マンション住宅ローンご売却
2024/05/23
都心の1LDK・ワンルームマンションは売れないのか?データで見る需要と売り方のコツ
「1LDKのマンションは売れにくい」「ワンルームは買い手がいない」。売却を考え始めたときに、こうした話を聞いて不安になる方は少なくありません。ファミリー向けの間取りに比べて住める人数が限られるため、買い手が少ないと思われやすいのは確かです。
結論から申し上げます。都心では、1LDKやワンルームのマンションにも数多くの取引の実績があります。 東日本不動産流通機構の集計では、2025年度に東京都区部(23区全体)で成約した中古マンション21,723件のうち、1K・1DK・1LDKなどの「1DK・LDK」は6,440件(29.6%)でした。ファミリー向けの「3DK・LDK」(6,428件)とほぼ同じ件数です。
それでも「売れない」状態が続く場合は、間取りのせいと決めつける前に、売り出し価格が買い手の見方と合っているか、想定している買い手が合っているかを確かめることが大切です。とくに、自宅として住む人に売るのか、投資家に売るのかで、物件の見られ方は大きく変わります。
本記事では、データで見た1LDK・ワンルームの取引の実績、4つの買い手、自宅として売る場合と投資用として売る場合の準備、売り時と税金の違いまでを順に解説します。
【この記事でわかること】
- 東京都区部と、当社が対象とする都心8区で、1LDK・ワンルームがどのくらい売れているか(成約件数と価格の実データ)
- 1LDK・ワンルームを買うのはどんな人か(4つの買い手と、それぞれが重視する点)
- 自宅の1LDKを住む人に売るときと、入居者がいる投資用ワンルームを投資家に売るときの準備の違い
- 売り時を決める3つの区切り(所有期間・築年数・金利)と、自宅と投資用で違う税金の考え方
- 売れないときに見直す4つのこと
【気になるところからお読みください】
- 需要と買い手を知る:データで見る需要 / 4つの買い手
- 売り方を知る:自宅の1LDKを売る / 入居者がいる投資用ワンルームを売る
- 時期とお金を確かめる:売り時の3つの区切り / 税金 / 仲介手数料
- 困ったときに:売れないときに見直すこと / 4つの判断シナリオ / よくある質問
1LDK・ワンルームマンションは本当に売れないのか——データで確かめる
1LDKやワンルームのマンションにどのくらい取引の実績があるかは、公表データで確かめられます。東京都区部では、1K・1DK・1LDKなどの成約件数がファミリー向けの3LDKなどとほぼ同じで、当社が対象とする都心8区の成約価格情報でも2割強が1LDKです。この章では、データで取引の多さを確かめたうえで、それでも「売れない」と言われる理由を整理します。
東京都区部の間取り別成約件数(2025年度)
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は、毎年、首都圏の中古マンションの成約状況を間取り別に公表しています。2025年度(2025年4月〜2026年3月)の東京都区部の結果は次のとおりです。
| 間取りの区分 | 成約件数 | 構成比 | 平均成約価格 | 平均専有面積 |
|---|---|---|---|---|
| ワンルーム | 1,352件 | 6.2% | 2,615万円 | 25.57㎡ |
| 1DK・LDK(1K・1DK・1LDKなど) | 6,440件 | 29.6% | 5,193万円 | 38.68㎡ |
| 2DK・LDK | 7,029件 | 32.4% | 9,012万円 | 61.16㎡ |
| 3DK・LDK | 6,428件 | 29.6% | 9,540万円 | 74.06㎡ |
| 4DK・LDK以上 | 474件 | 2.1% | — | — |
| 合計 | 21,723件 | 100.0% | 7,642万円 | 56.80㎡ |
東京都区部では、1K・1DK・1LDKなどの区分だけで成約の約3割を占めています。首都圏全体で見ても、この区分の成約件数は2015年度の5,217件(構成比14.9%)から、2025年度は8,780件(同17.8%)に増えています。少なくとも取引の実績から見れば、「1LDKのマンションは売れない」とはいえません。ただし、これらは成約した件数であり、売り出された物件のうちどのくらいが売れたか(成約率)や、売れるまでの期間を示すものではありません。個々の物件が売れるかどうかは、価格や条件によって変わります。

図1:首都圏の中古マンション「1DK・LDK」の成約件数と構成比(2015〜2025年度)
都心8区での1LDK・ワンルームの取引(直近1年)
次は、グローバルトラスト不動産が対象とする都心8区(渋谷区・港区・目黒区・千代田区・中央区・品川区・世田谷区・杉並区)に絞った集計です。国土交通省「不動産情報ライブラリ」の成約価格情報(2025年第2四半期〜2026年第1四半期の1年分)を当社が集計しました。不動産情報ライブラリには「成約価格情報」と「不動産取引価格情報」があり、同じ取引が両方に掲載されている場合があります。重複を避けるため、成約価格情報のみを集計しています。成約価格情報も、すべての取引を網羅したものではありません。また、上の東日本レインズの表とは間取りの区分が異なる(こちらは1Kをワンルーム系に含めている)ため、件数や構成比を直接比べることはできません。
| 間取り | 取引件数 | 構成比 | 価格(中央値) | 面積(中央値) | 建築年(中央値) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1R・1K(ワンルーム系) | 1,348件 | 15.6% | 2,500万円 | 25㎡ | 1996年 |
| 1DK | 275件 | 3.2% | 3,400万円 | 35㎡ | 1989年 |
| 1LDK(1LDK+Sを含む) | 1,966件 | 22.8% | 7,200万円 | 45㎡ | 2004年 |
