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2024/05/27
不動産会社・担当者を変えたい|媒介契約の解除はできる?違約金・費用償還と乗り換えの手順を宅建士が解説【2026年版】
マンションの売却を依頼したものの、「担当者と話が合わない」「連絡が遅い」「内覧がまったく入らないのに提案が値下げだけ」と、今の不動産会社に不安を感じている方は少なくありません。一方で、「一度契約したら3か月は動けない」「途中でやめると違約金を取られる」と思い込んで、我慢を続けている方もいます。
結論から申し上げます。売却の途中でも、担当者も不動産会社も変えられます。 担当者だけを変えるなら、同じ会社の中で交代してもらえばよく、費用はかかりません。不動産会社そのものを変えるには、いま結んでいる媒介契約を終える必要がありますが、その出口は「期間満了で更新しない」「会社側の義務違反を理由に解除する」「売主の都合で解除する」の3つです。
そして、「解除したこと自体」に違約金はかかりません。 国土交通省が定める標準媒介契約約款で違約金(約定報酬額に相当する金額)が定められているのは、契約期間中に別の会社にも重ねて依頼して成約させた場合など、限られた場面だけです。専任媒介・専属専任媒介では、売主の都合で解除した場合に標準約款上の費用償還として請求されうるのは、会社が実際に使った費用です。その上限は約定報酬額(1億円の物件なら306万円+消費税=336万6,000円)と決まっています。一般媒介の標準約款にはこの規定がないため、契約書と特約を確認します。
本記事では、「変えるべきか」の判断基準から、媒介契約の種類ごとの解除の可否、違約金と費用償還の実額(1億円帯で試算)、解除の手順と通知書の書き方、乗り換えるときの落とし穴、次の会社の選び方まで、宅地建物取引業法と標準媒介契約約款の原文に基づいて整理します。
【この記事でわかること】
- 担当者の変更と不動産会社の変更の違い。会社を変えるときの「3つの出口」
- 「担当者の問題」と「会社の問題」を切り分ける判断基準と、2025年から強化された確認手段
- 一般媒介・専任媒介・専属専任媒介それぞれの、契約期間中の解除の可否と根拠条文
- 違約金と費用償還の違い。1億円帯で請求されうる金額の上限
- 解除の5ステップ、契約解除通知書に書く6項目、乗り換え後に同じ失敗を繰り返さない選び方
【気になるところからお読みください】
- まず知る:担当者も会社も変えられる(3つの出口) / 変えるべきかの判断基準
- ルールを知る:媒介契約3種類の「解除に関わる違い」 / 契約期間中でも解除できる?
- お金を見る:違約金と費用償還はいくら?(1億円帯)
- 動く:解除の5ステップと通知書の書き方 / 乗り換えの注意点 / 次の会社の選び方 / 4つの判断シナリオ
不動産会社も担当者も、売却の途中で変えられる
不動産の売却は、担当者と二人三脚で進める仕事です。相性や力量に不安があるまま続けても、売却は思うように進みません。売却の途中であっても、担当者の変更も不動産会社の変更も可能です。ただし、この2つは手続きの重さがまったく違います。
担当者の変更は、同じ会社の中で交代してもらう(費用はかからない)
担当者を変えたいだけなら、不動産会社との媒介契約はそのままに、担当者を交代してもらうのが最も手軽です。媒介契約は「会社」と結んでいるものなので、担当者が代わっても契約内容は変わらず、費用も発生しません。
申し出る相手は、担当者本人ではなく、その上司や店長です。担当者本人に「変えてほしい」と伝えるのは気まずく、うやむやにされることもあります。会社の代表電話や店舗に連絡し、「担当者の変更をお願いしたい」と、困っている点を具体的に添えて伝えます。
POINT 伝え方の例:「売却活動の進め方について、ご担当の方と考え方が合わない部分があります。別の方に担当していただくことはできますか。連絡の頻度と、内覧が入らない理由の分析をお願いしたいと考えています」。感情的な不満ではなく、「何をしてほしいか」を添えると、会社側も対応しやすくなります。
担当者の交代で解決するのは、対応の速さや説明の丁寧さ、提案の質など、担当者個人に起因する問題です。会社としての販売方法(レインズへの登録、広告の出し方、他社からの紹介への対応)に問題がある場合は、担当者を代えても変わりません。この切り分けは次の章で扱います。
不動産会社の変更は、媒介契約を終えること。出口は3つある
不動産会社そのものを変えるには、いま結んでいる媒介契約を終える必要があります。媒介契約の解除とは、契約期間の途中で、売主または不動産会社の意思表示によって媒介契約を終了させることです。 期間満了で更新しない場合を含めると、出口は次の3つです。
- 期間満了で更新しない:媒介契約の有効期間は3か月が上限です(専任媒介・専属専任媒介は宅地建物取引業法第34条の2第3項、一般媒介は標準媒介契約約款第8条)。更新は売主からの申出によるものなので、満了時に「更新しない」と伝えれば終わります
- 不動産会社の義務違反を理由に解除する:専任媒介・専属専任媒介でレインズに登録しない、定期報告をしない、あるいは囲い込みをするなど、会社側に義務違反があれば、契約期間中でも解除できます。この場合、解除に伴う費用償還は原則生じません(売主が特別に依頼した広告費等の実費は別)
- 売主の都合で解除する:会社側に落ち度がなくても、売主から解除を申し入れて契約を終えることはできます(媒介契約は民法上の準委任契約と解されており、各当事者はいつでも解除できます。民法第651条・第656条)。会社の承諾は不要ですが、実務上は解除日と費用の精算を確認して終えるのが安全です。専任媒介・専属専任媒介では、会社が実際に使った費用の償還を請求される可能性があります

図1:担当者を変える・会社を変える(3つの出口)と費用が発生しうる場所
【比較表】会社を変える3つの出口
| 出口 | 費用の可能性 | かかる時間 | 必要な書面 | 向いている状況 |
|---|---|---|---|---|
| 期間満了で更新しない | なし | 満了日まで(最長3か月) | 「更新しない」旨の連絡(書面が望ましい) | 明確な義務違反はないが、次は別の会社に頼みたい |
| 義務違反を理由に解除 | 原則なし(会社側の責任。特別依頼の広告費等の実費は別) | 事由による。催告解除(第16条)は相当の期間+通知に要する期間。無催告解除(第17条)は催告不要 | 催告書・契約解除通知書(内容証明郵便) | レインズ未登録、報告なし、囲い込みの疑い |
| 売主の都合で解除 | 専任・専属専任は実費の償還を請求されうる(上限は約定報酬額)。一般は契約書・特約による | 解除の意思表示自体はすぐ可能。費用精算・合意書は会社との調整次第 | 契約解除通知書、合意書 | 事情が変わった、満了まで待てない |
どの出口を選ぶかは、「会社側に義務違反があるか」と「満了まで待てるか」で決まります。それぞれの根拠条文と手順は、後の章で詳しく説明します。
購入や賃貸で担当者を変えたい場合も、考え方は同じ
本記事は売却を前提に書いていますが、購入の仲介や賃貸の部屋探しで担当者を変えたい場合も、「まず同じ会社で担当者の交代を申し出る。会社ごと変えるなら、結んでいる契約の有無と内容を確認する」という順序は同じです。購入や賃貸では売却のような媒介契約を結んでいないことも多く、その場合は別の会社に相談するだけで済みます。
変えるべきか迷ったら:「担当者の問題」と「会社の問題」を切り分ける
不動産会社を変えるべきかどうかは、「不満があるか」ではなく「何が原因で売れていないか」で判断します。原因が担当者個人にあるのか、会社の販売方法にあるのか、それとも売主側の条件にあるのかによって、取るべき処置が変わります。
担当者に原因があるサイン:担当者の交代で解決できる
次のような状態は、担当者個人の力量や姿勢に原因があることが多く、同じ会社の中で担当者を交代してもらえば改善が見込めます。
