|---|---|
| 1,000万円 | 約39.6万円 | 約79.2万円 |
| 3,000万円 | 約105.6万円 | 約211.2万円 |
| 5,000万円 | 約171.6万円 | 約343.2万円 |
| 7,000万円 | 約237.6万円 | 約475.2万円 |
| 1億円 | 約336.6万円 | 約673.2万円 |
※売買価格が400万円を超える場合の速算式「(売買価格×3%+6万円)×1.1(消費税)」で算出した上限額の目安です。実際の手数料額は不動産会社によって異なります。
このように、物件価格が高くなるほど、片手取引と両手取引で会社が得られる報酬の差は大きく開いていきます。とくに都心の高額物件では、両手取引を狙う動機が強く働きやすく、囲い込みが起こりやすい点には注意が必要です。
両手取引そのものは違法ではありません。 自社の努力で買主まで見つけられた結果として、両手取引になることは普通にあります。
問題は「両手にするために物件を隠す」こと
問題になるのは、両手取引にしたいがために、他社からの買主の紹介をわざと断る行為です。これが「囲い込み」です。
本来、売却を任された会社は、物件情報を不動産会社専用のネットワークである「レインズ(REINS)」に登録し、全国の不動産会社が買主に紹介できる状態にします。専任媒介契約・専属専任媒介契約ではこの登録が法律で義務づけられており、一般媒介契約では任意です(媒介契約の3種類は第6章で解説します)。そうすれば、自社の顧客だけでなく、より多くの買主候補に物件を届けられ、「高く・早く」売れる可能性が高まります。
ところが、他社が買主を見つけて契約に至ると、売却を依頼された会社は売主側からの手数料しか受け取れません(片手取引)。そこで一部の会社は、両手取引を狙って、レインズに登録しなかったり、他社から「内見希望者がいます」と問い合わせが入っても「商談中です」「すでに申し込みが入っています」などと偽って断ったりするのです。
POINT 「両手取引=悪」ではありません。違法でもありません。問題なのは、売主の利益よりも自社の手数料を優先し、本来出会えたはずの買主を遠ざけてしまう「囲い込み」という行為です。両手取引と囲い込みは分けて理解しておきましょう。
2. 囲い込みで売主が損をする仕組み(数百万円の損失も)
「自社で買主を探してくれるなら、売主にとっても問題ないのでは?」と感じる方もいるかもしれません。しかし、囲い込みは売主にとって大きなデメリットになります。なぜなら、買主を探す範囲が「その1社の顧客」に限られてしまうからです。
買主の母数が減り、売却期間が延びる
物件を多くの不動産会社に紹介してもらえれば、それだけ多くの買主候補の目に触れます。しかし囲い込みをされると、買主を探すのは1社だけになり、買主候補の母数が大きく減ってしまいます。
その結果、買い手がなかなか見つからず、売却までの期間が長引きます。
売却が長引くと「値下げ」を迫られる
不動産の売却では、売り出しから3か月ほど経ったあたりで価格の見直し(値下げ)を検討するのが一般的です。売却期間が長引くほど、値下げの必要性は高まっていきます。
値下げ幅は物件の価格帯や反響状況によって異なりますが、1回あたり売り出し価格の数%程度が一つの目安とされます。たとえば1億円の物件で5〜10%を見直す場合、500万〜1,000万円下がることもある計算です。売却に時間がかかるほど、手元に残るお金は減っていくのです。
自社の顧客に「安く」売られてしまうことも
さらに、囲い込みをする会社は、自社の顧客が買いやすいように、売主へ値下げを強く勧めることがあります。
たとえば、1億円で売り出している物件を、依頼した会社が自社の顧客へ9,400万円で売却してしまったとします。もし情報をオープンにして全国の不動産会社に紹介していれば、1億円で買う買主が現れていたかもしれません。この場合、売主は600万円を損し、その一方で会社は両手取引によって2倍の仲介手数料を受け取る——こうしたことが、売主が気づかないうちに起こりえます。
なお、この金額はあくまで一例です。実際に損失が生じるかどうか、またその金額は、物件や市況、売却の進み方によって大きく異なります。