| 2K〜2LDK | 2,986件 | 34.6% | 1億円 | 65㎡ | 2005年 |
| 3K以上 | 2,042件 | 23.7% | 1億2,000万円 | 80㎡ | 2005年 |
当社が集計した都心8区の成約価格情報では、1LDKだけで2割強(22.8%)、ワンルーム系を合わせると4割近く(38.4%)になります。1LDKの価格の中央値は7,200万円で、区別に見ると港区9,900万円、渋谷区8,250万円、中央区8,000万円、千代田区7,650万円、品川区6,800万円、目黒区6,500万円、世田谷区5,000万円、杉並区4,100万円です。都心の1LDKは、価格の面でも「手軽な小さい部屋」ではなく、数千万円から1億円近い資産として取引されています。23区全体の市況は東京23区の中古マンション価格の記事で、区ごとの相場は千代田区のマンション売却ガイドなどのエリア別の記事で解説しています。
ワンルームと1LDKは、買い手も価格の決まり方も違う
同じ「小さい部屋」でも、ワンルームと1LDKでは主な買い手と価格の決まり方が異なります。広さと価格は上の集計の中央値で、買い手と価格の物差しは統計ではなく、売却実務上の一般的な整理です。
| 項目 | ワンルーム(1R・1K) | 1LDK |
|---|---|---|
| 広さの目安(都心8区の中央値) | 25㎡ | 45㎡ |
| 価格の目安(都心8区の中央値) | 2,500万円 | 7,200万円 |
| 主な買い手 | 不動産投資家が中心 | 自分で住む人と投資家の両方 |
| 価格を決める主な物差し | 家賃と利回り | 住む人に売るなら近隣・同じマンションの成約事例、入居者がいるまま投資家に売るなら家賃と利回り |
| 売るときの状態 | 入居者がいるまま投資家に売ることが多い | 自宅なら住みながら売り出し、引き渡しまでに退去する。賃貸中なら入居者がいるまま売ることもある |
1LDKは、自分で住む人にも投資家にも売れる間取りです。一方で、どちらに売るのかを決めずに売り出すと、価格の根拠や広告の内容があいまいになり、どちらの買い手にも響かないことがあります。
それでも「売れない」と言われる3つの理由
データの上では取引が多くても、個々の物件が売れずに残ることはあります。1LDK・ワンルームでよく挙がる理由は次の3つです。
- 住む人数によって検討の対象が限られる:家族が3人以上の世帯では、広さが制約になって検討の対象から外れることがあります。
- 家族が増えると住み続けにくい:結婚や出産で手狭になることを見越して、購入をためらう人がいます。
- 似た条件の部屋と比べられやすい:同じマンションや近くのマンションに似た広さの部屋が多く、価格や室内の状態で比べられやすい間取りです。
いずれも「需要がない」という意味ではなく、買い手を絞り込み、その買い手が比べる相手より選ばれる理由をつくる必要があるという意味です。次の章から、買い手ごとの見方を整理します。
誰が買うのか——1LDK・ワンルームの4つの買い手
1LDK・ワンルームの買い手は、大きく4つに分けられます。単身者、夫婦のみの世帯、子どもが独立したシニア世帯、そして不動産投資家です。自分で住む3つの買い手と投資家とでは、物件を見る物差しが大きく異なります。この章では、それぞれが何を重視するかを整理します。
単身者
仕事を持つ単身者は、都心の1LDK・1Kの主な買い手の一つです。賃貸の家賃を払い続けるより、自分の資産として持ちたいと考えて購入する人もいます。重視するのは、職場までの通勤時間、駅からの距離、周辺の生活の便利さです。収納や在宅で働くための空間があるかどうかも比べられます。
夫婦のみの世帯(共働き)
子どものいない共働きの夫婦は、1LDKや広めの1LDK+Sの買い手になります。2人分の収入で資金計画を立てられるため、都心の比較的高い価格帯の1LDKを検討する場合もあります。2人の通勤先へのアクセス、リビングの広さ、1LDK+Sであればサービスルームを含む各スペースの使い方などが判断のポイントになります。
子どもが独立したシニア世帯
子どもが独立した後、郊外の広い家から都心のコンパクトな住まいへ住み替える世帯です。駅や病院、商業施設に近いこと、段差の少なさ、エレベーターや管理の状態を重視します。広い自宅を売った資金で購入するケースもあります。
不動産投資家
ワンルームや1Kの主な買い手は投資家です。1LDKも、賃貸の需要が高い立地では投資家の対象になります。投資家が見るのは、住み心地よりも家賃収入と利回り、空室になりにくい立地、管理費・修繕積立金の負担、建物の管理状態です。入居者がいる部屋をそのまま買うことも少なくありません。
買い手ごとに重視する点
| 買い手 | 主に買う間取り | 重視する点 | 売り出し時に伝えるべきこと |
|---|---|---|---|
| 単身者 | 1K・1DK・1LDK | 通勤時間、駅からの距離、生活の便利さ | 周辺環境、収納、在宅で働ける空間 |
| 夫婦のみの世帯 | 1LDK・1LDK+S | 2人の通勤、リビングの広さ、各スペースの使い方 | 間取りの使い方の例、2人で住んだときの動線 |
| シニア世帯 | 1LDK | 駅・病院・商業施設への近さ、段差、管理状態 | 管理の状態、修繕の履歴、周辺の施設 |
| 不動産投資家 | 1R・1K・1LDK | 家賃、利回り、空室の出にくさ、維持費 | 現在の家賃、入居期間、修繕積立金の残高 |
POINT 1LDKは、住む人と投資家の両方が買い手になります。売り出す前に「主にどちらに売るか」を決め、その買い手が知りたい情報を広告や資料にそろえると、買い手に届きやすくなります。

自宅の1LDKを売る——住む人に選ばれるための準備
自分で住んでいる、または住んでいた1LDKを売る場合、主な買い手は自分で住む人です。こうした買い手は、同じマンションや近くの似た部屋と比べて購入を決めます。この章では、相場の確かめ方、売り出し価格の決め方、室内の見せ方、住宅ローンが残っている場合の注意点を解説します。
相場は、同じマンションと近隣の成約事例で確かめる