- 連絡が遅い、返事が来ない:内覧の申込みや購入検討者からの質問への返答が遅れると、それだけで機会を逃します
- 知識や経験が不足している:管理規約や修繕積立金の状況、税金の基本的な質問に答えられない
- 提案が値下げだけ:内覧が入らない理由の分析(写真、掲載媒体、価格の根拠)を示さず、「価格を下げましょう」しか言わない
- 話が合わない、信頼できない:説明が変わる、約束を守らない
会社に原因があるサイン:会社を変える必要がある
次のような状態は、担当者個人ではなく会社の販売方針や運用に原因がある可能性が高いものです。担当者を代えても変わりにくいため、会社を変える判断になります。
- レインズに登録されていない、登録証明書が交付されない:専任媒介・専属専任媒介では、契約から7日以内(専属専任は5日以内。いずれも休業日を除く)にレインズへ登録し、登録証明書を売主に渡すことが法律上の義務です(宅地建物取引業法第34条の2第5項・第6項、同法施行規則第15条の10)
- 定期報告が来ない:専任媒介は2週間に1回以上、専属専任媒介は1週間に1回以上の業務処理状況の報告が義務です(同法第34条の2第9項)
- 他社からの紹介を断っている疑いがある(囲い込み):自社で買主も見つけて両方から手数料を得るために、他社からの問い合わせを「商談中」などと断る行為です
- 広告を出していない:ポータルサイトや自社サイトに物件が掲載されていない、写真が少ない
変えても解決しないケース:売り出し価格と時期
ただし、不動産会社を変えても解決しないケースもあります。代表的なのは、売り出し価格が相場より高い場合です。査定額の高さで会社を選び、その価格で売り出したものの、周辺の成約事例と比べて割高であれば、会社を変えても内覧は増えにくいのが実情です。会社を変える前に、担当者に「直近の成約事例と比較して、この価格は妥当か」を根拠付きで説明してもらい、価格の見直しを先に検討します。
また、売り出しから数週間しか経っていない段階での「反応が薄い」は、判断材料としては早い場合があります。首都圏の中古マンションが登録から成約に至るまでの平均日数は82.5日です(公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」)。1か月程度は、会社ではなく物件の見せ方と価格を点検する期間と考えます。
【表】症状から原因と処置を切り分ける
| 症状 | 考えられる原因 | 処置 |
|---|---|---|
| 連絡が遅い、説明が不十分、提案が値下げだけ | 担当者 | 上司に担当者の交代を申し出る |
| レインズの登録証明書をもらっていない | 会社(専任・専属専任では法律上の義務違反) | 交付を求め、応じなければ解除を検討 |
| 定期報告が来ない、内容が「反応なし」だけ | 会社(専任・専属専任では法律上の義務違反)または担当者 | 報告の頻度・内容を書面で求める。改善しなければ解除 |
| 他社に「商談中」と断られているらしい | 会社(囲い込み) | 売主専用画面と会社の説明を確認。事実と異なる登録や紹介拒否が確認できれば解除を検討 |
| ポータルサイトに掲載されていない、写真が少ない | 会社または担当者 | 掲載の追加を求める。応じなければ会社を変える |
| 内覧は入るが決まらない | 価格、物件の見せ方 | 価格の根拠を再確認し、内覧時の印象を改善 |
| 内覧がまったく入らない(掲載はある) | 価格が相場より高い可能性 | 成約事例との比較を求め、価格を見直す |
2025年1月から、レインズの取引状況確認が強化された
「会社に原因があるかどうか、遠方に住んでいて確かめようがない」という悩みには、レインズの仕組みが役立ちます。売主がレインズ上の取引状況を確認する仕組み(ステータス管理機能)自体は2016年(平成28年)1月からありました。これが強化され、宅地建物取引業法施行規則の改正により、2025年(令和7年)1月1日から、専任媒介・専属専任媒介でレインズに登録される売却物件について、不動産会社に取引状況(ステータス)の登録が義務付けられました。 ステータスは「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3種類です。
さらに、2025年1月4日以降に交付される登録証明書には二次元コードが記載され、これを読み取ると「売主専用画面」にアクセスして、自分の物件のステータスを確認できます(確認用のIDとパスワードが必要です)。
確認するポイントは2つです。
- 自分は紹介を止めるよう頼んでいないのに「売主都合で一時紹介停止中」になっていないか
- 「公開中」なのに他社からの問い合わせがない場合、その原因が価格・物件条件・広告の状況・他社紹介への対応のどれにあるのか、担当者に分けて説明を求める
覚えのない「紹介停止中」は、誤登録の可能性もありますが、囲い込みの疑いがある重要なサインです。まず依頼先に理由を確認してください。事実と異なるステータスの登録は、宅地建物取引業法に基づく監督処分(指示処分など)の対象になりえます。囲い込みの仕組みと見破り方の詳細は、不動産の囲い込みとは?損する仕組み・見破り方・2025年規制で解説しています。
プロのアドバイス 会社を変えるかどうかを決める前に、「登録証明書は受け取ったか」「売主専用画面で確認したか」「定期報告は書面で残っているか」の3点を確認してください。この3点は、義務違反を理由に解除する場合の証拠にもなります。逆に3点とも問題がなく、内覧も入っているなら、原因は会社ではなく価格や見せ方にある可能性が高いといえます。
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媒介契約の3種類:「解除」に関わる違いだけ押さえる
媒介契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があります。どれを選ぶべきかという一般的な説明は、不動産会社の選び方|売却で失敗しない7つの判断基準に譲り、ここでは「解除」と「乗り換え」に関わる違いに絞って整理します。
有効期間は3か月まで。更新は売主の申出による
専任媒介契約と専属専任媒介契約の有効期間は、3か月を超えることができません。 これより長い期間を定めても、期間は3か月になります(宅地建物取引業法第34条の2第3項)。更新は「依頼者の申出により」行うもので(同条第4項)、これらの規定に反する特約は無効です(同条第10項)。つまり、「自動更新」という特約を結んでいても効力はなく、満了時に売主が申し出なければ契約は終わります。
一般媒介契約は法律上の期間制限がありませんが、国土交通省の標準媒介契約約款では、同じく3か月を超えない範囲で定めることになっています(一般媒介契約約款第8条)。更新は、専任媒介・専属専任媒介と同様に、売主と会社の合意に基づき、満了に際して売主から文書等で申し出る形です(同第16条)。
縛りの違い:他社への重ねての依頼と、自分で買主を見つけること
| 他社にも重ねて依頼できるか | 自分で見つけた買主と直接契約できるか | |
|---|---|---|
| 一般媒介 | できる(明示型は他社名を通知) | できる |
| 専任媒介 | できない | できる(会社への通知が必要) |
| 専属専任媒介 | できない | できない |
この「縛り」を破った場合に、違約金や費用償還の対象になります。逆にいえば、通常の乗り換えでは、縛りに触れない限り違約金は発生しません。
法律上の義務は専任系だけ。一般媒介に法定義務はない
レインズへの登録と定期報告は、専任媒介契約と専属専任媒介契約にだけ課された法律上の義務です。 一般媒介契約には、レインズ登録も定期報告も法律上の義務はありません。
| レインズへの登録 | 登録証明書の交付 | 業務処理状況の報告 | |
|---|---|---|---|
| 一般媒介 | 法律上の義務なし(任意) | 登録した場合のみ | 法律上の義務なし |
| 専任媒介 | 契約日から7日以内(休業日を除く) | 遅滞なく交付 | 2週間に1回以上 |