POINT 囲い込みによる損失は、「売却期間が延びることによる値下げ」と「自社顧客向けの不要な値下げ」の二重で発生しえます。物件価格が大きいほど、損失額も大きくなりやすい傾向があります。これが「囲い込みで数百万円損をする」といわれる理由です。
囲い込みは「買主」にとってもデメリットがある
囲い込みは売主だけの問題ではありません。物件を探している買主にとっても不利益があります。
囲い込みによって物件が他社に紹介されないと、その物件を本当は買いたかった買主が、存在を知ることすらできません。「条件に合う物件がなかなか見つからない」という背景に、実は囲い込みが隠れているケースもあるのです。
また、囲い込みをする会社は自社の顧客に物件を紹介するため、買主は十分に比較検討する機会を持てないまま購入を進めてしまうこともあります。囲い込みは、売主と買主の双方から「より良い条件で出会う機会」を奪う行為だといえます。
3. 巧妙化する囲い込みの手口
囲い込みは、明確な法規制が乏しい状態が長らく続いてきました(※2025年の規制強化については第7章で解説します)。そのため完全になくなることはなく、その手口も年々変化しています。「専任媒介契約のときだけ気をつければよい」という従来の常識が、通用しなくなりつつあります。
手口1:レインズに登録しない・虚偽の報告をする
最も基本的な手口が、物件をレインズに登録しない、あるいは登録しても他社からの問い合わせを断るというものです。
「内見希望のお客様がいます」と他社から連絡が入っても、「商談中です」「担当者が不在です」などと伝えて紹介を断ってしまえば、いくら物件情報が公開されていても、他社経由で買主が見つかることはありません。
手口2:一般媒介契約を悪用するケースが増えている
従来、囲い込みは「1社にしか依頼できない専任媒介契約・専属専任媒介契約」で起こりやすいとされてきました。しかし最近は、一般媒介契約を悪用して囲い込みをするケースも見られます。
一般媒介契約は本来、複数の不動産会社に同時に依頼できる契約です。ところが、契約手続きの手間などから、実際には1社としか契約しない売主も少なくありません。そして一般媒介契約にはレインズへの登録義務がなく、登録は任意です。
つまり、一般媒介契約を1社とだけ結び、その会社がレインズにも登録しなければ、他社が物件情報を把握しにくくなり、販売経路が実質的に限定されてしまうおそれがあります。
「専属専任媒介のつもりだったのに、契約書を見たら一般媒介契約になっていた」というケースもありえます。理由もなく一般媒介契約を強く勧められたときは、囲い込みを疑う一つのサインです。
「大手だから安心」とは限らない
「大手の不動産会社なら囲い込みはしないだろう」と考える方もいますが、囲い込み自体は会社の規模と直接の関係はなく、大手・中小のいずれでも起こりえます。両手取引による手数料を狙う動機は、規模の大小にかかわらず働くためです。
会社の知名度や規模だけで「囲い込みをしない」と判断するのは禁物です。大切なのは、その会社が物件をオープンにして売る方針かどうかを、自分で確認することです。
POINT 「専任系だけ注意すればよい」という時代は終わりつつあります。一般媒介でも、大手でも囲い込みは起こりえます。契約の種類や会社の規模ではなく、その会社が「物件をオープンにして売る方針か」を確認することが大切です。
まずは売却の進め方や相場を知りたい方へ
「囲い込みが心配だけれど、まず自分の物件がいくらで売れそうか知りたい」という方も多いはずです。グローバルトラスト不動産では、売却をまだ決めていない段階でのご相談・無料査定も承っています。レインズへの登録と他社紹介の受け入れ(囲い込みをしない売却)を基本としており、査定額の根拠もあわせてご説明します。
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4. 囲い込みを疑うポイントと見破る方法
囲い込みは売主から非常に気づきにくいものですが、次のようなサインがあれば、囲い込みをされている可能性があります。一つでも当てはまる場合は、担当者に状況を確認してみましょう。