1LDKの相場は、エリア全体の平均では分かりません。データの章で見たように、都心8区の1LDKでも区によって中央値が4,100万円から9,900万円まで違います。同じ区の中でも、駅からの距離、築年数、階数、向きで価格は変わります。
最も参考になるのは、同じマンションの別の部屋の成約事例と、近くの似た広さ・築年数のマンションの成約事例です。不動産会社の査定では、こうした成約事例を基に価格を出します。査定額の根拠を確かめる方法は、マンション査定の見極め方の記事で詳しく解説しています。
売り出し価格は「比べられる相手」を意識して決める
1LDKは似た条件の部屋と比べられやすいため、売り出し価格は、買い手が同時に検討している部屋の価格を意識して決めます。
- 同じマンションで売り出し中の部屋があれば、広さ・階数・室内の状態を比べたうえで価格を決める
- 買い手は「◯,◯◯◯万円以下」と上限を決めて物件を探すことが多いため、検索の区切りをわずかに超える価格になっていないかを確かめる
- 値下げを前提に高く売り出すと、最初の反響が少ないまま時間がたち、かえって値下げ幅が大きくなることがある
プロのアドバイス 売り出してから最初の数週間は、新しく売りに出た物件として注目されやすい時期です。この時期に問い合わせや内見が少ない場合、価格か広告の内容が買い手の見方と合っていない可能性があります。最初の反響を見て、早めに見直すかどうかを判断するのが実務上のポイントです。
広く、明るく見せる
1LDKの内見では、限られた広さをどう使えるかが比べられます。
- 家具や荷物を減らす:床が見える面積が増えると、部屋が広く感じられます。住みながら売る場合も、使わない家具は事前に整理しておくと効果的です。
- 明るさを確保する:カーテンを開け、照明をすべて点けた状態で内見を迎えます。
- 清掃を徹底する:水回り(浴室・洗面所・キッチン・トイレ)の汚れは印象を大きく左右します。自分で落とせない汚れは、専門業者のハウスクリーニングも検討します。
- 間取りの使い方を伝える:在宅で働くスペースや、寝室とリビングの分け方など、住んだときのイメージが湧く使い方を伝えます。
住宅ローンが残っている場合
売却代金で住宅ローンを完済し、抵当権を抹消できるかどうかを、売り出す前に確かめます。金融機関に残高を確認し、売却価格の目安から仲介手数料などの費用を差し引いた金額と比べます。売却代金だけでは完済できない場合の進め方は、住宅ローンが残っているマンションの売却の記事で解説しています。
ご自身の1LDKがいくらで売れそうか、確かめたい方へ
「売れないと聞いて不安」「どの買い手に向けて売るべきか分からない」という段階でのご相談も歓迎しております。同じマンションと近隣の成約事例をもとに、売り出し価格の目安と、想定される買い手を一緒に確認します。査定を受けたからといって、媒介契約を結ぶ必要はありません。
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入居者がいる投資用ワンルームを売る——投資家に選ばれるための準備
最初から投資用として購入し、今も入居者がいるワンルームや1LDKを売る場合、主な買い手は投資家です。投資家は、室内の印象よりも家賃と利回り、契約の中身で価格を判断します。この章では、利回りによる価格の見方、入居者がいるまま売るか退去後に売るかの比較、買主に引き継ぐもの、サブリース契約と投資用ローンの注意点を解説します。
投資家は「利回り」で価格を見る
投資家が最初に見る指標の一つが表面利回りです。表面利回りとは、年間の家賃収入を物件価格で割った割合のことで、「年間家賃 ÷ 物件価格 × 100(%)」で計算します。
投資家は、エリアや築年数に応じて「このくらいの利回りなら買う」という水準を持っています。そのため、家賃が同じでも、求める利回りによって投資家が出せる価格は変わります。
| 前提:月額家賃12万円(年間144万円) | 投資家が求める表面利回り | 逆算した物件価格 |
|---|---|---|
| 例1 | 4.5% | 3,200万円 |
| 例2 | 5.0% | 2,880万円 |
| 例3(家賃が月11万円・年間132万円に下がった場合) | 5.0% | 2,640万円 |
この試算では、求められる利回りが0.5ポイント違うだけで、価格は320万円変わります。家賃が月1万円下がると、同じ利回りでも価格は240万円下がります。投資用の部屋を売るときは、現在の家賃が周辺の相場と比べて適正かが価格に直接響きます。滞納の有無や入居の状況も、買主の判断材料になります。
入居者がいるまま売るか、退去後に売るか
オーナーチェンジとは、入居者が住んだまま、賃貸中の物件を賃貸借契約ごと新しい所有者に引き継ぐ売り方のことです。退去を待ってから空室で売る方法と比べると、次のような違いがあります。
| 比較項目 | 入居者がいるまま売る(オーナーチェンジ) | 退去後に空室で売る |
|---|---|---|
| 主な買い手 | 投資家 | 自分で住む人と投資家の両方 |
| 価格の決まり方 | 家賃と利回りが基準 | 住む人向けは近隣・同じマンションの成約事例、投資家向けは想定家賃と利回りも基準 |
| 家賃収入 | 入居が続き、滞納がなければ売却まで得られる | 退去から売却まで入らない |
| 内見 | 入居者の同意がなければ室内は見られず、室内を見ないまま購入を判断することが多い | 室内を見てもらえる |
| 売り出せる時期 | すぐに売り出せる | 退去日が決まっていれば退去前から売り出せる/未定なら引き渡し時期を約束できない |
| 向いているケース | 家賃が相場並みで、滞納がなく、賃貸が安定している | 住む人に売ったほうが高くなる立地・広さ |
ワンルームは主な買い手が投資家のため、入居者がいるまま売ることが多くあります。一方、広めの1LDKで、住む人に売ったほうが高い価格が見込める立地なら、退去後に空室で売る方法も比べる価値があります。どちらが有利かは、物件ごとに「投資家に売った場合の価格」と「住む人に売った場合の価格」を両方出して比べます。空室で売る場合は、その価格から次の費用を差し引いて比べます。