| 専属専任媒介 | 契約日から5日以内(休業日を除く) | 遅滞なく交付 | 1週間に1回以上 |
(根拠:宅地建物取引業法第34条の2第5項・第6項・第9項、同法施行規則第15条の10)
【比較表】3種類の媒介契約と「解除」に関わる違い
| 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 | |
|---|---|---|---|
| 有効期間の上限 | 3か月(約款) | 3か月(法律) | 3か月(法律) |
| 他社への重ねての依頼 | 可 | 不可 | 不可 |
| 自己発見取引 | 可 | 可(通知) | 不可 |
| レインズ登録・報告の法定義務 | なし | あり | あり |
| 義務違反を理由とする解除 | 可 | 可 | 可 |
| 売主都合の解除で請求されうるもの | 標準約款に規定なし(契約書・特約による。明示していない他社経由で成約した場合の費用償還は別途あり) | 費用償還(上限は約定報酬額) | 費用償還(上限は約定報酬額) |
| 違約金(約定報酬額相当)の対象(反社会的勢力の排除条項によるものを除く) | なし | 他社に重ねて依頼して成約 | 他社に重ねて依頼して成約、自己発見取引 |
一般媒介にレインズ登録の義務がないからこそ、「登録する会社」を選ぶ
一般媒介契約では、不動産会社にレインズへの登録義務がありません。複数の会社に依頼しても、どの会社もレインズに登録しなければ、レインズを通じた他社への物件情報の共有が行われず、他社経由の買主との接点が狭まる可能性があります。
グローバルトラスト不動産では、一般媒介契約を含め、契約の種類にかかわらず物件情報をレインズに登録し、他社からの買主紹介も受け付けています。 一般媒介の自由度を活かしながら、レインズ上では専任媒介と同様に他社へ物件情報を共有する考え方です。乗り換え先を選ぶときは、「一般媒介でもレインズに登録しますか」と契約前に確認してください。
契約期間中でも媒介契約は解除できる?一般・専任・専属専任の答え
媒介契約は、契約期間の途中でも解除できます。「専任媒介は3か月間やめられない」という説明を見かけますが、正確ではありません。国土交通省が定める標準媒介契約約款には、会社側の義務違反を理由に売主から解除できる場合が明記されています。それ以外の場合も、民法の規定により解除を申し入れることは可能です。問題になるのは「解除できるか」ではなく、「解除にともなって費用を請求されるか」です。
標準媒介契約約款とは、国土交通大臣が定めた媒介契約のひな形
標準媒介契約約款とは、宅地建物取引業法施行規則に基づいて国土交通大臣が定めた、媒介契約書と約款のひな形です(平成2年建設省告示第115号、最終改正は令和6年1月24日国土交通省告示第34号・令和6年4月1日施行)。専任媒介・専属専任媒介・一般媒介の3種類それぞれに用意されており、多くの不動産会社がこの約款に基づいて媒介契約を結んでいます。
自分の契約がこの約款に基づくものかどうかは、媒介契約書に記載することになっています(同法施行規則第15条の9第4号)。約款に基づく契約であれば、以下の解除ルールがそのまま当てはまります。約款に基づかない独自の契約書の場合でも、売主に不利な内容には注意が必要です。標準約款は「約款の各条項の定めに反する特約で甲(売主)に不利なものは無効」としています(専任媒介契約約款第19条第2項)。
なお、以下では専任媒介契約約款の条番号を基準に説明します。専属専任媒介契約約款と一般媒介契約約款では条番号が1〜2ずれますが、解除に関する条文の内容は同じです。
ルートA:催告して解除する(約款第16条)
不動産会社が契約で定めた義務を果たさない場合、売主は「相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときは」契約を解除できます(専任媒介契約約款第16条)。
不動産会社の義務は約款第4条に列挙されており、主なものは次のとおりです。
- 契約の相手方を探し、契約の成立に向けて積極的に努力すること
- 媒介契約書に記載した方法と頻度で業務の処理状況を報告すること
- 購入の申込みがあったときは、遅滞なく売主に報告すること
- 契約日の翌日から契約書に記載した期間内にレインズに登録すること
- 登録したときは、遅滞なく登録証明書を売主に交付すること
たとえば「定期報告がない」「レインズの登録証明書が交付されない」は、この義務の不履行です。「○月○日までに履行してください」と期限を定めて書面で催告し、期限までに履行がなければ解除できます。
ルートB:催告なしで解除する(約款第17条)
次の3つのいずれかに当たる場合は、催告をせずに解除できます(専任媒介契約約款第17条)。
- 不動産会社が、媒介契約に係る業務について「信義を旨とし誠実に遂行する義務」に違反したとき
- 不動産会社が、媒介契約に係る重要な事項について、故意または重過失により事実を告げず、または不実のことを告げたとき
- 不動産会社が、宅地建物取引業に関して不正または著しく不当な行為をしたとき
囲い込み(他社からの問い合わせを意図的に断る、レインズのステータスを事実と異なる「紹介停止中」にする)は、誠実義務違反や不正・不当な行為に当たりうる典型例です。
ルートC:売主の都合で解除する(民法の任意解除。費用償還の対象になりうる)
不動産会社に落ち度がなくても、売主が契約を終えたい場合はあります。標準媒介契約約款は、会社側の義務違反を理由とする解除(第16条・第17条)を定めているだけで、売主の都合による解除の手続きは定めていません。その根拠は民法にあります。媒介契約は民法上の準委任契約と解されており、委任の規定により「各当事者がいつでもその解除をすることができる」とされています(民法第651条第1項・第656条)。ただし、相手方に不利な時期に解除した場合など、同条第2項に定める一定の場合には、やむを得ない事由がある場合を除き、相手方の損害を賠償する必要があります。
このため、売主は会社の承諾がなくても媒介契約を解除できます。ただし、費用償還の範囲をめぐる争いを避けるため、実務上は、不動産会社に解除の希望日と理由を伝える(解除の申入れ)→費用の精算の有無を確認する→合意解除書を取り交わす、という流れをおすすめします。売主都合の解除は、約款第14条の「乙(不動産会社)の責めに帰すことができない事由」による解除に当たります。同条は、この場合に会社が「専任媒介契約の履行のために要した費用の償還を請求することができます」と定めており、その額は「約定報酬額を超えることはできません」とされています。
一般媒介契約は、縛りが弱いぶん見直しやすい
一般媒介契約約款にも、専任媒介と同じ催告解除(第17条)と無催告解除(第18条)の規定があります。加えて一般媒介では、もともと他社にも重ねて依頼できるため、契約を解除しなくても「別の会社を追加する」「動かない会社を満了で整理する」という形で、事実上いつでも見直せます。
一般媒介で注意するのは「明示型」の場合です。明示型では、重ねて依頼する他社の名前を通知する義務があり、通知していない他社の仲介で成約させた場合は、費用償還を請求されることがあります(一般媒介契約約款第14条・上限は約定報酬額)。
【比較表】解除の3ルートと契約種類ごとの扱い
| ルート | 根拠(専任媒介契約約款) | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 | 売主の費用負担 |
|---|---|---|---|---|---|
| A:義務不履行を催告して解除 | 第16条 | 可 | 可 | 可 | なし |
| B:誠実義務違反・不実告知・不正行為で無催告解除 | 第17条 | 可 | 可 | 可 | なし |
| C:売主の都合で解除 | 民法第651条(任意解除)。費用償還は第14条 | 可(標準約款に費用償還の規定なし。契約書・特約による) | 可(費用償還の対象・上限は約定報酬額) | 可(費用償還の対象・上限は約定報酬額) | 専任・専属専任は実費の償還を請求されうる |