サイン1:レインズに登録されていない
専任媒介契約・専属専任媒介契約では、レインズへの登録が義務付けられています(一般媒介は任意)。それにもかかわらず登録されていない場合は、囲い込みを疑う必要があります。
専任系の契約では、レインズに登録すると「登録証明書」が発行されます。まずはこの登録証明書を受け取り、きちんと登録されているかを確認しましょう。
サイン2:内見の予約や問い合わせがまったく入らない
相場に見合った価格で売り出しているにもかかわらず、一定期間が過ぎても内見予約や問い合わせがまったく入らないときは、注意が必要です。
相場に見合った価格で通常の販売活動が行われていれば、ある程度の内見や問い合わせが入るのが一般的です。一定期間が過ぎてもまったく動きがない場合は、価格設定や広告状況を確認したうえで、他社からの紹介が断られている(囲い込まれている)可能性も疑ってみましょう。
サイン3:早い段階で値下げを強く勧められる
前述のとおり、価格の見直しは売り出しから3か月ほど経った頃に検討するのが一般的です。それより早い段階で、根拠の乏しいまま大幅な値下げを強く勧められるときは、自社の顧客が買いやすいように価格を下げようとしている可能性があります。
値下げを提案されたら、「なぜ今、その金額の値下げが必要なのか」根拠を具体的に説明してもらいましょう。
見破る方法1:レインズのステータスを自分で確認する
専任媒介・専属専任媒介で依頼している場合、売主自身がレインズの登録状況を確認する方法があります。
従来も、レインズの登録証明書に記載されたIDとパスワードを使えば、売主が専用画面から登録状況を確認すること自体は可能でしたが、手続きはやや煩雑でした。後述する2025年1月からの新ルールにより、取引状況(ステータス)の登録が義務化され、さらに登録証明書の二次元コード(QRコード)から売主自身がスマートフォンなどで手軽に確認できるようになりました(詳しくは第7章で解説します)。
見破る方法2:ポータルサイトで自分の物件が公開されているか確認する
レインズは不動産会社専用のシステムのため、一般の方には馴染みが薄いかもしれません。そこで、より身近な確認方法として、SUUMO・アットホーム・LIFULL HOME'Sといった一般の不動産ポータルサイトで、自分の物件が掲載されているかを確認する方法があります。
物件名や所在地、価格などで検索し、自分の物件がきちんと公開されているかを見てみましょう。
ただし注意点として、ポータルサイトへの掲載は任意であり、レインズへの登録とは別のものです。ポータルに載っていないからといって、ただちに囲い込みとは限りません。あくまで「販売活動が行われているか」を確かめる補助的な手段として活用しましょう。
POINT レインズに登録されていても安心はできません。登録したうえで、他社からの問い合わせを電話口で断る、という手口もあるためです。「登録の有無」と「実際に他社へ紹介しているか」の両面で確認する姿勢が大切です。
5. 囲い込みが確認できたときの対処法
囲い込みのサインに気づいたら、泣き寝入りする必要はありません。売主には取れる手段があります。落ち着いて、次の手順で対応しましょう。

ステップ1:担当者に事実を確認する
まずは、担当者に直接状況を確認します。感情的にならず、事実ベースで尋ねるのがポイントです。たとえば、次のように聞いてみましょう。
- 「これまでに他社から問い合わせや内見の依頼は何件ありましたか?」
- 「レインズのステータスは現在『公開中』になっていますか?登録証明書を見せていただけますか?」
- 「他社のお客様からの内見も受け付けていただけていますか?」
誠実な会社であれば、これらの質問に具体的に答えられるはずです。回答が曖昧だったり、はぐらかされたりする場合は、注意が必要です。
ステップ2:改善されなければ媒介契約の見直しを検討する
確認しても状況が改善されない場合は、媒介契約の見直しを検討します。