- 退去から売却までのあいだに入らない家賃
- 原状回復や室内の手入れの費用
- 退去を待ち、空室で売れるまでに余分にかかる管理費・修繕積立金・ローンの利息
- 退去の交渉に費用がかかる場合は、その費用
退去の時期が決まっていない場合は、空室で売れる時期そのものが見通せない点にも注意が必要です。
注意 一般的な賃貸借契約(普通借家契約)では、貸主から更新を断ったり解約を申し入れたりするには、借地借家法第28条に基づく正当な事由が必要です。売りたいという理由だけで退去してもらえるとは限りません。退去を前提に売却の日程を組む場合は、賃貸借契約の種類と内容(契約期間・更新・解約の条件)を先に確かめてください。
入居者がいるまま売るときに、買主に引き継ぐもの
入居者がいるまま売ると、貸主(賃貸人)の立場は買主に移ります。 民法では、賃貸借の対抗要件(建物は入居者への引き渡しで備わります)を備えた不動産が譲渡されたときは、賃貸人の地位は譲受人(買主)に移転すると定めています(民法第605条の2)。入居者から預かっている敷金を返す義務も、買主が引き継ぎます(同条第4項)。
通常のオーナーチェンジでは、貸主の立場が移ることについて入居者の承諾は要りません(同法第605条の2・第605条の3)。ただし、買主が新しい貸主であることを入居者に主張するには、所有権移転の登記が必要です(同法第605条の2第3項)。引き渡しにあわせて、入居者に貸主の変更と家賃の新しい振込先を知らせます。
売買の際には、次の書類や情報を買主に渡し、敷金や家賃の精算方法を売買契約で決めておきます。
- 賃貸借契約書(重要事項説明書・更新の合意書などを含む)
- 敷金の額と、売買代金の中での精算方法
- 家賃の入金状況(滞納の有無、家賃の支払日、引き渡し月の家賃の精算方法)
- 管理会社との契約の内容(家賃の集金や入居者対応を委託している場合。管理委託契約は貸主の立場とは別の契約のため、買主が引き継ぐか、終了して買主が新たに契約するかを確認します)
- 鍵の本数、室内の設備の状態、過去の修繕の記録
プロのアドバイス 入居者がいる物件では室内を確認できないことも多いため、投資家は書類を重視します。賃貸借契約書、家賃の入金記録、修繕の履歴、管理組合の修繕積立金の状況がそろっていると、買い手は安心して価格を提示できます。書類の準備は、売り出す前に済ませておくのがおすすめです。
サブリース契約がある場合は、契約内容を先に確かめる
サブリース(一括借り上げ)とは、サブリース会社が部屋を借り上げ、入居者に転貸する仕組みのことです。サブリース契約が付いている部屋を売る場合は、売り出す前に契約内容を確かめます。
国土交通省の「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」(令和5年3月31日改正)では、次の点を説明すべき事項として挙げています。
- 普通借家契約の場合、オーナーからの解約・更新拒絶には、借地借家法第28条に基づく正当な事由が必要であること
- サブリース会社がオーナーに支払う家賃には、原則として借地借家法第32条第1項(借賃増減請求権)が適用され、減額される可能性があること
サブリース契約が付いたまま売る場合、買主はサブリース会社との契約条件(家賃の額・見直しの時期・解約の条件)を見て価格を判断します。契約の種類や特約によって扱いが異なる場合もあります。契約を終わらせてから売りたい場合も、オーナーの都合だけでは解約できないことがあるため、まず契約書を確認し、必要に応じて専門家に相談してください。
投資用ローンの残高を確かめる
投資用ローンでワンルームを購入した場合も、自宅と同じく、売却代金でローンを完済できるかを先に確かめます。投資用の部屋は、家賃と利回りで価格が決まるため、購入時より家賃が下がっていると、想定より売却価格が低くなることがあります。金融機関に残高を確認し、利回りから逆算した売却価格の目安から仲介手数料などの売却費用を差し引いた金額と比べておきましょう。
売り時を決める3つの区切り——所有期間・築年数・金利
1LDK・ワンルームの売り時は、相場の予想よりも、自分で確かめられる区切りで考えるのが現実的です。区切りは、所有期間(5年)、築年数と修繕の予定、金利と買い手のローンの3つです。この章では、それぞれの確かめ方を解説します。売り時全般の考え方は、マンションの売り時の決め方の記事で解説しています。
所有期間5年は「売った年の1月1日」で判定する
土地や建物を売ったときの税率は、所有期間が5年を超えるかどうかで大きく変わります。この5年は、売った日ではなく売った年の1月1日時点の所有期間で判定します(国税庁 タックスアンサーNo.3208・No.3211)。
たとえば、2021年6月に引き渡しを受けた部屋を2026年に売る場合、2026年1月1日時点の所有期間は4年半なので短期になります。2027年に売れば、2027年1月1日時点で5年を超えるため長期になります。税率の違いは税金の章で説明します。
ここでいう「売った年」は、売却による所得をどの年の所得として申告するかで決まり、原則として物件を引き渡した日の年です(売買契約の効力が生じた日の年を選ぶこともできます。所得税基本通達36-12)。年をまたいで売る場合は、契約日と引き渡し日がそれぞれどちらの年になるかも確かめてください。
所有期間が5年に近く、売却で利益が出る見込みの場合は、年明けまで待つかどうかで税額が大きく変わることがあります。待つかどうかは、税額の差と、待つあいだの家賃収入、管理費・修繕積立金・固定資産税・ローンの利息などの費用、価格の変動、入居者の動きを比べて判断します。
築年数と修繕の予定
築年数が進むと、設備の古さや大規模修繕の予定が買い手の判断材料になります。確かめておきたいのは、管理組合の長期修繕計画で次の大規模修繕がいつ予定されているか、給湯器やエアコンなどの設備の交換時期がいつか、の2つです。投資用の部屋では、建物が古くなるにつれて空室や修繕の費用が増え、利回りの見込みに影響します。築年数ごとの価格の動きや、修繕のタイミングとの関係は、築20年のマンションの売却の記事で解説しています。