| 期間満了で更新しない | 第7条・第15条 | 可 | 可 | 可 | なし |
注意 「専任媒介契約は原則として中途解約できない」という記述は、上のとおり正確ではありません。会社側に義務違反があれば約款に基づいて解除でき、解除に伴う費用償還も原則生じません。売主都合の場合も民法上は解除できますが、専任媒介・専属専任媒介では「実費の償還を請求されうる」ため、費用精算を確認して終えるのが安全、という構造です。この違いを押さえておくと、不動産会社から「3か月は解除できません」「解除するなら違約金です」と言われたときに、根拠を確認して対応できます。
違約金と費用償還:いくら請求されうるのか【1億円帯で試算】
媒介契約を終えるときに売主が心配するのは「いくら請求されるのか」です。標準媒介契約約款には「違約金」と「費用償還」という2つの異なる金銭の定めがあり、発生する場面がまったく違います。この2つを混同すると、請求されなくてよい金額を払うことになりかねません。
違約金が発生するのは「重ねて依頼して成約させた」場合など、限られた場面
違約金について、専任媒介契約約款第12条は次のように定めています。
甲は、専任媒介契約の有効期間内に、乙以外の宅地建物取引業者に目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を依頼することはできません。甲がこれに違反し、売買又は交換の契約を成立させたときは、乙は、甲に対して、約定報酬額に相当する金額(この媒介に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を除きます。)の違約金の支払を請求することができます。
つまり、違約金の対象は「契約期間中に他の不動産会社にも依頼し、その会社の仲介で成約させた」場合です。「解除したこと」自体に違約金はありません。専属専任媒介では、これに加えて「自分で見つけた買主と直接契約した」場合も違約金の対象になります(専属専任媒介契約約款第12条第2項)。
一般媒介契約約款には、重ねて依頼したことを理由とする違約金の規定はありません。なお、反社会的勢力の排除条項に基づいて会社側が解除した場合の違約金(一般媒介契約約款第19条第3項。専任媒介契約約款第18条第3項・専属専任媒介契約約款にも同じ規定)は、これとは別の話です。
費用償還の対象は「乙の責めに帰さない解除」と「自己発見取引(専任媒介の場合)」。上限は約定報酬額
費用償還について、専任媒介契約約款第14条は次のように定めています。
専任媒介契約の有効期間内において、甲が自ら発見した相手方と目的物件の売買若しくは交換の契約を締結したとき、又は乙の責めに帰すことができない事由によって専任媒介契約が解除されたときは、乙は、甲に対して、専任媒介契約の履行のために要した費用の償還を請求することができます。 2 前項の費用の額は、約定報酬額を超えることはできません。
ポイントは4つです。
- 対象は「履行のために要した費用」、つまり実際に使った実費です。広告掲載料、チラシの印刷費、交通費などが該当し、「本来得られたはずの手数料」を丸ごと請求できる規定ではありません
- 上限は約定報酬額(媒介契約書で定めた報酬額)です
- 不動産会社に義務違反があって解除した場合(ルートA・B)は、「乙の責めに帰すことができない事由」に当たらないため、費用償還の対象になりません
- 専属専任媒介では、自分で見つけた買主と直接契約すること自体が禁じられているため、自己発見取引は費用償還ではなく違約金の対象です(専属専任媒介契約約款第12条第2項)。専属専任の費用償還は「乙の責めに帰すことができない事由による解除」の場合だけです(同第13条)
直接取引:紹介された相手と会社を外して契約すると、満了後2年以内でも報酬を請求される
もう一つ、乗り換え後に効いてくる規定があります。専任媒介契約約款第11条の「直接取引」です。
専任媒介契約の有効期間内又は有効期間の満了後2年以内に、甲が乙の紹介によって知った相手方と乙を排除して目的物件の売買又は交換の契約を締結したときは、乙は、甲に対して、契約の成立に寄与した割合に応じた相当額の報酬を請求することができます。
前の会社が紹介した買主候補と、前の会社を外して契約を結ぶと、専任媒介・一般媒介では契約の有効期間内または有効期間の満了後2年以内、専属専任媒介では有効期間の満了後2年以内であれば、前の会社から「成立に寄与した割合に応じた報酬」を請求されうるという規定です。中途解除した場合について「解除後2年間」と一律に定められているわけではありません。ただし、前の会社の媒介活動が成約に寄与していた場合や、会社を外す目的で解除したとみられる事情がある場合は、報酬請求が問題になることがあります。乗り換え後の注意点として、後の章で扱います。
1億円の物件で試算:上限は306万円+消費税
都心のマンションを1億円で売却する場合を例に、実額を確認します。仲介手数料の上限は、売買価格が400万円を超える場合「売買価格×3%+6万円+消費税」で、1億円なら306万円+消費税30万6,000円=336万6,000円です(国土交通省告示による上限。計算方法の詳細はマンション売却の仲介手数料の計算方法を参照)。標準媒介契約書の様式では、約定報酬額は報酬と消費税相当額を合計した額として記載されます。専任媒介・専属専任媒介の標準約款を前提に、媒介契約書の約定報酬額がこの上限どおり(336万6,000円)に定められているとすると、請求されうる金額は次のようになります。一般媒介契約約款には売主都合の解除に対する費用償還の規定自体がないため、一般媒介の場合は契約書と特約の定めを確認します。
【表】ケース別に請求されうる金額(売却価格1億円・約定報酬額が上限の場合)
| ケース | 根拠 | 請求されうる金額 |
|---|---|---|
| 期間満了で更新しない | 約款第7条・第15条 | 0円(特別依頼の広告費等の実費は別) |
| 会社の義務違反(報告なし・レインズ未登録)を催告して解除 | 第16条 | 0円(同上) |
| 囲い込みなど不誠実な行為を理由に解除 | 第17条 | 0円(同上) |
| 売主の都合で解除(会社に落ち度なし) | 民法第651条・合意解除。費用償還は第14条 | 実際に使った費用の実費。上限は約定報酬額(上限どおりなら336万6,000円) |
| 専任媒介で、自分で見つけた買主と直接契約 | 第14条 | 実費。上限は約定報酬額(同上) |
| 契約期間中に他社にも依頼し、他社の仲介で成約 | 第12条 | 違約金306万円(約定報酬額相当。消費税相当額を除く) |
| 専属専任媒介で、自分で見つけた買主と直接契約 | 専属専任約款第12条第2項 | 違約金306万円(同上) |
| 有効期間の満了後2年以内などに、前の会社が紹介した相手と会社を外して契約 | 第11条 | 成立に寄与した割合に応じた報酬 |
「上限=約定報酬額」はあくまで約款上の天井です。売主都合の解除で実際に請求されるのは、媒介契約の履行のために要した費用(広告費や交通費などの実費)で、金額は特別に依頼した広告の有無や販売活動の内容によって変わります。請求を受けたら、内訳と領収書などの根拠を求めてください。
POINT 不動産会社から「解除するなら仲介手数料相当の違約金を払ってもらう」と言われても、鵜呑みにしないでください。通常の乗り換えに関しては、違約金の対象は「他社に重ねて依頼して成約させた」場合に限られます。また、専任媒介・専属専任媒介の標準約款上、売主都合の解除で費用償還として請求されうるのは、実際に使った費用です。根拠として約款の条番号を示して説明を求め、納得できなければ、都道府県の宅地建物取引業を所管する窓口や、会社が加入する保証協会・宅建協会の相談窓口に相談できます。
費用償還の実費の中身と、確認すべきこと
売主都合で解除する場合、不動産会社から請求されうる実費の例は次のとおりです。
- ポータルサイトや新聞折込などの広告掲載料(実際に出稿した分)