専任媒介契約・専属専任媒介契約の契約期間は、最長3か月と定められています。期間が満了すれば、更新せずに他社へ切り替えることができます。また、契約に明らかな違反(売却活動を行わないなど)がある場合は、期間の途中でも解除を検討できるケースがあります。解除の可否や手続きについては、契約内容を確認のうえ、慎重に判断しましょう。
ステップ3:公的な相談窓口を利用する
自分だけで判断するのが難しい場合は、公的な相談窓口を利用する方法もあります。
- 各都道府県の宅地建物取引業の担当課:不動産会社を指導・監督する行政窓口です
- 不動産業界団体の相談窓口:(公社)全国宅地建物取引業保証協会、(公社)東京都宅地建物取引業協会などが、一般消費者向けの相談を受け付けています
こうした窓口に相談することで、対応の方向性についてアドバイスを受けられます。
プロのアドバイス 大切なのは、おかしいと感じたら早めに動くことです。売却期間が長引くほど、値下げのリスクは高まります。「様子を見よう」と先延ばしにせず、サインに気づいた段階で確認・行動することが、結果的に損失を防ぐことにつながります。
6. 囲い込みを防ぐためにできる対策
繰り返しになりますが、囲い込みを完全に防ぐ確実な方法はありません。他社からの問い合わせを電話口で断られていても、売主がその事実を知るのは難しいからです。それでも、次の対策をしておけば、囲い込みに遭うリスクは大きく下げられます。
対策1:囲い込みの知識を持ち、契約前に「牽制」する
最も手軽で効果的な対策が、囲い込みについての知識を持ち、それを担当者に示すことです。
囲い込みを心配している売主だと分かれば、会社も不正をしにくくなります。契約の前に、たとえば次のような質問をしておくとよいでしょう。
- 「御社は他の不動産会社にもきちんと物件を紹介してくれますか?」
- 「他社のお客様から内見や問い合わせがあった場合も、すべて受け付けてもらえますか?」
- 「専任媒介で依頼する場合、レインズの登録証明書はいただけますか?」
- 「販売活動の状況(問い合わせ・内見の件数)は、定期的に報告してもらえますか?」
これらを質問するだけでも、会社にとってはプレッシャーになります。
対策2:媒介契約の種類を正しく理解して選ぶ
媒介契約には3種類あり、それぞれレインズの登録義務や囲い込みリスクが異なります。
| 項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
|---|---|---|---|
| 複数社への依頼 | できる | 1社のみ | 1社のみ |
| 自分で買主を探す | できる | できる | できない |
| レインズ登録義務 | 任意 | 7日以内 | 5日以内 |
| 売主への報告義務 | 任意 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 向いている人 | 複数社を競わせたい人 | 1社に任せて報告も受けたい人 | 手厚いサポートを受けたい人 |
※レインズへの登録期限は、媒介契約締結日の翌日から起算し、不動産会社の休業日・レインズ休止日を除いて数えます。
一般媒介契約は、複数社に依頼できるため、1社が囲い込みをしても他社経由で売れる可能性があり、囲い込みは起こりにくいといえます。ただし、第3章で述べたように、一般媒介を1社とだけ結ぶと、かえって囲い込みのリスクが生じます。一般媒介を選ぶなら、必ず複数社と契約することがポイントです。
専任媒介・専属専任媒介は、1社に任せるぶん囲い込みに気づきにくい一方、「定期的な報告が受けられる」「1社が責任を持って売却活動をする」という利点もあります。専任系を選ぶ場合は、囲い込みをしない会社を選んだうえで、ステータス確認を活用するのが安心です。
対策3:レインズの登録証明書を受け取る
専任媒介・専属専任媒介で依頼した場合、レインズに登録すると登録証明書が発行されます。これを必ず受け取り、登録されていることを確認しましょう。
ただし、登録したからといって、他社へきちんと紹介するとは限りません。登録証明書をもらって安心するのではなく、その後の売却活動の進捗(問い合わせ件数・内見件数など)も継続して確認することが大切です。
対策4:信頼できる不動産会社を選ぶ