金利と、買い手のローン
ローンを使って購入する買い手にとって、金利が上がると借りられる金額や毎月の返済額が変わり、購入できる価格に影響します。
日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)を1.25%程度で推移するよう促す方針を決めました(9月24日から適用)。住宅ローンや投資用ローンの金利は金融機関や審査の条件によって異なりますが、政策金利の動きは買い手の資金計画に影響します。金利と不動産価格の関係は、日銀の利上げと不動産の記事で詳しく解説しています。
また、小さい住戸では、面積などによって買主が利用できる住宅ローンが限られる場合があります。たとえば住宅金融支援機構の【フラット35】は、マンションの場合、住宅の床面積が30㎡以上であることが条件の一つです。自分で住む買い手を想定するときは、金融機関や商品ごとの条件も確かめておきましょう。
POINT 市況の見通しは誰にも正確には分かりません。売り時を考えるときは、まず「所有期間が5年を超えるのはいつか」「築年数と、大規模修繕や設備の交換の予定」「金利の動きと、買い手が使えるローン」など、自分で確かめられる区切りを並べてみてください。

売却にかかる税金——自宅と投資用で違うところ
1LDK・ワンルームを売って利益が出た場合は、譲渡所得として所得税と住民税がかかります。計算の基本は自宅も投資用も同じですが、建物の取得費の計算と、使える特例が異なります。この章では、譲渡所得の計算、税率、自宅と投資用の違いを解説します。
譲渡所得の計算
譲渡所得は、次の式で計算します。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
- 取得費:購入代金、購入時の仲介手数料など。建物の部分は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額になります(国税庁 タックスアンサーNo.3252)
- 譲渡費用:売却時の仲介手数料、印紙税など、売るために直接かかった費用
通常の税率は所有期間で2段階
| 区分 | 判定(売った年の1月1日時点の所有期間) | 所得税(復興特別所得税を含む) | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30.63% | 9% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15.315% | 5% | 20.315% |
上の税率は、特例を適用しない場合の通常の税率です。自宅には、要件を満たすと控除や税率の軽減を受けられる特例が複数あります(詳しくは後述の専門記事をご覧ください)。
建物の取得費の計算は、自宅と投資用で違う
建物は時間がたつと価値が減るため、取得費は購入代金から減価償却費相当額を差し引いて計算します。この減価償却費相当額の計算方法が、自宅と投資用で異なります(国税庁 タックスアンサーNo.3261)。
- 投資用など、事業(貸付け)に使っていた建物:取得してから売るまでの毎年の減価償却費の額を合計します。家賃収入の確定申告で経費にしていなかった年があっても、その年の分を含めて合計します。
- 自宅など、事業に使っていなかった建物:建物の耐用年数の1.5倍の年数に対応する償却率を使い、「建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数」で計算します。鉄筋コンクリート造の償却率は0.015です。償却率は旧定額法の率で、経過年数の6か月以上の端数は1年とし、6か月未満の端数は切り捨てます。減価償却費相当額は建物の取得価額の95%が上限です。
土地は減価償却しないため、まず購入代金のうち建物部分の金額を、購入時の契約書などで確かめます。
たとえば、自宅として住んでいた鉄筋コンクリート造の1LDKで、建物部分の取得価額が2,000万円、経過年数が10年の場合、減価償却費相当額は「2,000万円 × 0.9 × 0.015 × 10年 = 270万円」です。建物の取得費は1,730万円になります。
注意 投資用の部屋は、家賃収入の申告で経費にしていなかった年の分も含めて、毎年の減価償却費の合計が取得費から差し引かれます。購入時の契約書や、毎年の確定申告の控えを売り出す前にそろえておきましょう。
自宅向けの特例は、一度も自分で住んだことのない投資用の部屋には使えない
自分が住んでいる家屋などを売った場合には、譲渡所得から一定額を控除できる特例があります(国税庁 タックスアンサーNo.3302)。一度も自分で住んだことがなく、投資用として貸している部屋には使えません。一方、以前に自宅として住んでいた部屋は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るなど要件を満たせば、住まなくなったあとに貸していても特例の対象になる場合があります。特例の要件や使えないケースは、マンション売却の3,000万円特別控除の記事で詳しく解説しています。
売却で損が出た場合
売却価格から取得費(減価償却後)と譲渡費用を差し引いて、税務上の譲渡損失が出た場合、その損失は同じ年のほかの土地・建物の譲渡所得からは差し引けますが、給与所得など他の所得と損益通算することはできません(国税庁 タックスアンサーNo.3203)。自宅を売ったときの損失には、一定の要件を満たすと他の所得と通算できる特例がありますが、一度も自分で住んだことのない投資用の部屋は対象外です。なお、建物の取得費は減価償却費相当額を差し引いて計算するため、購入したときより安く売っても、税務上の損失になるとは限りません。
手取りと譲渡所得は別に考える
売却後の手取りは、売却代金から仲介手数料などの費用、ローンの返済額、税金を差し引いて考えます。一方、譲渡所得の計算で差し引けるのは取得費と譲渡費用で、ローンの返済額は差し引けません。そのため、ローンを返したあとに手元にほとんど残らなくても、譲渡所得が出て税金がかかることがあります。