- チラシ、物件資料の印刷費
- 現地への交通費、写真撮影の外注費
一方、次のものは通常「履行のために要した費用」には当たりません。
- 担当者の人件費や会社の一般的な経費
- 将来得られたはずの仲介手数料
- 売主が「特別に依頼した」広告ではない、会社が自主的に行った販促の費用のうち根拠を示せないもの
実費として認められる範囲は、契約内容、実際の支出の有無、媒介業務との関連性などによって個別に判断されます。
なお、売主が特別に依頼した広告料や遠隔地への出張旅費は、解除の有無にかかわらず売主負担です(専任媒介契約約款第10条)。「この媒体に載せてほしい」と自分から頼んだ広告があれば、その分は請求される前提で考えておきます。
乗り換え先の仲介手数料しだいで、総負担は抑えられる
売主都合で解除して実費を請求された場合でも、乗り換え先の仲介手数料によっては、売却全体の負担を抑えられる場合があります。グローバルトラスト不動産では、売却時の仲介手数料が最大無料(当社が買主を見つけた場合は0円、他社経由で買主が決まった場合は(売却価格×1.5%+6万円)×消費税)です。1億円の物件で当社が買主を見つけた場合は、上限どおりの仲介手数料(336万6,000円)と比べて336万6,000円の差になります。
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媒介契約を解除する手順【5ステップ】と契約解除通知書の書き方
解除の意思が固まったら、手順を踏んで進めます。口頭で「やめます」と伝えるだけでは、後から「聞いていない」「解除日はいつか」で争いになることがあります。書面で記録を残しながら、次の5ステップで進めてください。

図2:媒介契約を解除する5ステップ
STEP1:契約書・約款・登録証明書・報告の記録を確認する
まず手元の媒介契約書を確認します。見るべき項目は次の5つです。
- 契約の種類と有効期間:満了日まであと何日か。満了が近ければ「更新しない」だけで済みます
- 標準媒介契約約款に基づく契約かどうか:契約書に記載があります。基づいていれば、本記事の条番号がそのまま使えます
- 解除に関する条項と特約:約款と異なる特約がないか。売主に不利な特約は無効ですが、内容は把握しておきます
- レインズの登録証明書を受け取っているか:専任媒介・専属専任媒介で受け取っていなければ、それ自体が義務違反の証拠です(一般媒介には法定の登録義務はありません)
- 業務処理状況の報告の記録:メールや書面で、いつ、どのような報告があったか
この確認で「義務違反があるか(ルートA・B)」「満了まで待てるか」「売主都合で解除するか(ルートC)」が決まります。
STEP2:まず担当者の交代を打診し、それでも変わらなければ解除の意思を伝える
会社に原因がない場合は、解除の前に担当者の交代を打診します。会社に原因がある場合、または交代でも改善しない場合は、解除の意思を伝えます。
伝える相手は、担当者だけでなくその上司や店長です。電話で伝えた後、同じ内容をメールでも送り、「いつ、誰に、何を伝えたか」を記録に残します。この段階では「解除したい理由」と「希望する解除日」を明確にします。
STEP3:義務違反が理由なら、期限を定めて書面で催告する
ルートA(約款第16条)で解除する場合は、催告が必要です。「○月○日までに、レインズへの登録と登録証明書の交付をお願いします。期限までに履行がない場合は、媒介契約を解除します」のように、履行してほしい内容と期限を明記した書面を送ります。約款は「相当の期間」としか定めていないため、期限は履行してもらう内容に応じて設定します。例えば1〜2週間を設定するケースもありますが、必要な期間は履行内容や事情によって異なります。短すぎる期限は後で争点になります。
ルートB(約款第17条)の事由がある場合、催告は法的には不要ですが、実務上は「囲い込みの事実を確認したい。○月○日までに説明を求める」といった形で一度書面を送っておくと、解除の正当性を示しやすくなります。
STEP4:契約解除通知書(売主都合なら解除の申入書と合意解除書)を作成し、内容証明郵便で送る
催告の期限が過ぎても履行がない場合は、契約解除通知書を作成して送ります。売主都合の場合は、民法上は一方的な解除通知でも効力があり、会社の承諾は解除の成立要件ではありません。ただし、費用精算の争いを避けるため、解除の希望日・理由・費用精算の有無を示した「解除の申入書」を送り、精算内容を確認したうえで合意解除書を取り交わす流れをおすすめします。通知書・申入書に書く項目は次の6つです。
- 通知の日付
- 宛先:不動産会社の商号、代表者名、所在地
- 差出人:売主の氏名、住所
- 契約の特定:契約日、契約の種類(専任媒介など)、対象物件の所在
- 解除の意思表示と理由・根拠:「貴社が○月○日付の催告にもかかわらず業務処理状況の報告を行わないため、専任媒介契約約款第16条に基づき、本書をもって媒介契約を解除します」のように、理由と条番号を明記します。売主都合の場合は「一身上の都合により、○月○日をもって媒介契約を解除します。費用の精算が必要な場合は、○月○日までに内訳と根拠を示してください」とし、回答期限を添えます
- 今後の対応の依頼:レインズ登録の抹消、ポータルサイト掲載の削除、預けた書類(鍵、図面、管理規約など)の返却、紹介済みの買主候補の一覧の提示
送付には内容証明郵便を使うことをおすすめします。法的な必須事項ではなく、証拠を残すための実務上の推奨です。内容証明郵便は、「いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛てに差し出したか」を日本郵便が証明する制度です。内容証明だけでは相手方に配達された事実までは証明できないため、配達証明も併せて利用します。解除などの意思表示は、原則として相手方に到達した時に効力を生じます(民法第97条第1項)。
窓口で差し出す場合の内容証明の加算料金は480円(2枚目以降は1枚ごとに290円増)で、これに郵便料金と一般書留料金がかかります。インターネットから差し出せる「e内容証明」では、1枚・謄本を通常送付の場合で1,295円(郵便料金110円+電子郵便料金19円+内容証明料金382円+謄本送付料金304円+一般書留料金480円)です。配達証明の料金は350円です(いずれも2026年9月時点の日本郵便の料金)。
STEP5:解除の確認、紹介済み買主の一覧、レインズ抹消と掲載削除を確認する
通知書を送った後、不動産会社からの回答を受け、解除合意書(解除日、費用の精算の有無、預かり物の返却を記載)を取り交わします。売主都合の解除は会社の承諾を要しませんが、解除の意思表示が相手方に到達することで効力を生じます。そのうえで合意書を取り交わしておけば、費用精算を含めて争いの余地を小さくできます。あわせて、次の3点を確認します。
- レインズの登録が抹消されたか:抹消されないまま乗り換え先が登録すると二重登録になります。売主専用画面で確認するか、抹消の通知を求めます
- ポータルサイトの掲載が削除されたか:前の会社の掲載が残ったままだと、価格や情報が食い違い、購入検討者の不信を招きます
- 紹介済みの買主候補の一覧を書面で求めたか:直接取引の規定(約款第11条)との線引きに必要です。交付は会社の義務ではないため、拒否された場合も求めた記録を残します。次の章で説明します
満了で終える場合は「更新しない」と伝えるだけでよい
明確な義務違反はないが次は別の会社に頼みたい、という場合は、満了を待って更新しないのが最も穏当です。専任媒介・専属専任媒介では、更新は売主の申出によるものと法律で定められているため(宅地建物取引業法第34条の2第4項)、売主が更新を申し出なければ満了で終了します。一般媒介は法律上の同じ規制ではなく標準約款上の定め(一般媒介契約約款第16条:合意に基づき更新し、更新は売主から文書等で申し出る)なので、契約書と特約も確認してください。ただし、実務上は不動産会社から更新の打診があり、曖昧に応じると「更新に合意した」と受け取られて争いになることがあります。満了の1〜2週間前に、満了日と「今回は更新しません」という意思をメールなど記録の残る形で明確に伝えておきます。乗り換え先の会社には、満了の2〜3週間前から相談を始めると、切れ目なく売却活動を続けられます。