ここまでの対策は、いずれも完全なものではありません。最終的にもっとも有効な対策は、そもそも囲い込みをしない、信頼できる不動産会社を選ぶことです。
物件をオープンにして売る方針か、レインズへの登録と他社からの紹介受け入れを明言しているか、手数料の仕組みはどうなっているか——こうした点を確認し、安心して任せられる会社を選びましょう。会社選びの具体的な判断基準は、第8章および関連記事で詳しく解説します。
プロのアドバイス 囲い込みの最大の防御策は「囲い込みをする動機が小さい会社」を選ぶことです。たとえば、両手取引にこだわらず、片手取引(売主側だけの仲介)でも成り立つビジネスの仕組みを持つ会社であれば、そもそも物件を抱え込む理由が小さくなります。
7. 2025年から強化された囲い込み規制【最新情報】
長年、囲い込みは「業界の慣行として問題視されながらも、明確な法規制が乏しい」状態が続いてきました。レインズの規定上は違反とされていても、実際の取引状況まで十分にチェックされず、囲い込みが横行しているのが実態でした。業界の専門家からも、長くその問題が指摘されてきました。
この状況を改善するため、国土交通省は宅地建物取引業法施行規則を改正し、2025年1月1日から囲い込みに対する規制を強化しました。 売主にとっては、囲い込みを見破るための強力な後ろ盾ができたといえます。

変更点1:レインズへのステータス登録が義務化
専任媒介契約・専属専任媒介契約でレインズに物件を登録する際、不動産会社は取引状況(ステータス)を正確に登録・更新することが義務付けられました。
ステータスには、次のような区分があります。
- 公開中:他社からの問い合わせ・紹介を受け付けている状態
- 書面による購入申込みあり:購入の申し込みが入っている状態
- 売主都合で一時紹介停止中:売主の事情で紹介を一時的に止めている状態
虚偽のステータス登録など、登録内容が事実と異なる場合は、宅地建物取引業法に基づく指示処分の対象となります。内容や悪質性によっては、さらに重い行政上の監督処分につながる可能性もあります。
変更点2:登録証明書のQRコードで売主が自分で確認できる
さらに、2025年1月4日以降に交付される「登録証明書」には二次元コード(QRコード)が記載されるようになりました。 売主は、このQRコードをスマートフォンなどで読み取ることで、自分の物件の取引状況(ステータス)を直接確認できます。
これにより、たとえば「他社からの紹介を断られているのに、レインズ上は『公開中』になっている」といった矛盾に、売主自身が気づきやすくなりました。逆に、売主が依頼していないのに不自然に「売主都合で一時紹介停止中」になっていれば、囲い込みのサインとして疑うことができます。
POINT 2025年1月以降、専任媒介・専属専任媒介で依頼する場合は、レインズの登録証明書を必ず受け取り、QRコードからステータスを定期的に確認しましょう。「公開中」になっているか、不自然に紹介が停止されていないかをチェックすることが、囲い込みを見破る最も確実な方法の一つです。
この規制で「囲い込みは完全になくなる」わけではない
一方で、この規制があれば囲い込みが完全になくなる、というわけではない点には注意が必要です。
たとえば、レインズのステータスが「公開中」になっていても、他社から電話で問い合わせがあった際に口頭で断ってしまえば、そのやり取りまでは記録に残りません。売主がステータス上は問題ないと安心していても、水面下で紹介が断られている可能性は残ります。
規制の実効性は、最終的には悪質な業者に対して行政処分がきちんと機能するかどうかにかかっています。だからこそ、制度を活用しつつも、「そもそも囲い込みをしない会社を選ぶ」という根本的な対策が、引き続き重要になります。
(出典:国土交通省「レインズの機能強化について」(売主向けリーフレット・報道発表)。宅地建物取引業法施行規則の改正により2025年1月1日施行)
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8. 囲い込みをしない会社の選び方