自宅として売る場合と、投資用として売る場合の比較
| 項目 | 自宅の1LDKを売る | 投資用のワンルームを売る |
|---|---|---|
| 通常の税率 | 売った年の1月1日時点の所有期間で判定(5年以下:39.63%/5年超:20.315%)。要件を満たすと税率が軽くなる特例もある | 同じ判定。一度も自分で住んだことのない部屋には自宅向けの特例は使えない |
| 売却損が出た場合 | 要件を満たすと給与所得など他の所得と通算できる特例がある | 一度も自分で住んだことのない部屋は、給与所得など他の所得とは通算できない(同じ年のほかの土地・建物の譲渡所得からは差し引ける) |
| 建物の減価償却費相当額 | 取得価額×0.9×償却率×経過年数 | 毎年の減価償却費の合計 |
| 自宅(マイホーム)向けの特例 | 要件を満たせば使える | 一度も自分で住んだことのない部屋には使えない |
| 確認しておく書類 | 購入時の契約書、仲介手数料などの領収書 | 購入時の契約書、毎年の確定申告の控え(減価償却費の記録) |
譲渡所得が出た場合は、原則として売った年の翌年2月16日から3月15日までに確定申告をします(所得税法第120条)。自宅向けの特例を使う場合は、特例を使って税額が0円になるときでも、書類を添えて確定申告をすることが必要です(国税庁 タックスアンサーNo.3302)。税金の扱いは個別の事情によって異なるため、実際の申告や特例の適用については、税務署または税理士にご確認ください。売却で利益が出たときの税金の見込みは、マンション売却の税金の記事でも解説しています。
売却の手取りを左右する仲介手数料
売却後に手元に残る金額を考えるとき、税金と並んで大きいのが仲介手数料です。都心の1LDKは数千万円から1億円近い価格で取引されるため、仲介手数料も大きな金額になります。この章では、仲介手数料の上限と、グローバルトラスト不動産の「ゼロチュー売却」の場合を説明します。
仲介手数料の上限と、ゼロチュー売却の場合
仲介手数料の通常の上限は、売買価格(消費税等を含まない価格)が400万円を超える場合、「(売買価格×3%+6万円)×1.1」(消費税10%を含む金額)で計算できます(宅地建物取引業法に基づく国土交通省告示。800万円以下の物件には別の特例があります)。都心8区の価格を参考にすると、上限は次のようになります。
| 売買価格の例 | 仲介手数料の上限(税込) |
|---|---|
| 2,500万円(ワンルーム系の中央値) | 89万1,000円 |
| 8,000万円(渋谷区・中央区の1LDKの中央値前後) | 270万6,000円 |
グローバルトラスト不動産の「ゼロチュー売却」では、売主様の仲介手数料は、買主を見つけた会社によって次のように決まります。
| 買主を見つけた会社 | 売主様の仲介手数料 |
|---|---|
| グローバルトラスト不動産 | 0円 |
| 他の不動産会社 | (売却価格×1.5%+6万円)×消費税 |
手数料は売主様がプランを選ぶものではなく、どの会社が買主を見つけたかという成約の結果で決まります。当社はどの場合も物件情報をレインズに登録し、他社からの買主の紹介も受け付けています。仕組みの詳細は仲介手数料が無料になる仕組みの記事、計算方法は仲介手数料の計算方法の記事で解説しています。
POINT 投資用の部屋は、利回りから逆算した価格で売ることが多いため、売却価格を大きく上げるのは簡単ではありません。仲介手数料などの費用を抑えることは、売却価格を上げるのと同じように手取りを増やします。
手取りの目安を、ご自身の数字で確かめたい方へ
売却価格の目安、仲介手数料、税金の考え方を並べると、売ったあとに手元に残る金額の見通しが立ちます。自宅の1LDKか投資用のワンルームかを問わず、ご自身の物件の数字で確かめたい方は、お気軽にご相談ください。
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1LDK・ワンルームが売れないときに見直す4つのこと
売り出してからしばらくたっても売れない場合は、間取りのせいと決めつける前に、価格、買い手の想定、不動産会社、売り方の4つを順に見直します。首都圏の中古マンションは、東日本レインズへの登録から成約まで平均82.5日かかっています(2025年)。これは成約した物件の平均で、間取り別の日数は公表されていません。この平均だけで値下げの時期を決めず、同じ条件の物件の売れ方や、問い合わせ・内見の数と合わせて判断します。
1. 価格:期間と内見の数で判断する
売り出してから問い合わせや内見が少ない場合、最初に見直すのは価格です。判断の材料は次の2つです。
- 売り出してからの期間:首都圏全体の平均(82.5日)や、同じ条件の物件の売れ方と比べて長くなっていないか
- 問い合わせと内見の数:内見はあるのに申し込みがない場合は価格や室内の印象、問い合わせ自体が少ない場合は価格や広告の見せ方に原因がある可能性がある
入居者がいる部屋で室内の内見が難しい場合は、資料の請求や購入の相談、価格の提示の数で反響を見ます。
値下げをする場合は、買い手の検索の区切り(たとえば「7,000万円以下」)に入るかどうかを意識すると、新しい買い手の目に触れやすくなります。
2. 買い手の想定:住む人向けか、投資家向けか
1LDKが売れない原因が、想定している買い手の違いにあることもあります。たとえば、空室の1LDKを住む人向けにだけ広告している場合、投資家向けに家賃の目安や想定の利回りを示すと、別の買い手に届くことがあります。反対に、投資家向けの情報だけで売り出している広めの1LDKは、住む人向けに間取りの使い方や周辺環境を伝えると、評価が変わることがあります。
3. 不動産会社:販売活動の中身を確かめる