プロのアドバイス 専任媒介・専属専任媒介では、前の契約が終了するまで、乗り換え先に本格的な販売活動を依頼することは避ける必要があります。満了が近い場合は、解除手続きに要する期間も考慮し、無理に中途解除を進めるより、満了で終えて乗り換え先の準備を進めるほうがスムーズな場合があります。
乗り換えるときの注意点:二重依頼・直接取引・掲載履歴
不動産会社を変えるときに、知らずに約款の縛りに触れてしまう落とし穴が3つあります。違約金や報酬請求の対象になるのは、いずれも「解除したこと」ではなく、乗り換えの過程での行動です。
契約期間中に、別の会社と重ねて契約しない
専任媒介・専属専任媒介の契約期間中に、乗り換え先の会社とも媒介契約を結び、その会社の仲介で成約させると、前の会社から約定報酬額に相当する違約金を請求されます(専任媒介契約約款第12条)。専任媒介で通常の乗り換え時に特に注意したい違約金の場面が、この「契約期間中に他社へ重ねて依頼し、その会社の仲介で成約した場合」です。なお、専属専任媒介では、自分で見つけた買主との直接契約も違約金の対象になります(専属専任媒介契約約款第12条第2項)。
「乗り換え先と先に契約しておいて、前の会社は後で切ればよい」という進め方は避けてください。正しい順序は、前の契約を解除(または満了)してから、乗り換え先と契約することです。乗り換え先への相談や査定の依頼は、前の契約が続いている間でも可能です。ただし、専任媒介・専属専任媒介の契約が終了する前に、乗り換え先へ買主の探索や広告掲載など具体的な媒介業務を依頼するのは避けてください。
前の会社が紹介した買主候補と契約したい場合
乗り換えた後で、前の会社が紹介していた買主候補が「やはり買いたい」と申し出てくることがあります。このとき、前の会社を外してその人と直接契約すると、前の会社は「契約の成立に寄与した割合に応じた相当額の報酬」を請求できます(専任媒介契約約款第11条。契約の有効期間内または有効期間の満了後2年以内が対象)。一般媒介契約約款(第13条)・専属専任媒介契約約款(第11条)にも同様の直接取引の規定があります(専属専任は「有効期間の満了後2年以内」。期間中の自己発見取引は第12条第2項の違約金の対象)。
新しい会社の仲介でその買主と契約した場合、約款第11条の文言上は「乙を排除して」直接契約した場合とは異なりますが、前の会社が「自社の紹介で知った相手だ」として報酬を主張し、争いになることがあります。トラブルを避けるために、解除時に「紹介済みの買主候補の一覧」を前の会社に書面で求め、その人たちについては前の会社を通す、あるいは新しい会社と前の会社の間で扱いを取り決めておきます。一覧の提示を拒む会社もありますが、求めた記録を残しておくだけでも、後の争いで売主の立場を守ります。
掲載履歴が残る:「長く売れていない物件」と見られないために
同じ物件が長期間ポータルサイトに掲載され続けると、購入検討者や他の不動産会社から「何か問題があるのではないか」「値下げを待てばよい」と見られることがあります。業界で「出回り物件」と呼ばれる状態です。会社を変えて再掲載しても、掲載時期や価格の履歴を追える媒体があり、単に会社名が変わっただけでは印象は変わりにくいのが実情です。
乗り換えは、売り出し方を仕切り直す機会として使います。
- 価格の再設定:乗り換え先の査定で、直近の成約事例に基づく価格を出し直す。前の会社の査定額に引きずられない
- 写真と資料の作り直し:写真を撮り直し、間取り図や物件資料を刷新する
- 訴求点の見直し:前回の内覧で指摘された点(日当たり、騒音、管理状態など)への説明を用意する
前の会社の掲載が削除されていることを確認してから、新しい掲載を始めます。二重掲載は、情報の食い違いを生むだけでなく、前の会社との関係でも余計な争点になります。
乗り換えても売れない場合の選択肢
会社を変え、価格も見直したうえで、それでも一定期間売れない場合は、仲介にこだわらず「買取」という選択肢もあります。不動産会社が直接買い取る方法で、価格は仲介より低くなりますが、期間と確実性を優先する場合に検討します。詳しくはマンションの買取とは?仲介との違い・相場・流れを参照してください。

次の会社の選び方:同じ失敗を繰り返さない5つの確認
乗り換え先を選ぶときに大切なのは、「前の会社の何が問題だったか」を言葉にしておくことです。報告がなかったのか、レインズに登録しなかったのか、担当者の力量だったのか。その問題を繰り返さないために、契約前に次の5点を確認します。不動産会社選びの全体像は不動産会社の選び方|売却で失敗しない7つの判断基準で解説しています。
契約前に確認する5つのこと
- レインズへの登録と登録証明書の交付:「契約から何日以内にレインズに登録し、登録証明書をいつ渡してもらえるか」。一般媒介の場合は「一般媒介でも登録するか」
- 報告の頻度と方法:「何日ごとに、どのような形式(メール・書面)で、何を報告するか」。問い合わせ件数、内覧件数、他社からの紹介の有無、購入検討者の反応が含まれるか
- 他社からの紹介を受けるか:「他社から買主の紹介があった場合、断らずに受けるか」。囲い込みをしない方針を明言できるか
- 広告の出し方:どのポータルサイトに掲載するか、写真は誰が撮るか、広告費の負担はどうなるか
- 仲介手数料と条件:手数料の額と、どのような場合にいくらになるか。「無料」「割引」には条件があるため、条件を書面で確認する
一般媒介か専任媒介か、前回の失敗の型で選び直す
- 前の会社が「1社に任せたのに動かなかった」なら、一般媒介で複数の会社に依頼し、動きを比較する方法があります。ただし、各社にレインズ登録の義務がないため、「登録する会社」を選ぶ必要があります
- 前の会社が「一般媒介で複数に頼んだが、どこも本気で動かなかった」なら、信頼できる1社に専任媒介で任せ、法律上の登録義務と報告義務で縛る方法があります
どちらの型でも、「レインズに登録し、他社からの紹介を受ける会社かどうか」が結果を分けます。
グローバルトラスト不動産の方針
グローバルトラスト不動産は、不動産業界の経験者のみで構成した少数精鋭の売買仲介会社で、都心8区(渋谷区・港区・目黒区・千代田区・中央区・品川区・世田谷区・杉並区)のマンション売却を専門としています。
- 契約の種類にかかわらずレインズに登録し、他社からの買主紹介を受け付けます(当社が囲い込みをしない理由)
- 売主様の仲介手数料は最大無料です。当社が買主を見つけた場合は0円、他社経由で買主が決まった場合は(売却価格×1.5%+6万円)×消費税で、上限(3%+6万円+消費税)のおよそ半額です(仕組みの詳細はマンション売却の仲介手数料が無料になる仕組み)
- 報告は、問い合わせ件数と内覧件数、他社からの紹介状況を含めて、書面で残る形で行います
「今の会社を解除すべきか、満了を待つべきか」という段階でのご相談も承ります。前の契約が続いている間でも、相談と査定は問題ありません。
乗り換え先の候補として、まずご相談ください
今の媒介契約の内容と売却活動の状況をお聞かせいただければ、「解除できるか」「満了を待つべきか」「価格と売り方をどう変えるか」を整理してご提案します。前の契約が続いている間のご相談も問題ありません。
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あなたのケースで考える4つの判断シナリオ
ここまでの内容を、実際によくある4つの場面に当てはめて整理します。
POINT 4つのシナリオは「こうすべき」と断定するものではなく、判断軸の整理です。実際の対応は、契約書の内容、売却を急ぐ度合い、物件の状況と組み合わせて判断してください。複数のシナリオにまたがる場合は、「会社側に義務違反があるか」を最初に確認すると、取るべき出口が絞れます。