ここまで見てきたとおり、囲い込みを防ぐうえで最も有効な方法は、「そもそも囲い込みをしない会社」を選ぶことです。会社選びで確認したいポイントを整理します。
確認したい3つのポイント
- レインズに登録し、他社からの買主紹介も受け付ける方針か:物件をオープンにして売る姿勢があるかを、契約前に必ず確認します。専任系なら登録証明書を受け取れるか、ステータスを確認できるかを聞いてみましょう。
- 手数料の仕組みが「両手取引ありき」になっていないか:片手取引(売主側だけの仲介)でも成り立つ仕組みを持つ会社は、物件を抱え込む動機が小さくなります。
- デメリットやリスクも正直に説明してくれるか:良い面だけでなく、囲い込みのリスクや値下げの可能性も正直に説明してくれる担当者は信頼できます。
会社選びの判断基準については、関連記事「不動産会社の選び方|売却で失敗しない7つの判断基準」で、7つのチェックリストとともに詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
グローバルトラスト不動産が囲い込みをしない理由
グローバルトラスト不動産は、「囲い込みをしないこと」を経営理念の一つに掲げています。これは、代表の桝谷自身が、創業前に勤めていた不動産会社で囲い込みに直面し、お客様に物件を紹介できないもどかしさを経験したことが原点になっています。
当社では、契約の種類にかかわらず物件情報を必ずレインズに登録し、他社からの買主紹介も受け付けています。さらに、当社が買主を見つけた場合は売主の仲介手数料が0円、レインズ経由で他社が買主を見つけた場合も相場の半額(売却価格×1.5%+消費税)となる「ゼロチュー売却」という仕組みを取り入れています。
そもそも片手取引(売主側だけの仲介)でも成り立つビジネスモデルのため、物件を抱え込む動機がありません。当社が囲い込みをしない理由の詳細は、「グローバルトラスト不動産が「囲い込み」をしない理由」をご覧ください。
9. よくある質問(FAQ)
Q1. 囲い込みは違法ではないのですか?
両手取引そのものは違法ではなく、他社からの紹介を断る囲い込みについても、長らく明確な法規制が乏しい状態が続いていました。ただし、2025年1月1日施行の宅地建物取引業法施行規則の改正により、専任媒介・専属専任媒介でのレインズのステータス登録が義務化されました。虚偽登録などは指示処分の対象となり、内容によってはさらに重い監督処分につながる可能性もあります。売主を守るルールは強化されています。
Q2. 囲い込みをされているか、自分で確認する方法はありますか?
専任媒介・専属専任媒介の場合、2025年1月以降はレインズの登録証明書に付されたQRコードから、自分の物件の取引状況(ステータス)を確認できます。「公開中」になっているか、不自然に「売主都合で一時紹介停止中」になっていないかをチェックしましょう。あわせて、SUUMOなどのポータルサイトで物件が公開されているか、内見や問い合わせの件数を担当者に確認するのも有効です。
Q3. 一般媒介契約なら囲い込みの心配はありませんか?
一般媒介契約は複数社に依頼できるため、本来は囲い込みが起こりにくい契約です。ただし、1社とだけ一般媒介契約を結ぶと、その会社がレインズに登録しなければ物件を隠せてしまいます。一般媒介を選ぶなら、必ず複数社と契約することがポイントです。
Q4. 大手の不動産会社なら囲い込みをしないのでは?
会社の規模と囲い込みの有無に、直接の関係はありません。両手取引による手数料を狙う動機は、大手・中小を問わず働きえます。規模や知名度ではなく、物件をオープンに売る方針かどうか、レインズ登録やステータス確認に前向きかどうかで判断しましょう。
Q5. 囲い込みをされると、具体的にいくらくらい損をしますか?
損失額は物件価格や売却期間によって異なり、一概にはいえません。値下げ幅は売り出し価格の数%程度が一つの目安とされます。たとえば1億円の物件で本来より600万円安く売れてしまえば、その差額がそのまま損失になりますが、これはあくまで一例です。物件価格が大きいほど、損失額も大きくなりやすい傾向があります。
Q6. 囲い込みを完全に防ぐことはできますか?