販売活動の報告を受け、レインズへの登録状況、ポータルサイトへの掲載内容、問い合わせの件数を確かめます。活動の中身に納得できない場合は、媒介契約の期間満了に合わせて不動産会社を変える方法もあります。媒介契約の解除や乗り換えの手順は、不動産会社・担当者を変えたいときの記事で解説しています。
4. 売り方:期限があるなら買取も比べる
売却の期限が決まっている場合や、早く現金化したい場合は、不動産会社による買取も選択肢になります。買取は短期間で売却できる一方、一般に仲介で個人や投資家に売るより価格は低くなります。仲介で売った場合の価格と比べたうえで判断してください。買取の仕組みと相場は、マンションの買取とはの記事で解説しています。
あなたのケースで考える4つの判断シナリオ
1LDK・ワンルームの売り方は、自宅か投資用か、入居者がいるかどうかで変わります。ここでは、よくある4つのケースごとに、確かめる順番を整理します。ご自身に近いシナリオから、該当する章をご覧ください。
シナリオA:住み替えのために、自宅の1LDKを売る
新居の購入や引っ越しの時期と、売却の時期を合わせる必要があります。まず同じマンションと近隣の成約事例で相場を確かめ(自宅の1LDKを売る)、住宅ローンの残高と比べます。所有期間が5年に近い場合は、売り時の3つの区切りで、年明けまで待つ価値があるかも確かめてください。自宅向けの特例の要件はマンション売却の3,000万円特別控除の記事で確かめられます。新居で住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を使う予定がある場合は、特例との関係もあわせて確かめてください。
シナリオB:結婚や出産で手狭になり、1LDKを売る
1LDKは単身者や夫婦のみの世帯が住む間取りのため、自宅として売る場合の主な買い手は自分で住む人です。室内を広く見せる準備をし、4つの買い手のうち単身者・夫婦のみの世帯に向けて、間取りの使い方を伝えます。自宅として住んでいた場合は、マンション売却の3,000万円特別控除の記事で、自宅向けの特例の要件も確かめておきましょう。
シナリオC:入居者がいる投資用ワンルームを売る
主な買い手は投資家です。現在の家賃が周辺の相場と比べて適正かを確かめ、利回りから逆算した価格の目安を出します。賃貸借契約書、敷金の額、家賃の入金記録をそろえ、サブリース契約がある場合は契約内容を先に確認してください。税金は、毎年の減価償却費の合計が取得費から差し引かれる点に注意します(税金の章)。
シナリオD:相続したワンルームを売る
相続した部屋を売る場合は、売却に向けて相続登記を進めます。相続税は、申告が必要かどうかと申告の期限を別に確認してください。税金の計算では、取得費と取得の時期は原則として亡くなった方のものを引き継ぐため、相続した日から5年を数えるわけではありません(国税庁 タックスアンサーNo.3270)。購入時の資料が見つからない場合は、取得費を確かめられる資料を探します。取得費が分からない場合は売った金額の5%相当額を取得費とすることもできますが、税額が大きくなることがあるため、売る前に税理士などに相談してください。入居者がいる場合は、投資用の部屋と同じく投資家に売る準備を進めます。相続した不動産の売却の流れは、相続したマンションを売却する全手順の記事で解説しています。
1LDK・ワンルームマンションの売却に関するよくある質問
1LDKのマンションは本当に売れないのですか?
都心では、1LDKのマンションにも多くの取引の実績があります。2025年度に東京都区部で成約した中古マンションのうち、1K・1DK・1LDKなどの区分は6,440件で全体の29.6%を占め、ファミリー向けの3LDKなどとほぼ同じ件数でした。ただし、これは成約した件数で、個々の物件の売れやすさを示すものではありません。売れない状態が続く場合は、価格や想定している買い手を見直すことをおすすめします。
入居者がいても、ワンルームは売れますか?
入居者がいるまま売ることはできます。入居者が住んだまま賃貸借契約ごと引き継ぐ売り方を「オーナーチェンジ」といい、投資家が主な買い手になります。通常のオーナーチェンジでは、貸主の立場と敷金を返す義務が買主に移るため(民法第605条の2)、賃貸借契約書や敷金の額、家賃の入金状況を買主に引き継ぎます。
投資用の部屋は、退去してから売ったほうが高く売れますか?
物件によって異なります。ワンルームは主な買い手が投資家のため、入居者がいるまま売ることが多くあります。広めの1LDKで、住む人に売ったほうが高い価格が見込める立地なら、退去後に空室で売る方法も比べる価値があります。比べるときは、空室のあいだの家賃や手入れの費用も差し引きます。また、普通借家契約では貸主からの解約などに正当な事由が必要で、売主の都合だけで退去してもらえるとは限らないため、賃貸借契約の内容を先に確かめてください。
1LDKやワンルームの売却には、どのくらいの期間がかかりますか?
首都圏の中古マンションは、東日本レインズへの登録から成約まで平均82.5日かかっています(2025年)。これは登録から成約までの平均で、売り出し前の準備の期間や、成約後の決済・引き渡しまでの期間は別にかかります。間取り別の日数は公表されていませんが、この平均を目安に、売り出し後の問い合わせや内見の数を見て、価格や売り方を見直すかどうかを判断してください。
一度も自分で住んだことのない投資用のワンルームを売るときも、自宅を売ったときの税金の特例は使えますか?
使えません。自宅(マイホーム)を売ったときの特例は、自分が住んでいる家屋などを売った場合が対象です(国税庁 タックスアンサーNo.3302)。一度も自分で住んだことのない投資用の部屋は対象外です。なお、以前に自宅として住んでいた部屋は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るなど要件を満たせば、その後貸していても対象になる場合があります。要件はマンション売却の3,000万円特別控除の記事で確かめてください。特例を適用しない通常の税率は所有期間で決まり、売った年の1月1日時点で5年以下なら39.63%、5年超なら20.315%です。
仲介と買取は、どちらがよいですか?