シナリオA:担当者の対応だけが不満で、会社の活動は正常
方向性:担当者の交代を申し出る。会社を変える必要はありません。
レインズの登録証明書は受け取っており、報告も来ている。内覧も入っている。ただ担当者の連絡が遅く、説明が雑で信頼できない。この場合、原因は担当者個人にあります。上司や店長に、困っている点と「何をしてほしいか」を添えて交代を申し出ます。費用はかかりません。交代後も改善しなければ、満了で更新しない判断に切り替えます。
シナリオB:専任媒介で2か月、内覧ゼロ。報告は来ている
方向性:価格と売り方を先に見直す。満了時に更新するかを判断します。
報告は来ており、レインズにも登録されているが、内覧がまったく入らない。この場合、少なくとも登録と報告の面では明白な義務違反は見えにくく、価格か見せ方に原因がある可能性を先に検証します。担当者に直近の成約事例との比較を求め、価格の見直しと写真・資料の作り直しを提案してもらいます。それでも動きがなければ、満了で更新せず、乗り換え先に価格を出し直してもらいます。残り1か月なら、解除を争うより満了で終えるほうが早く進みます。
シナリオC:専任媒介・専属専任媒介で、レインズに登録されていない、報告もない、囲い込みの疑い
方向性:書面で催告し、履行がなければ解除します。解除に伴う費用償還は原則生じません。
登録証明書を受け取っていない、売主専用画面で確認したら覚えのない「紹介停止中」になっている、報告が2週間以上来ない。これらは法律上・約款上の義務違反です。「○月○日までに登録証明書の交付と報告を求める」と期限を定めて書面で催告し(約款第16条)、期限までに履行がなければ契約解除通知書を内容証明郵便で送ります。囲い込みが誠実義務違反や不正・不当な行為に該当する場合は、催告なしの解除(第17条)が可能です。会社側の責任による解除なので、費用償還の対象にはなりません(売主が特別に依頼した広告費や遠隔地への出張旅費〈専任媒介契約約款第10条〉は、解除とは別に実費負担です)。
シナリオD:一般媒介で複数社に依頼したが、どこも動かない
方向性:会社を整理するか、信頼できる1社に専任媒介で集約します。
一般媒介では各社にレインズ登録の義務がなく、各社の活動量に差が出やすいため、報告の内容と広告の状況を会社ごとに比較して判断します。動かない会社は満了で整理し、レインズに登録して他社からの紹介を受ける会社を選び直します。信頼できる1社が見つかれば、専任媒介に切り替えて、法律上の登録義務と報告義務で活動を担保する方法もあります。一般媒介の標準約款には、売主都合の解除に対する費用償還の規定はありません。ただし、契約書・特約や、明示型の場合の通知の状況は確認してください。
よくある質問(FAQ)
専任媒介契約は途中で解除できますか?
解除できます。不動産会社に義務違反(レインズ未登録、定期報告なし、囲い込みなど)があれば、標準媒介契約約款第16条・第17条に基づいて売主から解除でき、解除に伴う費用償還は原則生じません。会社に落ち度がない場合でも、媒介契約は民法上の準委任契約として各当事者がいつでも解除できる(民法第651条)ため、売主の都合で解除を申し入れることは可能です。会社の承諾は解除の要件ではありません。ただし、専任媒介・専属専任媒介では会社が実際に使った費用の償還を請求されることがあるため(上限は約定報酬額)、費用精算の争いを避けるには合意解除書を取り交わすのがおすすめです。「3か月は一切解除できない」ということはありません。
媒介契約を解除すると違約金はかかりますか?
解除したこと自体に違約金はかかりません。標準媒介契約約款で違約金(約定報酬額相当)が定められているのは、契約期間中に他の不動産会社にも重ねて依頼してその会社の仲介で成約させた場合(専任・専属専任)と、専属専任媒介で自分が見つけた買主と直接契約した場合が中心です(反社会的勢力の排除条項に基づく違約金は別です)。専任媒介・専属専任媒介では、売主都合の解除で標準約款上の費用償還として請求されうるのは広告費などの実費で、上限は約定報酬額です。一般媒介の標準約款にはこの規定がなく、契約書と特約によります。
担当者だけ変えてもらうことはできますか?気まずくなりませんか?
できます。媒介契約は会社と結んでいるため、担当者が代わっても契約内容と費用は変わりません。担当者本人ではなく、上司や店長に「担当者の変更をお願いしたい」と、困っている点を具体的に添えて伝えます。不動産会社にとって担当者の交代は珍しいことではなく、売却を成功させるための正当な要望です。
媒介契約はクーリングオフできますか?
できません。宅地建物取引業法のクーリングオフ(第37条の2)は、不動産会社が自ら売主となる売買契約について、事務所等以外の場所で申込みや契約をした「買主」を保護する制度で、媒介契約には適用されません。媒介契約を終えるには、本記事で説明した3つの出口(満了で更新しない、義務違反を理由に解除、売主都合で解除)のいずれかによります。
解除は口頭やメールでも有効ですか?
まず媒介契約書の解除条項に、解除の方法(書面によるなど)が定められていないかを確認してください。定めがなければ口頭やメールの意思表示も無効ではありませんが、「聞いていない」「解除日はいつか」という争いを避けるため、書面で行うことをおすすめします。実務上は、電話やメールで意思を伝えたうえで、契約解除通知書を内容証明郵便(または e内容証明)で送り、日付と内容の記録を残します。解除の意思表示は相手方に到達した時に効力を生じるため(民法第97条第1項)、配達証明も併せて付けておくと到達の事実も残せます。内容証明は法的な必須事項ではなく、証拠を残すための推奨です。
前の会社が紹介してくれた買主と、新しい会社で契約できますか?
注意が必要です。標準媒介契約約款の直接取引の規定(専任・専属専任は第11条、一般は第13条)により、専任媒介・一般媒介では契約の有効期間内または有効期間の満了後2年以内、専属専任媒介では有効期間の満了後2年以内に、前の会社の紹介で知った相手と前の会社を外して契約すると、前の会社は成立に寄与した割合に応じた報酬を請求できます。新しい会社の仲介で契約する場合でも争いになることがあるため、解除時に紹介済みの買主候補の一覧を書面で求め、その人たちの扱いを前の会社と取り決めておくのが安全です。
3か月経ったら自動で更新されますか?
専任媒介・専属専任媒介は、自動では更新されません。更新は「依頼者の申出により」行うものと法律で定められており(宅地建物取引業法第34条の2第4項)、自動更新の特約は無効です(同条第10項)。満了時に売主が更新を申し出なければ契約は終了します。一般媒介については法律上同じ規制があるわけではないため、契約書・特約を確認してください。国土交通省の標準媒介契約約款では、有効期間を3か月以内とし、更新は依頼者と宅建業者の合意に基づき、依頼者からの申出で行う形になっています(一般媒介契約約款第8条・第16条)。実務上は会社から更新の打診があるため、更新しない場合はその旨を記録に残る形で伝えておきます。
一般媒介契約なら、いつでも自由にやめられますか?
専任媒介より見直しやすいのは事実ですが、「自由」ではありません。一般媒介契約は他社にも重ねて依頼できるため、契約を解除しなくても別の会社を追加でき、動かない会社は満了で整理できます。標準の一般媒介契約約款には、重ねて依頼したことを理由とする違約金の規定がありません(反社会的勢力の排除条項に基づく違約金は別です)。また、売主都合の解除に対する費用償還の規定もないため、費用については契約書と特約を確認します。ただし、明示型では重ねて依頼する他社を通知する義務があり、通知していない他社の仲介で成約させた場合は費用の償還を請求されることがあります(一般媒介契約約款第14条)。自分で買主を見つけたときの通知義務や、紹介で知った相手との直接取引の規定(同第13条)は専任媒介にもあります。一般媒介ではこれに加えて、他社の媒介・代理で成約したときにも通知義務があります(同第15条)。
今の会社がきちんと売却活動をしているか、自分で確認する方法はありますか?