残念ながら、完全に防ぐ確実な方法はありません。他社からの問い合わせを電話口で断られていても、売主はその事実を知りにくいためです。だからこそ、囲い込みの知識を持って牽制する、ステータスを確認する、そして何より「囲い込みをしない会社」を選ぶという複数の対策を組み合わせることが大切です。
Q7. 囲い込みをされていると気づいたら、どうすればよいですか?
まずは担当者に、他社からの問い合わせ件数やレインズのステータスを確認しましょう。改善が見られない場合は、媒介契約の期間満了を機に他社へ切り替えることも検討できます。判断に迷うときは、各都道府県の宅地建物取引業の担当課や、宅建業の業界団体の相談窓口に相談する方法もあります。
10. まとめ
不動産の囲い込みについて、仕組みから対策、2025年の最新規制まで解説しました。要点を整理します。
- 囲い込みとは、売却を任された会社が両手取引を狙って、他社からの買主紹介を断る行為です。両手取引自体は違法ではありませんが、囲い込みは売主の利益と対立します。
- 囲い込みをされると、買主の母数が減って売却期間が延び、値下げを迫られるなどして、数百万円規模の損失につながることもあります。買主にとっても、良い物件と出会う機会を失うデメリットがあります。
- 手口は巧妙化しており、従来の専任系だけでなく、一般媒介契約を悪用するケースや、大手による囲い込みも起こりえます。
- 見破るサインは、レインズ未登録・内見ゼロ・早すぎる値下げ提案など。気づいたら、担当者への確認・媒介契約の見直し・公的窓口への相談という手順で対応しましょう。
- 防ぐ対策は、知識を持った牽制・媒介契約の正しい選択・登録証明書の確認・信頼できる会社選びの4つです。
- 2025年1月から規制が強化され、レインズのステータス登録が義務化、登録証明書のQRコードで売主自身が取引状況を確認できるようになりました。ただし規制で完全に防げるわけではなく、会社選びの重要性は変わりません。
囲い込みは、売主が知識を持っているかどうかで、遭うリスクが大きく変わります。そして最も有効な対策は、「物件をオープンにして売る、囲い込みをしない会社」を選ぶことです。あなたの大切な物件を「高く・早く」売るために、本記事の内容をぜひお役立てください。
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グローバルトラスト不動産は、渋谷区を拠点に、渋谷区・港区・目黒区・千代田区・中央区・品川区・世田谷区・杉並区の都心エリアの不動産売買を専門としています。
- 囲い込みをしないオープンな売却 — レインズに物件を登録し、他社からの買主紹介も受け付けます
- ゼロチュー売却 — 当社が買主を見つけた場合は売主の仲介手数料が0円、レインズ経由で他社が買主を見つけた場合は相場の半額(売却価格×1.5%+消費税)
- 業界経験者による対応 — 少数精鋭で、一人ひとりのお客様に丁寧に対応します
「囲い込みが心配」「まだ売却を決めていないけれど、まずは相場や進め方を知りたい」という方も、お気軽にご相談ください。
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データソース一覧
| データ | 出典 | 時点 | 集計方法 |
|---|---|---|---|
| 囲い込み規制(レインズ ステータス登録義務化・登録証明書のQRコード) | 国土交通省「レインズの機能強化について」(報道発表) | 2025年1月(登録義務化は1日施行/二次元コード掲載は4日〜) | 公的情報を基に当社が要約 |
| 媒介契約3種類のレインズ登録義務・報告義務・契約期間 | 宅地建物取引業法 | 2026年6月時点 | 法定の規定を当社が整理 |
| 仲介手数料の上限(速算式・両手/片手) | 宅地建物取引業法(仲介手数料の上限規定) | 2026年6月時点 | 法定上限を基に当社が計算・解説 |
| 値下げ幅の目安(売り出し価格の数%程度・価格帯により変動) | 一般的な売却実務の目安 | 2026年6月時点 | 当社が一般的な傾向を整理 |
この記事は2026年6月時点の情報です。 法制度や手数料の取り扱いは変更される場合があります。最新情報は国土交通省などの公的機関の発表をご確認いただくか、当社までお問い合わせください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の取引・税務・法務に関するご判断は、各分野の専門家にご相談ください。
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