価格を優先するなら仲介、期限や早さを優先するなら買取が向いています。買取は短期間で売却できる一方、一般に仲介より価格は低くなります。両方の価格を出してもらい、差額と期限を比べたうえで決めることをおすすめします。
まとめ|1LDK・ワンルームは「誰に売るか」に合わせて準備する
都心では、1LDK・ワンルームのマンションも数多く取引されています。東京都区部では1K・1DK・1LDKなどの成約が全体の約3割を占め、当社が対象とする都心8区の成約価格情報では1LDKだけで2割強です。「売れない」状態が続くときは、間取りのせいと決めつける前に、価格と想定している買い手を見直してみてください。
- 自宅の1LDKを売る:同じマンションと近隣の成約事例で相場を確かめ、比べられる相手を意識して価格を決める。広く明るく見せ、住んだときの使い方を伝える
- 入居者がいる投資用ワンルームを売る:投資家は家賃と利回りで価格を見る。賃貸借契約書・敷金・家賃の入金記録をそろえ、サブリース契約があれば先に内容を確かめる
- 売り時:所有期間5年(売った年の1月1日で判定)、築年数と修繕の予定、金利の3つの区切りで考える
- 税金:特例を適用しない通常の税率は、自宅も投資用も所有期間による2段階。建物の減価償却費相当額の計算、自宅向けの特例が使えるかどうか、売却損の扱いが違う
自宅として売るのか、投資用として売るのか。誰に売るのかを最初に決めることが、1LDK・ワンルームを納得できる価格で売るための第一歩です。
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グローバルトラスト不動産は、都心8区(渋谷区・港区・目黒区・千代田区・中央区・品川区・世田谷区・杉並区)に特化した売買仲介の専門会社です。自宅の1LDKから入居者がいる投資用のワンルームまで、想定される買い手と売り出し価格の根拠を添えてご説明します。
グローバルトラスト不動産の3つの強み
- 売主様の仲介手数料が最大無料(ゼロチュー売却)— 当社が買主を見つけた場合は0円、他社が買主を見つけた場合は(売却価格×1.5%+6万円)×消費税
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本記事で使用したデータの出典・集計方法
| データ | 出典 | 時点 | 集計方法 |
|---|---|---|---|
| 東京都区部の中古マンションの間取り別成約件数・構成比・平均成約価格・平均専有面積(2025年度)、首都圏の「1DK・LDK」の成約件数・構成比(2015年度・2025年度) | 公益財団法人 東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ2025年・年度」表17 | 2025年度(2026年8月6日公表) | 公表数値を引用(4DK・LDK以上は2区分の合計) |
| 都心8区の間取り別の件数・構成比、価格・面積・建築年の中央値 | 国土交通省「不動産情報ライブラリ」成約価格情報 | 2025年第2四半期〜2026年第1四半期 | 当社集計(中古マンション等8,626件。重複を避けるため成約価格情報のみを集計。全取引を網羅したものではない) |
| 首都圏中古マンションの登録から成約に至る日数(2025年・82.5日) | 公益財団法人 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」 | 2025年 | 公表数値を引用 |
| 政策金利(2026年9月18日決定・1.25%程度) | 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」 | 2026年9月18日 | 公表情報を引用 |
| 長期・短期譲渡所得の区分と税率(譲渡した年の1月1日現在の所有期間) | 国税庁 タックスアンサーNo.3208・No.3211 | 令和8年4月1日現在法令等 | 公表情報を基に作成 |
| 建物の取得費(購入代金などから減価償却費相当額を差し引く) | 国税庁 タックスアンサーNo.3252 | 令和8年4月1日現在法令等 | 公表情報を引用 |
| 建物の減価償却費相当額の計算(事業用とそれ以外・非業務用の償却率) | 国税庁 タックスアンサーNo.3261 | 令和8年4月1日現在法令等 | 公表情報を引用 |
| 土地・建物の譲渡損失と他の所得との損益通算 | 国税庁 タックスアンサーNo.3203 | 令和8年4月1日現在法令等 | 公表情報を引用 |
| 相続で取得した土地・建物の取得費と取得の時期(取得費が分からない場合の5%) | 国税庁 タックスアンサーNo.3270 | 令和8年4月1日現在法令等 | 公表情報を引用 |
| 譲渡所得の収入すべき時期(原則として引き渡しの日/契約の効力発生の日の選択) | 国税庁「所得税基本通達36-12」 | 2026年10月確認 | 通達を引用 |
| 確定申告の期間(翌年2月16日から3月15日まで) | 所得税法 第120条(e-Gov法令検索) | 2026年10月確認 | 条文を引用 |
| 自宅(マイホーム)を売ったときの特例の対象 | 国税庁 タックスアンサーNo.3302 | 令和8年4月1日現在法令等 | 公表情報を引用 |
| 不動産の賃貸人たる地位の移転・敷金返還債務の承継・登記 | 民法 第605条の2・第605条の3(e-Gov法令検索) | 2026年10月確認 | 条文を引用 |
| 建物の賃貸人による更新拒絶・解約申入れの正当事由 | 借地借家法 第28条(e-Gov法令検索) | 2026年10月確認 | 条文を引用 |
| サブリース契約でオーナーに説明すべき事項(解約の正当事由・借賃増減請求権) | 国土交通省「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」 | 令和5年3月31日改正 | 公表情報を引用 |
| 【フラット35】の床面積の要件(マンションは30㎡以上) | 住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件 | 2026年10月確認 | 公表情報を引用 |
| 仲介手数料の上限((売買価格×3%+6万円)×1.1・消費税10%を含む。800万円以下の特例あり) | 宅地建物取引業法に基づく国土交通省告示(昭和45年建設省告示第1552号/令和6年6月21日国土交通省告示第949号改正) | 令和6年7月1日施行 | 公表情報を引用 |
| 表面利回りから逆算した価格、減価償却費相当額の計算例 | 本文に記載した仮定に基づく当社試算 | 2026年10月 | 当社推計 |
| ゼロチュー売却の手数料(当社が買主を見つけた場合0円/他社が買主を見つけた場合(売却価格×1.5%+6万円)×消費税) | グローバルトラスト不動産株式会社 | 2026年10月時点 | 自社サービスの条件 |
【最終更新日】 2026年10月9日
【免責事項】 本記事は1LDK・ワンルームマンションの売却に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の物件の売却価格・売却期間や、税務上の取扱いを保証するものではありません。記載の試算は本記事作成時点の公表情報と当社の仮定に基づくものです。譲渡所得の申告や特例の適用については、個別の事情によって取扱いが異なるため、税務署または税理士にご確認ください。賃貸借契約・サブリース契約の解約や承継については、契約内容によって取扱いが異なるため、必要に応じて専門家にご相談ください。
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