あります。レインズには2016年(平成28年)1月から、売主が取引状況を確認できる「ステータス管理機能」があります。2025年1月からは、専任媒介・専属専任媒介でレインズに登録される売却物件について、不動産会社に取引状況(「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」)の登録が義務付けられました。売主は、登録証明書に記載された二次元コードから「売主専用画面」にアクセスして確認できます。覚えのない「紹介停止中」になっていれば、誤登録の可能性も含めて依頼先に理由を確認すべきサインです。あわせて、定期報告の記録と、ポータルサイトでの掲載状況も確認します。
まとめ
不動産会社・担当者の変更と媒介契約の解除について、要点を整理します。
- 担当者も不動産会社も、売却の途中で変えられます。 担当者だけなら同じ会社で交代してもらい、費用はかかりません。会社を変えるなら、媒介契約の3つの出口(満了で更新しない、義務違反を理由に解除、売主都合で解除)のいずれかを選びます
- 変える前に、原因が担当者か、会社か、価格かを切り分けます。 専任媒介・専属専任媒介では、レインズの登録証明書、定期報告の記録、売主専用画面のステータスの3点から主要な義務の履行状況を確認できます
- 媒介契約の有効期間は、専任・専属専任は法律上、一般媒介は標準約款上、3か月が上限です。 専任・専属専任では、更新は売主の申出によるものと法律で定められ、自動更新の特約は無効です。一般媒介は標準約款上、合意に基づき売主から申し出て更新します
- 契約期間中でも解除できます。 会社の義務違反があれば催告して解除でき(約款第16条)、囲い込みなど不誠実な行為があれば催告なしで解除できます(第17条)。いずれも解除に伴う費用償還は原則生じません(売主が特別に依頼した広告費や遠隔地への出張旅費〈約款第10条〉は解除とは別に実費負担)。売主都合の場合でも、会社の承諾なしに民法上は解除できます(民法第651条)。費用精算の争いを避けるため、合意解除書を取り交わす流れをおすすめします
- 「解除したこと」に違約金はありません。 違約金(約定報酬額相当)の対象は、期間中に他社に重ねて依頼して成約させた場合などに限られます。専任媒介・専属専任媒介では、売主都合の解除で標準約款上の費用償還として請求されうるのは実費で、上限は約定報酬額(1億円の物件で上限どおりなら336万6,000円)です。一般媒介の標準約款にはこの規定がなく、契約書と特約を確認します
- 解除は5ステップで進めます。 契約書の確認、意思の伝達、書面での催告、契約解除通知書の内容証明郵便での送付、解除後の確認(レインズ抹消・掲載削除・紹介済み買主の一覧)です
- 乗り換えの落とし穴は3つ。 期間中の二重依頼、前の会社が紹介した買主との直接取引(有効期間の満了後2年以内など)、掲載履歴です。乗り換えは価格と売り方を仕切り直す機会として使います
- 次の会社は、レインズに登録し他社からの紹介を受けるかどうかで選びます。 一般媒介には登録の法定義務がないからこそ、「登録する会社」かどうかを契約前に確認します
不動産会社を変えることは、売主に認められた正当な選択です。ただし、変えるだけでは売れません。原因を切り分け、根拠に基づいて手順を踏み、乗り換え先で価格と売り方を仕切り直すことが、納得のいく売却につながります。
グローバルトラスト不動産にご相談ください
グローバルトラスト不動産は、都心8区に特化した売買仲介の専門会社として、「今の会社を変えるべきか」の判断から、乗り換え後の売り出しまで一貫してご相談を承ります。
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本記事で使用したデータの出典・集計方法
| データ | 出典 | 時点 | 集計方法 |
|---|---|---|---|
| 媒介契約の有効期間の上限(3か月)・更新は依頼者の申出・レインズ登録と登録証明書の交付・業務処理状況の報告(2週間に1回以上/1週間に1回以上)・反する特約の無効 | 宅地建物取引業法 第34条の2(e-Gov法令検索) | 2026年9月確認 | 条文を引用 |
| レインズへの登録期間(専任媒介7日以内・専属専任媒介5日以内・休業日を除く)、標準媒介契約約款に基づく契約か否かの記載 | 宅地建物取引業法施行規則 第15条の9・第15条の10(e-Gov法令検索) | 2026年9月確認 | 条文を引用 |
| 媒介契約の解除(第16条・第17条)、違約金(第12条)、費用償還と上限(第14条)、直接取引(第11条)、特別依頼に係る費用(第10条)、更新(第15条)、反社会的勢力の排除条項に基づく解除時の違約金(第18条第3項・一般第19条第3項)、売主に不利な特約の無効(第19条) | 国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款」(平成2年建設省告示第115号・最終改正令和6年1月24日国土交通省告示第34号・令和6年4月1日施行) | 2026年9月確認 | 条文を引用(条番号は専任媒介契約約款のもの。専属専任・一般は該当条を併記) |
| 意思表示は相手方に到達した時から効力を生ずる | 民法 第97条第1項(e-Gov法令検索) | 2026年9月確認 | 条文を引用 |
| 委任の任意解除(各当事者はいつでも解除できる。同条第2項所定の場合の損害賠償)・準委任への準用 | 民法 第651条・第656条(e-Gov法令検索) | 2026年9月確認 | 条文を引用 |
| クーリングオフの適用範囲(宅建業者が自ら売主となる売買契約の買主) | 宅地建物取引業法 第37条の2(e-Gov法令検索) | 2026年9月確認 | 条文を引用 |
| 監督処分(指示・業務停止) | 宅地建物取引業法 第65条(e-Gov法令検索) | 2026年9月確認 | 条文を引用 |
| ステータス管理機能の導入(2016年(平成28年)1月) | 国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」 | 2026年9月確認 | 公表情報を引用 |
| レインズの取引状況(ステータス)登録の義務化(2025年1月1日)、登録証明書への二次元コード掲載(2025年1月4日)、売主専用画面 | 国土交通省 報道発表「レインズの機能強化について、物件の売主向けのリーフレットを作成しました!」 | 令和6年12月24日(2026年9月確認) | 公表情報を引用 |
| 仲介手数料の上限(売買価格×3%+6万円+消費税) | 宅地建物取引業法に基づく国土交通省告示(昭和45年建設省告示第1552号/令和6年6月21日国土交通省告示第949号改正) | 令和6年7月1日施行 | 公表情報を引用 |
| 登録から成約に至る日数(82.5日) | 公益財団法人 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」 | 2025年(2026年1月公表) | 公表情報を引用 |
| 内容証明の加算料金(480円・2枚目以降290円増)、e内容証明の料金(1枚・謄本通常送付で1,295円)、配達証明(350円) | 日本郵便「内容証明」、同「e内容証明(電子内容証明)」 | 2026年9月時点 | 公表情報を引用 |
| 1億円の物件における違約金・費用償還の上限額 | 上記の約款と告示に基づく当社試算 | 2026年9月 | 当社推計 |
【最終更新日】 2026年9月18日
【免責事項】 本記事は媒介契約の解除および不動産会社の変更に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の契約の解釈や法的判断を保証するものではありません。実際の媒介契約書や特約の内容、不動産会社の対応によって結論が異なる場合があります。標準媒介契約約款に基づかない契約や、独自の特約がある場合は、契約書の内容を優先してご確認ください。具体的な紛争や請求への対応については、都道府県の宅地建物取引業所管窓口、弁護士等の専門家にご相談ください。記載の数値は本記事作成時点で公表されている情報および当社試算に基づくものです。
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